「第二のレモンサワー」となるか? サントリーが新たに仕掛ける「ジンソーダ」ブームの勝算と課題
2020年8月9日
ライフ今やすっかり居酒屋の定番アルコールとなったハイボールやレモンサワー。これらに続く「第3のソーダ割り」として今、サントリーが「ジンソーダ」を大々的にプッシュしています。ほかのドリンクと何が違うのか、本当にブームとなっていくのか――。統計データや関係者への取材から、その行く末を占います。
国内外での需要を伸ばす「クラフトジン」
世界の四大スピリッツ(蒸留酒)のひとつ「ジン」が人気と言われています。
イギリスから始まった世界的な「クラフトジン」ブームは、2016年頃に日本へも飛び火。京都や広島、北海道など地方の蒸留所がジンの製造に次々と乗り出し、国内外での需要を伸ばしています。
財務省の貿易統計によると、2019年のジン・ウオッカの輸出金額は34億円余り。国産酒類の輸出総額に占める割合は5.1%とまだわずかですが、前年比54.1%の伸び率は8品目の中で断トツ。酒類業界には「人気は拡大傾向」と見る向きが強いようです。
そもそもクラフトジンとは、比較的規模の小さい蒸留所などで造られる個性豊かなジンのこと。ジンのルールは、伝統の原料「ジュニパーベリー(セイヨウネズ)」というスパイスで香り付けした蒸留酒、ということだけです。
そこにさまざまなボタニカル(ハーブやスパイス)を加えて独自の味わいを表現できるという自由度の高さから、作り手の思いが込めやすく、またお酒好きを中心に消費者の注目を集めてきました。
「健康志向」の高まりも、低糖質な蒸留酒であるジンの人気を後押し。大手通販サイトのアマゾンでは、確認できるだけで国産クラフトジン商品はすでに50種類以上を数えます。
主戦場は居酒屋、飲み方はソーダ割り
独自のジン製造は小規模蒸留所だけにとどまらず、大手国内メーカーも近年さまざまな商品を投入しました。
アサヒグループのニッカウヰスキー(港区南青山)は「ニッカ カフェジン」(2017年6月発売)を、サントリースピリッツ(同区台場)は1995(平成7)年の「サントリーアイスジン」以来となる新商品「ROKU」を(2017年7月)、養命酒製造(渋谷区南平台町)は「香(か)の森」はじめ3種類を発売(2019年3月)。
そして2020年3月に登場したのが、サントリーの「翠(すい)」です。前述のROKUが同社にとって22年ぶりのジン商品だったことを考えれば、わずか3年後に発売された翠は、同社がジンにさらなる力を入れていく姿勢を物語っていると言えそうです。

翠がROKUと大きく違う点は、まず消費者が手を伸ばしやすい価格設定。700ml・4000円のROKUに対して、翠は同1380円と3分の1程度です(いずれも税別、希望小売価格)。
また翠を楽しむシチュエーションとして同社が前面に押し出しているのが、従来ジンの主戦場だったバーとは対照的な、居酒屋や家庭。
さらに飲み方は、炭酸水と割ったシンプルなソーダ割り。キャッチフレーズにはずばり「居酒屋メシに、翠ジンソーダ。」とうたい、ジンの「大衆化」「日常化」を目指します。
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