もはやテーマパーク! 進化する企業ミュージアム・工場見学、その最前線と背景に迫る
2019年8月30日
お出かけこれまで企業資産の保存や対外的なPR活動のために使われてきた企業ミュージアム・工場見学。しかし近年、その姿が大きく変化しています。いったいどのように変わっており、またその背景には何があるのでしょうか。文殊リサーチワークス・リサーチャー&プランナーの中村圭さんが解説します。
2010年代は施設の開発・リニューアルラッシュ
企業ミュージアム・工場見学は企業資産の保存やその理念の集約と提示、企業PR、地域教育への貢献などのために開発・実施されてきました。しかし、今や利用者はレジャー施設と同様のモチベーションを持つようになっています。専門ガイドブックが出るほど、レジャーとしての利用が定着してきたと言えるでしょう。

全国には多数の企業ミュージアム・工場見学が存在しており、その内容は多種多様です。大型施設が多いものには鉄道系のミュージアムが挙げられます。最も代表的なものは「鉄道博物館」(埼玉県さいたま市)ですが、施設は各地に見られ、都内にも「東武博物館」(墨田区東向島)、「地下鉄博物館」(江戸川区東葛西)などがあります。鉄道は公共性が高いため、企業ミュージアムという印象は薄いかもしれません。
同じく公共性が高く大型施設が多いものが電気やガス、エネルギー系のミュージアムです。「電気の史料館」(神奈川県横浜市)、「がすてなーに ガスの科学館」(江東区豊洲)、「東芝未来科学館」(神奈川県川崎市)など、科学館の形態で学び要素が強くなっています。
いわゆる企業ミュージアム・工場見学の中で特に人気が高いのが、身近な食品を扱う食品メーカーの施設です。基本的には産地や起業地にあるため地方に多く存在します。ポピュラーなものは日本酒やビールなど酒造メーカーの施設で、外国人観光客にも人気があり地域の観光資源となっています。その他にも「うなぎパイファクトリー」(静岡県浜松市)や「白い恋人パーク」(北海道札幌市)など、地域を代表する菓子メーカーの施設も人気です。
一方、2010年代には食品メーカーの企業ミュージアム・工場見学施設が都市部や首都圏近郊で開発され、首都圏のレジャーニーズを吸収して爆発的な人気を呼びました。2011年9月にオープンした日清食品の「カップヌードルミュージアム 横浜」(神奈川県横浜市)は、自分だけのオリジナルカップヌードルを作る「マイカップヌードルファクトリー」が人気となり、近年の企業ミュージアムブームの火付け役となりました。
また2012年10月には江崎グリコの工場見学施設「グリコピア・イースト」(埼玉県北本市)がオープンし、オリジナルのジャイアントポッキーが作れる体験プログラムが話題となりました。このような動向を受けて、2010年代は企業ミュージアム・工場見学施設の開発・リニューアルラッシュとなっています。

New Article
新着記事
Weekly Ranking
ランキング
- 知る!
TOKYO - お出かけ
- ライフ
- オリジナル
漫画