今なお聞こえる120年前の鼓動 中央区に佇む都内最古の道路橋「南高橋」をご存じか
2021年4月23日
知る!TOKYO中央区新川に都内に現存する鉄橋のうち道路橋としては、最古の橋「南高橋」があります。約120年前の構造物を使った同橋について、フリーライターの犬神瞳子さんが解説します。
かつて「霊岸島」と呼ばれた新川
中央区新川は、江戸時代に霊岸島(れいがんじま)と呼ばれていました。元々は江戸中島と呼ばれた隅田川の中州で、徳川家康が江戸をつくる際、堀の掘削が行われて、北が箱崎島(現・中央区日本橋箱崎町)、霊岸島に分かれました。
新川は現在、隅田川や日本橋川、亀島川によって四方を囲まれていますが、江戸時代はもっと掘割(地面を掘ってつくった水路)が多く、地名の由来になっている新川や、地域にあった福井藩の屋敷を囲む越前堀などがありました。
そんな新川ですが、かつてはもっと島の雰囲気があったわけです。
下町テイスト漂うエリアにかかる古い橋
町名としての新川は、北を流れる日本橋川を挟んで、現在の日本橋箱崎町側も含んでいましたが、1971(昭和46)年に住居表示が実施された際、霊岸島・越前堀の地名を廃して、現在の地域が新川にまとめられました。
現在は立派なビルが建つオフィス街かと思いきや、買い物客でにぎわう庶民的なスーパーマーケットがあったり、八百屋があったりと混在するエリアとなっています。大都会のイメージが根強い中央区ですが、この辺りを歩いていると、元々は下町だったと実感します。

新川と外部をつなぐ橋のなかに、南西の同区湊(みなと)に向かう南高橋(みなみたかばし)があります。
南高橋は裏道的な要素が強いため、地元以外の人たちにははっきり言ってあまり知られていない橋です。近くを通る、交通量が多い鍛冶橋通りや八重洲通りと比べても目立たない存在です。
でも、そのデザインを一度見たら驚く人は多いはず。なぜなら、いかにも古めかしい鉄製のトラス橋だからです。ちなみにトラス橋とは、橋の本体がトラス(部材を三角形に組み合わせていく構造)から成る橋を指します。
橋自体が完成したのは1932(昭和7)年ですが、橋の構造物は1904(明治37)年のもの。実に100年以上の歴史を持ち、現在、道路橋として使われている橋では都内最古となります。
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