もはや車内で映画を見るだけじゃない 進化する「ドライブインシアター」の最前線とは

1990年代に日本でブームになったドライブインシアターが近年、再び注目を集めています。車中で映画を見るだけにとどまらないパフォーマンス。詳細について、文殊リサーチワークス・リサーチャー&プランナーの中村圭さんが解説します。


都内でも広がるドライブインシアター

 新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、比較的感染リスクの低いレジャーとして注目されているのがドライブインシアター(自動車に乗ったままで映画を見られる屋外設備)です。

 ドライブインシアター先進国である欧米ではウォルマートが全米160店舗の駐車場でドライブインシアターを開催したり、ソニー・ピクチャーズがスタジオの駐車場をドライブインシアターとして開放したりしています。大手自動車メーカーのテスラは株主総会をドライブイン形式で行いました。もちろん東京都内でも近年、開催が見られます。

 日本国内では1990年代の大型ショッピングセンターの開発ラッシュでサブ核テナントとしてシネマコンプレックス(ひとつの建物の中に複数の映画館が入っている施設)が台頭したため、街の映画館とともにドライブインシアターは次々と閉館して姿を消しました。

 しかし、ハッチ(目黒区中目黒)が手掛ける「Do it Theater」が2014年にドライブインシアターを復活させました。現在は同社と、ラコル(札幌市)が手掛ける「Outdoor Theater Japan」がドライブインシアターを積極的に実施しています。

ドライブインシアターのイメージ(画像:ラコル)



 コロナ禍においてはソーシャルディスタンスが確保でき、3密を避けられる鑑賞方法として支持されるようになりました。劇場やドーム、アリーナなどで歓声を上げることができないなか、大声で盛り上がれる環境と言うのは貴重です。

 また、イオンエンターテインメント(港区台場)のようにシネコンを持つショッピングセンターでも定期的にドライブインシアターを開催するところもあります。

 東京都内はレジャー施設などで実施が見られました。2020年6月13日(土)には東京サマーランド(あきる野市上代継)で、ラコル主催の「Drive in Theater Japan Tour in 東京」が、6月20日には東京タワー(港区芝公園)で「Drive in Theater 2020 at TOKYO TOWER」(ハッチ主催)が開催され、話題となりました。

 近年、東京都内では野外シアターが上映されていますが、都市の景観と融合するドライブインシアターも趣があります。

映画上映前にはDJライブで盛り上げ

 かつて80年代~90年代に流行したドライブインシアターはカップルの利用が多かったのですが、現在はファミリーの利用が多く見られます。

 ドライブインシアターは自家用車というプライベート空間が確保でき、特に幼児を抱えるファミリーには向いているでしょう。40歳以上の利用者にとっては懐かしい存在であり、若い人にとっては新しい感覚のエンターテインメントとして捉えられているようです。

 自家用車を活用したエンターテインメント、まさに「車内エンターテインメント」とでも呼べるレジャーは、映画以外にもさまざまな展開が見られます。

 車の周りにゾンビが出て窓をたたくドライビングお化け屋敷や、アーティストがライブを行うドライブインフェス、お笑い芸人のドライブインライブなど、車内エンターテインメントは多様な手法で進化を続けており、90年代ピーク時のドライブインシアターとは別な文化として発展していると言えるでしょう。コロナ禍による一過性の人気ではなく、新しいレジャーとして拡大していくことが期待されます。

 現在のドライブインシアター復活の立役者と言えるのが前述のDo it Theaterです。ドライブインシアターをはじめ、野外映画上映イベントをプロデュースしており、発端は2014年に浜名湖パルパルの駐車場で開催した上映イベントでした。

 Do it Theater代表の伊藤大地氏によれば、「自分たちの世代のようにドライブインシアターを体験したことない世代に体験してもらいたい、ドライブインシアターと言う文化を現代にも残したいという思いから開催した」とのこと。

 会場は大きなサインや光のモニュメントが設置され、ボックスコンセ(ポップコーンやドリンクなどが入ったボックスセット)をコンセガールと呼ばれる女性が車まで届けに来るなど、アメリカンテイストの演出が楽しめます。現代ならではの映画の新しい鑑賞スタイルも。映画上映前にDJライブを行い、音楽に合わせてハイビームやハザードランプで会場が一体となる参加型パフォーマンスを行っています。

 また、上映中に無料通話アプリ「LINE」でオープンチャットを提供。映画を見ながら実況したり感想を書いたりと、車内間コミュニケーションが可能です。上映後のスタッフロールにおいて車のハザードランプを押す「ハザーディングオベーション」も巻き起こり、映画の新しい盛り上がり方が生まれています。

 11月25日(水)~27日(金)にはドライブインシアター常設会場「Drive in WonderTheater」(神奈川県横須賀市)がオープンしました。

「Drive in WonderTheater」の様子(画像:ハッチ)



 第1弾コラボレーションとして、トヨタの提供する車のサブスク「KINTO」とともにクリスマスにドライブインシアターが開催されます。上映作品『秒速5センチメートル』『時をかける少女』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』はいずれもドライブインシアター初上映となる注目のラインアップです。

花火を楽しめるイベントも

 Outdoor Theater Japanは「日本全国どこでも劇場化」をコンセプトにさまざまな場所で野外映画イベントを開催、イベントを通して地方の活性化や企業のPR活動のサポートを実施しています。

 映画は性別、年代問わず人気のエンターテインメントであり、地方活性化に生かせるのではと考えました。また、海外ではすでに一般的である野外映画を日本でも取り入れたいという思いから2017年より活動をスタート。映画館のない街に映画を届ける取り組みにも力を入れています。

 Outdoor Theater Japanの綱島大輔氏によれば、「新型コロナウイルスのニュースが連日報道されるなか、自分たちでできることはなにかと考えた際にドライブインシアターを思いついた。これまでの野外映画上映プロデュースの経験があれば可能であり、地域に明るいニュースを発信できると考えた」とのこと。

・ドライブインシアター = 映画

という既成概念にとらわれず、車の中から映画と花火を楽しむ「Drive in THEATER with HANABI」などを実施しています。

「Drive in THEATER with HANABI」の様子(画像:ラコル)



 このイベントは新型コロナウイルスの影響で花火大会が中止になってしまった花火事業者や主催者への支援策にもなりました。「Drive in THEATER with HANABI」では100枚用意したチケットが販売開始数分で完売するなど、消費者は新しいエンターテインメントを求めていると言えます。

 今後は「空をスクリーンにする」考えのもと、車の中からドローンの編隊飛行を見せるドローンショーを企画中。また、コロナ禍によって野外上映に注目が移っていくと予想し、屋外スクリーンの販売も計画しています。どのような企業・団体でも野外上映ができる環境整備をしたいそうで、地域と協力して野外映画を定着させることが、現在のエンターテインメント過疎地解消につながると考えています。

 興味のある人はお近くのドライブインシアターをご利用してみてください。


【画像】実際のドライブインシアターを見る

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