北新宿の「裏路地コンビニ」で、泣きじゃくる男の子にそっとケーキを差し出した女性店員の話
2021年4月24日
ライフ華やかできらびやかな街というイメージが強い東京。しかし、大通りから1本路地に入れば、そこには昔懐かしい住宅地が広がり、名も知らぬ人々がそれぞれの人生を生きています。今回紹介するのは、北新宿にあったコンビニで働いていた60代女性の話です。
住宅地のコンビニで働いていた「母さん」
きらびやかなばかりが東京ではない――。都心のふとした片隅に突如現れる、昭和のまま取り残されたような異空間。そこにもまた名も知らぬ人々が暮らし、大切な今日をひたむきに生きていました。
※ ※ ※
もう20数年も前、私が親しみを込めて「母さん」と呼んでいた、どこかワケあり風な女性がいました。当時、北新宿の外れにあったコンビニで店員をしていました。母さんの本名は分かりません。

職安通りの先、税務所通りを突き当たってさらに奥へ進むとその店はあって、近年ここらあたりは再開発が進み、すでに景色は一変しています。かつては道幅も狭く、生活感が漂う住宅地でした。
女性の年の頃は60と7、8歳くらいで、少し薄くなった髪を後ろに束ね、おたふくのような笑い顔が特徴の、口紅が妙に赤いという出で立ちです。
しいて言えば俳優の勝新太郎の奥さん、女優の中村玉緒さんに似ていました。小柄なせいか、人の顔を仰ぎ見るように話しかける癖がありました。
場所が歌舞伎町からも近いので、ここらには水商売関係の人たちも暮していました。「夜の蝶」と呼ばれる女性たち。その子どもらが当時、10円20円を握りしめて、店の中を1時間も2時間もブラブラするのをよく見かけました。
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