アムラーが街をジャック? 平成最後のハロウィン、ファッション最前線に迫る

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アムラーが街をジャック? 平成最後のハロウィン、ファッション最前線に迫る

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2018年のハロウィンはもうすぐそこです。9月下旬からは都内各地で関連イベントも始まっています。そんなハロウィンの最新ファッションを取材しました。

市場規模縮小も、すでに「風物詩」レベルに

 毎年10月31日はハロウィン。それに関連して、2018年も9月下旬から都内各地でさまざまなイベントが開催されています。

ハロウィンといえば仮装。その中身は年々多様化している。写真はイメージ(画像:画像AC)



「日本でもハロウィンは秋の風物詩になりました。もう、お正月やクリスマスと同じ位置づけといっていいでしょう。特に10代から20代の若者にとって『何かしら参加しないと気持ち悪いレベル』になっています」(東京都市大学メディア情報学部社会メディア学科教授の岡部大介さん)

 その一方、2018年のハロウィンの市場規模は約1240億円(前年比約5%減)と、若干の落ち込みを見せています。その理由について日本記念日協会(長野県佐久市)は次のように話します。

「猛暑と各地で発生した災害の影響で、これまでハロウィンに積極的に参加してきた人たちが精神的に疲れてしまっていると考えられます。自粛ムードとまではいきませんが、『ハロウィンに使うお金があるなら、今年は家族のことを考えたい』という人も増えるのでは。しかし、決して飽きられたわけではありませんし、減少といっても1240億円もの市場規模ですから、ひとつのムーブメントとしてはすごいレベルですよ」

ハロウィンを行う約半数が仮装を行う(画像:マクロミル)

 市場調査大手のマクロミル(港区港南)が9月に発表したデータによると、ハロウィンを行う人の2人に1人が「仮装」をして楽しみたいと回答しており、ハロウィンといえば「仮装」が主流の楽しみ方となっていることが分かります。

 仮装といえば、当然注目されるのはそのファッション。2018年はいったいどんなものが流行るのでしょうか。その最前線を取材しました。

平成最後で「アムラー」増加か

「今年のハロウィンファッションを読み解くキーワードは、『ライトコスプレ』と『平成懐古』です」

 こう話すのは、楽天(世田谷区玉川)が運営するネット通販サイト「楽天市場」の担当者。「ライトコスプレ」とは、日常使いもできるアイテムを使ったコスプレで、ハロウィンを気軽に体験できるとして、近年少しずつ人気が増しているといいます。その背景には、消費者たちのある変化があるようです。

「ハロウィン市場は成熟しており、そのファッションも変化しています。これまでしっかりメイクをしてハロウィンを楽しんでいた人たちが、プライベートでも使えるような服や小物をアレンジして、友人とおそろいの仮装するようになっているのです。ハロウィン初心者も簡単に真似できるため、これからも増えていくでしょう」(楽天)

ハロウィン初心者でも取り入れやすい「ライトコスプレ」のサッカーユニフォームとティアードワンピース(画像:楽天)

 もともとハロウィンファッションは、その年に流行ったスポーツやファッション、映画、アニメ、お笑い芸人などが反映されることが多く、今年はサッカーの国際大会が開催されたり、ティアードワンピースが流行ったりしたことから、同社ではこの2アイテムに注目しているといいます。

一世を風靡した「アムラー」ファッションがコスプレに(画像:楽天)

 ふたつめのキーワード「平成懐古」とは、平成を象徴したエンタメをファッションで再現すること。平成最後のハロウィンとなる2018年ならではといえます。

「平成の象徴で、今年話題になったことといえば安室奈美恵さんの引退です。その影響で、チェック柄のスカート、ポニーテールウィッグ、ニーハイブーツ、厚底スニーカー、日焼けクリームを使ったコスプレが増えるでしょう。

 藤田ニコルさんがインスタグラムでガングロギャルを真似したこともその後押しになるのでは。そのほかにも、ポケモンや妖怪ウォッチ、ハリーポッター、ジャック・スパロウ(映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズに登場する人物)などのコスプレも多くなるでしょう」(同社)

