【東京出身タレント名鑑】いじられ芸人アンジャッシュ児嶋(八王子市)が唯一無二のポジションを築けたワケ

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【東京出身タレント名鑑】いじられ芸人アンジャッシュ児嶋(八王子市)が唯一無二のポジションを築けたワケ

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中村スバル

ウェブライター、作曲家

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多くの俳優やアーティスト、タレントたちを輩出してきた街・東京。そんな東京出身の有名人にスポットを当てて、その人柄や魅力に迫ります。今回紹介するのは、お笑い芸人としてだけでなく俳優としても活躍するアンジャッシュの児嶋一哉さんです。

美しい渡り鳥オオルリの八王子市出身

 近年、さまざまなメディアでお笑い芸人の活躍が目立ちます。

「第7世代」と呼ばれる若手から芸歴20年を超えるベテランまで、年齢やキャリアに関係なく、あらゆるタイプのお笑い芸人が起用されています。近年ますます拍車が掛かるお笑いブームに乗って、主戦場であるバラエティー番組はもちろんテレビドラマやCM、さらには情報番組でコメンテーターや司会を務める強者まで。

 そんな中、ひときわ活躍が目立つお笑い芸人といえば俳優としても頭角を現したアンジャッシュの児嶋一哉さんでしょう。

アンジャッシュの児嶋一哉さん。人気が急上昇し、2021年3月20日には初のエッセイ『俺の本だよ!」も発売(画像:世界文化ホールディングス)



 2020年にはテレビドラマ『半沢直樹』(TBS系)に出演し、“悪徳政治家の右腕的存在の議員秘書”という重要な役を演じました。同作は2013年の前作に続く大人気シリーズであり、物語を左右するポジションであった児嶋さんの演技は高く評価されました。

 彼が所属する大手芸能事務所プロダクション人力舎(都新宿区西新宿)の公式サイトによると、1972(昭和47)年7月生まれの児嶋さんは八王子市出身。

 同市は東京都心から西へ約40キロメートルの距離に位置し、面積およそ186.38平方キロメートル、人口約56万1000人(2020年3月時点)。イチョウ並木やヤマユリの花が有名で、高尾山付近で夏になると見られる青く美しい渡り鳥オオルリは市の鳥として認定されています。

 新宿からJR中央線の中央特快でおよそ38分。通勤・通学にも便利な東京西エリアの主要タウンです。

「児嶋だよ!」はいかにして生まれたか

 そんな八王子市出身のアンジャッシュ児嶋さんは、東京出身のお笑い芸人の中でも特に活躍が目立ち、あらゆるメディアに引っ張りだこ。

児嶋さんの出身地である八王子市(画像:(C)Google)



 バラエティー番組に出演すると、同じお笑い芸人や俳優、アイドルや文化人など、どんなジャンルの人からいじられても面白く返答する能力は、業界内でも定評があります。

「どうですか、大島さん」と聞かれ、「児嶋だよ!」と大声で名前を訂正する独自の“いじられ芸”は唯一無二。また一方でテレビドラマに出演すれば、先述の『半沢直樹』で見せたようなシリアスな役柄も完璧にこなす、俳優としての独自の地位も確立しています。

 今回はそんな一流芸人アンジャッシュ児嶋さんがなぜ今引っ張りだこになったのか、お笑い芸人としてのキャリアを振り返りながら理由を探っていきます。

実はアイドルになりたかった?

 プロダクション人力舎のお笑い養成所に合格した児嶋さんは、1993(平成5)年に相方の渡部建さんとお笑いコンビ「アンジャッシュ」を結成、お笑い芸人としてのキャリアをスタートさせました。

 そんな児嶋さんですが、実は最初からお笑い芸人を目指していたわけではありません。

 関西テレビで放送された『桃色つるべ~お次の方どうぞ~』によると、児嶋さんは中学生時代、歌手の近藤真彦さんにあこがれて、アイドルになりたかったようです。ジャニーズ事務所に履歴書を送ったものの、結果は不合格。不合格の場合は通知が来ないということを知らず、何かの手違いかもしれないともう一度送ったほどだったそうです。

同郷ヒロミさんが導いた芸能事務所入り

 ジャニーズ入りは断念したものの、ダウンタウンやとんねるずといったお笑い界のスターにもあこがれて、芸人になろうと決意しました。

 同じく八王子出身のタレント、ヒロミさんの妹と同級生であったことから、ヒロミさんに弟子入りをお願いするも却下されてしまいます。

 その後、ヒロミさんの勧めで、現在も所属する事務所、人力舎に入ることになりました。

もとは知的でスタイリッシュな芸風

 今となっては“いじられキャラ”がすっかり定着した児嶋さんですが、もとをたどるとそういった路線の芸風ではありませんでした。

 アンジャッシュの代名詞といえば「すれ違いコント」。2003(平成15)年に放送が開始した日本テレビ系番組『エンタの神様』など、お笑い好き歴の長いファンならあのキレのあるやり取りをよくご存じでしょう。

 児嶋さんと渡部さん、ふたりの会話が微妙に食い違い、すれ違い、気づけば思いもよらぬ結末(落ち)を迎えるというコントスタイルは、業界や視聴者の間で知的で実力派なコンビといったイメージを獲得しました。

 そんなスタイリッシュな芸風を追究していたアンジャッシュ。児嶋さん自身「(あの頃は)とがっていた」とYouTubeのある番組で告白しています。

 ただ、あるとき渡部さんから「もうとがらなくていいのでは」と提案され、そこからいじられキャラのアクセルを全開にしていったようです。

芸歴20年超、築き上げたポジション

 相方の渡部さんが、グルメやスポーツなどさまざまなジャンルで強みを生かしポジションを拡大していく中、児嶋さんは明石家さんまさんをはじめとする御所芸人から「大島さん」や「八丈島さん」といった名前を間違えるいじりを受けるように。

 いつしか彼の新たな代名詞的ツッコミ「児嶋だよ!」が確立しました。

 かつての妙なプライドを捨て、いじられキャラに思いきり振り切ったのは結果として大正解だったと、筆者は考えます。

 先述の通り、ダウンタウンやとんねるずにあこがれていたという志望動機から察するに、本当はいじる側の芸人になるビジョンを描いていたのかもしれません。

 しかし、いじる側の芸人には大御所が多く彼らが築き上げた強固な牙城はなかなか崩せません。一方で現在のいじられるポジションは、児嶋さんのキャラクターが存分に発揮されていると言えるでしょう。

 いじられるということは、それだけ周りに愛されていることともイコールです。

 第7世代と呼ばれる若手芸人を中心に、お笑いブームが過熱する昨今。その中で芸歴20年を超える児嶋さんが、お笑い芸人として、俳優として、芸能界の第一線で活躍し続けているのは、何をおいても彼の人間性が周囲を引き付けるからなのでしょう。

 彼の出身の八王子市は、イチョウ並木やヤマユリの花が有名です。美しい自然に囲まれ、数々の流行を生み出す都心にも近い街だからこそ、多くの人々に愛される芸人”アンジャッシュ児嶋”が誕生したのかもしれません。

 お笑い芸人・俳優として目覚ましい活躍を続ける児嶋さん。いじられ上手で引っ張りだこな彼のさらなる飛躍が楽しみです。

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