「3密」から「5つの小」まで 小池都知事の言葉が力強くて記憶に残るワケ
2020年12月27日
ライフコロナに始まり、コロナに終わった2020年ですが、対策の陣頭指揮で存在感を高めたのが小池百合子東京都知事です。そんな小池都知事の発する言葉の強さについて、東京都をフリーライターの鹿間羊市さんが分析します。
「そもそも言葉とは何なのか」
「3密」がユーキャンの新語・流行語大賞に選ばれ、さらには「密」が「今年の漢字」に選出されるなど、2020年は小池百合子都知事の「言葉の力」が目立った1年でした。
新型コロナウイルスの感染状況が拡大し、世間の不安が高まるなかで、会見でフリップを掲げながら明瞭な言葉を発していく小池知事の姿が印象に残っている人も多いのではないでしょうか。

しかしなぜ、小池知事の言葉はこれほどまでに影響力を持つのでしょうか。ここでは「そもそも言葉とは何なのか」という少し哲学的な観点から、小池知事の言葉が強力な理由を考察していきます。
言葉には「現実をつくる」機能がある
言霊(ことだま)という言葉があるように、言葉が現実化する働きに対して日本人は古くから畏敬の念を抱いてきました。また世界に目を向けてみても、例えば聖書の「はじめに言葉ありき」というフレーズに見られるように、言葉に対する信仰や特別視は時代や地域を問わず浸透しているものと考えられます。
上記は言葉が現実をつくるという視点が見られますが、「現実」と「言葉」の関係は、実際のところどうなっているのでしょう。「現実と言葉、どちらが先にあるか」と聞かれたら、多くの人は「現実」と答えるのではないでしょうか。仮に言葉が存在しなくても、現実の世界というものは実体として存在しているはずですから、そう考えるのが当然かもしれません。
現実と言葉の関係は、哲学における主要テーマのひとつとして長らく考察の対象となってきましたが、やはりその前提には「言葉は現実の事柄を言い表すためのものだ」という見方がありました。聖書になぞらえるなら「はじめに現実ありき」であって、言葉はそれを映す鏡のようなものだ、というわけです。
ところが時代が進むにつれて、この「常識」は転換されていくことになります。すなわち、「言葉があって初めて、現実というものが構成される」という考え方が登場してくるのです。

この考え方の転換点は複数挙げることができますが、もっとも決定的だったのはスイスの言語学者で、「近代言語学の父」と呼ばれるフェルディナン・ド・ソシュールの思想です。
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