上京した自分は正しかったのか――チェンソーマン作者の『ルックバック』から考える、人生の迷いとためらい
2021年7月22日
ライフSNSで話題となった漫画『ルックバック』。それを機に、上京という人生の選択肢について、フリーライターの県庁坂のぼるさんが持論を展開します。
ネット上で多くの称賛
7月19日(月)に漫画アプリ『少年ジャンプ+』に掲載された、『チェンソーマン』を手掛ける藤本タツキ氏の新作読切『ルックバック』が大きな反響を呼んでいます。

同作は、小学生時代から始まるふたりの女性の人生を描く「新時代青春物語」。公開直後から反響を呼び、インターネット上は多くの称賛のコメントであふれています。感想はさまざまあるでしょうが、読者ひとりひとりに
「人生であのときに、あの選択をしていればどうなっただろうか」
と、考える機会を与えることが作品の大きな要素になっているように思います。
ふたりは学年新聞の4コマ漫画を通じて知り合い、ひとりは地元の美大へ進学、もうひとりは上京して漫画家に。その後の事件と人生の「if」が描かれていきます。地方出身でいまは東京で暮らす多くの人が、物語を通じて
「あのとき、東京に行くことを選択したのは正解だったのだろうか」
と考えているのではないかと思います。
藤子不二雄Aも人生の選択肢に悩んだ
『ルックバック』だけでなく、上京を描いた作品はとても多いですが、まず思い出されるのは、藤子不二雄Aの自伝的漫画『まんが道』です。

作者自身をモデルにした主人公・満賀道雄は、作中でともに漫画道を歩んできた才野茂(藤子・F・不二雄がモデル)に促され、勤めていた新聞社を辞めて上京することを決めます。
よく考えてみれば、かなりむちゃな選択肢です。後年発表された、続編の『愛…しりそめし頃に… 満賀道雄の青春』では、そのときのためらいと自身の選択肢が間違っていなかったという思いが描かれています。ただそれも、漫画家として成功したからこそ語れる思いでしょう。
進学に限らず、毎年多くの人がさまざまな夢を持って上京しますが、当初の志を実現できる人は一握りです。そんな人たちが全国から集まるから、東京は魅力的な都市なのです。
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