東京の多摩地域にある「立川市」がアニメ聖地に何度も選ばれる理由

東京都のほぼ中央、多摩地域に位置する立川市は、アニメ「聖地」として、しばしば取り上げられます。いったいなぜでしょうか。漫画・アニメライターのシュウさんが解説します。


数多くのアニメの聖地となった立川市

 アニメ作品では、現実の土地が舞台になったり、風景のモチーフに使われたりすることがよくあります。ファンの間でこうした場所は「聖地」と呼ばれており、実際にその場所を巡る「聖地巡礼」の動きも盛んです。東京都のほぼ中央、多摩地域に位置する立川市は、そんなアニメ聖地のひとつです。

立川駅前(画像:写真AC)



 立川市を舞台・モデルとしたアニメ作品は多く、

・『とある魔術の禁書目録(インデックス)』
・『ガッチャマン クラウズ』
・『聖(セイント)☆おにいさん』
・『サムライフラメンコ』
・『世界征服~謀略のズヴィズダー~』
・『フレームアームズ・ガール』
・『Persona4 the ANIMATION』

といったタイトルが該当します。

 このうち3本のアニメを、今回紹介します。いずれも立川市の風景をよく再現していたり、自治体とのコラボ企画を実施していたりする作品です。

●『とある魔術の禁書目録(インデックス)』

 同作は科学・魔術という相反するものが対立する世界での戦いを描いたバトルアクション作品で、立川市の風景が見られるアニメの代表格といえます。スピンオフ作品として『とある科学の超電磁砲(レールガン)』というアニメもあり、こちらも同様です。なお、これらの作品は「とあるシリーズ」と総称されています。

 作中では主な舞台として、「学園都市(がくえんとし)」という架空の街が登場します。テレビアニメ版ではこの学園都市の背景モデルとして、多摩センター駅や立川駅の周辺地域が採用されました。

アニメのラッピングバスも運行

 立川市の風景がモデルで使われているのは、

・立川駅北口
・多摩モノレール立川北駅
・伊勢丹付近
・高島屋付近

などのスポットです。

「とある自治体の地域振興」のウェブサイト(画像:立川観光協会、鎌池和馬/アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX MOVIE)



 この「とあるシリーズ」とのコラボ企画として立川観光協会(立川市曙町)は「とある自治体の地域振興(プロモーション)」を立ち上げ、市への来訪者の誘致に力を入れています。

 その一環として立川駅周辺では、アニメイラストをラッピングした自動販売機が設置されたり、バスが運行されたりしていました。

駅前のペデストリアンデッキでロケも

●『ガッチャマン クラウズ』

 1972(昭和47)年の放送開始以来人気を集め、平均視聴率21%を記録した人気アニメ『科学忍者隊ガッチャマン』の派生作品です。宇宙人から特殊能力を与えられた女子高生が「ガッチャマン」へと変身し、人類を守るため仲間とともに奮闘します。

『ガッチャマン クラウズ』のウェブサイト(画像:日本テレビ、タツノコプロ/ガッチャマンクラウズ製作委員会)

『ガッチャマン クラウズ』では、

・立川駅北口
・グランデュオ入り口
・国営昭和記念公園(立川市緑町)

などがアニメに登場しました。

 ちなみに本作は2015年の立川市が舞台という設定です。そのためか各場面で立川市の風景を強く打ち出しており、施設名がそのままアニメで使用されていることもあります。

 さらに続編となる『ガッチャマン クラウズ インサイト』の制作では、立川駅周辺を中心に10回以上のロケハンが敢行されたとのこと。

 タツノコプロコンテンツビジネス部の矢橋清志さんが「立川駅前のペデストリアンデッキでのロケは、等身大キャラPOPを持ち込んでの大掛かりな撮影となった」(立川経済新聞2015年7月3日付け)とコメントしていることから、本作において立川市は極めて重要な要素だったといえるでしょう。

 このように力を入れて制作された本作に関連して、やはり聖地巡礼が盛り上がりを見せました。聖地巡礼アプリ「にじたび」とのコラボを実現させたことも注目すべき点です。

作中登場する店の商品が買える

●『聖(セイント)☆おにいさん』

 最後に紹介するのがこちら、世紀末を乗り越えたブッダとイエスが人間界に降り立ち、ゆるーく共同生活を送るという作品です。2013年に劇場アニメが公開されました。

『聖(セイント)☆おにいさん』のウェブサイト(画像:中村光、講談社/SYM制作委員会、アニプレックス)



 本作はブッダとイエスが立川市の安アパートで暮らしているという設定で、それにともない次のような市内の名所が数多く登場します。

・石坂商店(立川市曙町)
・園部肉店(同)
・錦第二公園(錦町)

 面白いのが、これらのスポットは単に風景として登場するだけではないところです。

 例えば石坂商店では「もとだれ」という万能調味料が販売されています。このもとだれ、なんと作中で実際に登場しているのです。また園部肉店(閉店)に関していえば、名物のコロッケを作中でブッダとイエスがほお張る場面がありました。

 このように各スポットを丁寧に描いている本作ですが、そのこだわりはアニメのなかだけにとどまりません。

 関連商品として『アニメ映画 聖☆おにいさん 公式ガイド』という書籍があります。そこにはストーリー・キャラクター紹介だけでなく、作中で登場したお店なども掲載されているのです。

 これもまたアニメ作品からうかがえる立川市へのこだわりの形といえるのではないでしょうか?

なぜ立川市が聖地となるのか

 以上のように度々アニメ作品の舞台・モデルとして取り上げられる立川市ですが、その理由はどこにあるのでしょうか?

 諸説ありますがそのひとつとして、「異なる風景の共存」が挙げられます。

立川市の全景(画像:国土地理院)



 まず立川駅周辺で印象的なのは、おしゃれな飲食店や百貨店、IKEA立川(緑町)やららぽーと立川立飛(泉町)などの大型商業施設です。またモノレールやオフィス街もあり、そこからは近未来的な感覚を味わえます。

 その一方で少し歩くと、穏やかな時間を過ごせる豊かな緑があります。国営昭和記念公園がその最たるものといえます。そして北部を流れる玉川上水と南部を流れる多摩川、それらをつなぐ残堀川(ざんぼりがわ)といった水場もあります。

 このようにいろいろな風景があるのはアニメ制作にあたっては好都合であり、そのため立川市が舞台・モデルとして好まれるというわけです。

 都会的な風景と自然豊かな風景……。立川市は両者がちょうどいいあんばいで共存している街です。世間が落ち着いて立川市を訪れる機会があったら、そんなことを意識しながらぶらりと歩いてみてはいかがでしょうか?


【明治初期】現「立川駅」周辺の様子

画像ギャラリー

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