なぜ若者は「初デート」で原宿へ行き、ついクレープを食べてしまうのか?
皆さんは「初めて東京へ行った日」のことを覚えていますか? 何もかもキラキラして見えたその日の記憶がいつまでも色あせないのはなぜでしょう。初めて東京に行った日の記憶 東京に、憧れの街はありますか? 大人になれば、行こうと思えばどこにでも行ける。でも若いころというのは行けないから憧れの街であり、実際に行けたときの興奮は大きなものになります。 そして街は想像以上に輝いて見えるはず。そんな瞬間のことを覚えているでしょうか。 キラキラして見えた原宿 2021年5月24日(月)に最終回を迎えた中村倫也さん主演ドラマ『珈琲いかがでしょう』(テレビ東京系)。4月12日に放送された第2話では、まさに東京に憧れる女子高生、雅(山田杏奈さん)が登場しました。 「東京で何かしらになりたい」という雅は、青山(中村倫也さん)に頼み込んで東京へと連れて行ってもらいます。 東京の中でも特別に人気の高い街、原宿。コロナ禍以前は多くの人でにぎわっていた(画像:写真AC) 初めて訪れた原宿は「キラキラでフワフワでピカピカでチカチカ」。さらには、芸能スカウトに声をかけられたり……。すっかり舞い上がります。 テレビで見ているだけの場所に実際に訪れると、自分までもがその中の登場人物になれたような気がするのかもしれません。足取りも軽くなり、無敵になったような気分は、「初めて訪れた瞬間」にしか味わえないものです。 雅はそのあと、ちょっとばかり苦い経験もしますが、そんな経験もセットで原宿は思い出の街となりました。また必ずここに来ると誓って。 デートの定番としての原宿デートの定番としての原宿 2021年5月現在放映中のドラマ『あのときキスしておけば』(テレビ朝日系)でも原宿が登場します。松坂桃李さん演じる主人公の桃地が初デートでどこに行けばいいのか悩んでいたときに、バイト先の女性陣が原宿を薦めるのです。 原宿をプラプラして、クレープを食べて、バナナジュースをカップルストローですすって……。 原宿に来たらクレープを食べる。多くの若者が経験するであろう定番のデートコースだ(画像:写真AC) そういうデートコースというのは、長らく憧れのものでした。 だから、「デートの定番」と聞くと原宿・竹下通りが出てきてしまうのかもしれません。竹下通りに行くとクレープが食べたくなるのは、もはや“原宿マジック”のような気がします。 原宿の駅舎は2020年3月に新しく生まれ変わり、昔よりもずっとピカピカでキラキラになりましたが、かつての木造駅舎を知る世代にとっては少し寂しい気もします。 原宿でのデートを経験した人たちは、そんな寂しさをより強く感じているかもしれません。 今の10代が憧れる街は?今の10代が憧れる街は? ネット環境が整い、SNSなどを通じて誰でもどこにいても最新情報にアクセスできるようになった現代。たとえ東京に来なくてもファッションやスイーツのトレンドをキャッチできます。 それに伴い、原宿への憧れももはや過去のものになってしまったのかというと、決してそうではないようです。 2020年3月に発表された「10代が住んでみたい憧れの街ランキング」。第1位は、実は原宿なのです(2019年10月2~18日、10代女性2034人を対象にバイドゥが実施)。 憧れの街にひとり暮らし。あなたはどこに住んでみたいですか?(画像:写真AC) 今も昔も変わらず、日本の「カワイイ」文化を生み出すのは原宿。カルチャーの最先端であり、そこに行けば実際に触れることができ、体感することができるというのはとても貴重なことのように思えます。 ドラマのロケ地として利用されることも多いため、よりその憧れは増していくばかり。上記2作品以外にも、近年では『おっさんずラブ』(テレ朝)ではるたん(田中圭さん)と牧(林遣都さん)が買い物デートをしていました。 ネットショッピングで何でも買える時代になりましたが、だからこそ実際に現地を訪れたことがあるかどうかという“体験”の価値がいっそう増しているとも言えそうです。 前述のランキングは、2位が新宿、3位に渋谷と続きますが、やはりどちらもドラマやバラエティーのロケ地、最近ではYouTubeの撮影場所として登場することが多いのが特徴です。 新宿は、2019年公開の『天気の子』はじめ新海誠監督の映画作品にもよく登場しています。それだけ絵になる場所であり、絵になる場所だからこそ多くの作品に登場し、憧れの街となっていくのかもしれません。 東京の象徴の場所に憧れて東京の象徴の場所に憧れて 原宿や新宿、渋谷以外にも東京の象徴となるような場所はいくつもあります。 港区のお台場などもそうですし、比較的新しいスポットでは東京スカイツリー(墨田区押上)もすでに定番のひとつとなっているのではないでしょうか。 中でも欠かせないのが東京タワー(港区芝公園)です。 恋人同士で行ったことがあるという人もきっと多い東京タワー(画像:写真AC) 家族連れ、友人同士での来場ももちろんですが、とりわけデートスポットとしても長らく定番の場所であり続けてきました。初めてのデートは東京タワーだったという人も多かったはず。 展望台から見える景色は、時代を経て、少しずつ変化していったとしても当時と重なる部分があります。東京タワーを見るたびに、初デートのときのことを思い出す人もいるのではないでしょうか。 たとえ、生まれ育った場所でなくても、より強い思い出を心に残してくれる、東京のさまざまなスポット。今は思い出の場所だと思っていなくても、時を経てより鮮明に心に残るようになるのかもしれません。 あなたの、憧れの東京、思い出の東京の街はどこですか?
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