ハロウィンへの関心、SNSがけん引

 小売大手のドン・キホーテもイベントに向けて、売場スペースや商品数・商品種類などを徐々に増やしています。販売を強化したのは約10年前からだといいます。

「以前はパーティグッズの延長で、レディースを中心として、大人サイズのコスチュームを多く取り扱っていました。しかしここ数年は気軽にコスチュームができる『簡易コスチューム』や、家族でハロウィンを楽しむ人たちが多いことからホームパーティ用のグッズ、子どもサイズのコスチュームの取扱いが増えています」(ドンキホーテホールディングス)

 同HDではその理由について、SNSが普及し、ホームパーティなど自宅での様子をカンタンに共有できる時代になったことが影響していると指摘します。

右から、まるでその衣装を着ているような感じになれるドンキHDの「3DフェイクTシャツ」、ドンキHDが女性向けに開発した動物コスチューム(画像:ドンキホーテホールディングス)

 そんな同HDも今年は楽天同様、ハロウィン初心者を狙った商品を拡充。オリジナル商品として「3DフェイクTシャツ」を販売するほか、カボチャのイラストがプリントされたTシャツやジャージ、若い女性に向けた動物をモチーフにしたフリース素材のコスチュームなども人気になると話しています。

 また、「コスチュームがより派手で高級になっており、『ゴージャスなお姉さん』を演出する人も増えています。ハロウィンパレードに参加した後、自分の行きつけの店に行って皆を驚かす、といった人も増えています」(先述の日本記念日協会)との声も。

フリマアプリでは8月から衣装検索が

 ハロウィン人口の増加には、フリマアプリ市場の拡大も影響しています。業界大手のメルカリ(港区六本木)では次のように話します。

「メルカリ」でハロウィン商品を検索した結果(画像:メルカリ)



「当社のお客様のなかには、使用頻度の高くないものは『メルカリ』で購入し、使用後はまた『メルカリ』で売る、という消費行動が見られます。ハロウィン衣装も使用頻度は高くないため、そのような消費行動をされているお客さまが増えていると感じています。

 2018年3月に当社が実施した調査では、『新品を購入する前にフリマアプリで売値を調べた』と回答した人が、20代では67%、30代では55%と過半数を超えました。外部調査を見ると、ハロウィンを楽しみにしているのは若年層に多く、近年、若年層の傾向とメルカリの特性が合致していることも一因ではないかと考えています」(メルカリ)
 
 また、メルカリの担当者は、「一般的に9月中旬、あるいは終わりごろから人びとがハロウィンの準備を考え始めると思われますが、『メルカリ』では8月頃からすでに『ハロウィン』と検索する人が増え始めています」と話します。

 同じく、フリマアプリの「ラクマ」を運営する楽天の担当者はこう話します。

「ハロウィン関連の検索で一番検索されたワードは『ベビー ハロウィン』でした。また、『ロンパース ハロウィン』や『赤ちゃん ハロウィン』もトップの検索ワードに入っています。『楽天市場』に比べ、『ラクマ』では、ベビー用のハロウィンコスチュームを探す方が多いようです」(楽天)

 なお、ハロウィン関連の出品数は9月上旬から増え続け、10月の2週目から急増。早めにハロウィンイベントを迎え、一度着用した商品をすぐに出品するという、ユーザーの行動がうかがえるとのことです。

「ラクマ」でハロウィン商品を検索した結果(画像:楽天)

 このような流れは、今後どのようになっていくのでしょうか。先述の東京都市大学・岡部さんは以下のように分析します。

「しばらくこのままの盛り上がりが続くでしょう。日本でさらにハロウィンが定着するかどうかは、地方都市、さらに言えば、地方都市のテーマパークがイベントに向けてどう動くかによって変わるでしょう」

 今後も変化し続けるハロウィン。もし地方でのハロウィンが盛り上がれば、また新たなハロウィン衣装のトレンドも生まれるかも知れません。

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