東京BRT誕生で注目の中央区「豊海エリア」は月島・勝どきを超えられるか

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東京BRT誕生で注目の中央区「豊海エリア」は月島・勝どきを超えられるか

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県庁坂のぼる

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東京の臨海エリアに位置する中央区の豊海。東京BRTの誕生で現在注目を浴びる同エリアについて、フリーライターの県庁坂のぼるさんが解説します。

豊海エリアとは?

 タワーマンションが立ち並ぶ臨海エリアの一角にある豊海(中央区豊海町)は、長らく公共交通の乏しいエリアでした。この豊海を語るにあたっては、まず地名上の豊海と、豊海として認識されている地域との差を語らなくてはなりません。

 地名上の豊海とは中央区豊海町で、都営大江戸線の勝どき駅から真っすぐ西へ進んだ、主に埠頭(ふとう)と倉庫、団地からなるエリアです。

中央区豊海町(画像:(C)Google)



 ところが周辺住民の認識は異なり、勝どき駅から清澄通りを南西に進み、運河を渡る新島橋を越えた先はすべて「豊海のあたり」と呼ばれます。実際の住所は勝どき5丁目と6丁目ですが、駅のある勝どきの中心部と豊海は運河で分断されているため、このように認識されているのです。

 なお、勝どきは月島通を中心とした西中通・西河岸通・東仲通・東河岸通と東西に長く設定されていたのを、1965(昭和40)年に住居表示を実施する際、整理され、現在の月島と勝どきに分離されています。

 上記のエリアは地名上分けられていますが、ざっくり「月島」といっても間違いではありません。ちなみに勝どき5・6丁目の人に聞くと「勝どきに住んでいる」という人と「豊海に住んでいる」という人の両方がいます。

人口増加もいまだ寂しいイメージ

 さて、この新島橋を渡ったエリアですが、新たなタワーマンションが近年造られ、住人も増加。都営バスは清澄通りを通って真っすぐ亀戸方面、晴海通りを通って銀座・東京駅方面に走っています。とりわけ後者は通勤通学によく使われます。

 ただ、行きのバスは座れる可能性が高いのでよいのですが、帰りは晴海方面・東京ビッグサイト方面へ向かうバスよりも本数が少ないため、毎日住むとなると大変かもしれません。

中央区豊海町(画像:(C)Google)

 そんなこともあってか、マンションの増加で住人は増えたものの、発展はまだ進んでいません。このエリアにあるスーパーマーケットは24時間営業で、ドラッグストアもコンビニもありますが、次第に店が増えている勝どき・月島に比べると少し寂しい印象です。

BRT誕生で気になる存在感

 そんな豊海かいわいですが、いよいよ発展の切り札がやってきました。

 それが2020年10月1日(木)から始まった「東京BRT」のプレ運行です。BRTとは「Bus Rapid Transit」の略で「バス高速輸送システム」のこと。当初は5月からの運行を予定していましたが、東京五輪が延期になったためプレ運行となりました。

東京BRT(画像:東京都)



 現在の運行ルートは、晴海BRTターミナルから新島橋付近にできた勝どきBRT・新橋・虎ノ門ヒルズの約5kmを30分ほどかけて運行しています。

 しかし東京BRTは現在プレ運行のためか、残念ながら沿線ではあまり話題になっていません。周辺住民から聞こえてくるのは、「スモークガラスで中が見えない連接バスが走り始めた」といったようなことばかり。

 全国各地でこれまで導入されてきたBRTは専用道や専用レーンを確保し、大量の乗客を高速で輸送しています。ところが東京BRTは専用道や専用レーンでなく、走っているのは一般道です。

 今後、青信号を延長するシステムの導入が検討されていますが、どれほど高速になるかは今のところわかっていません。東京都では停留所の数を絞ることでも速度アップが可能としています。

 また今後は銀座方面などへも運行が考えられており、新橋駅周辺でも再開発が計画されているため、実現すれば沿線の中でも豊海は「都心や銀座にも交通至便な新しい街」として発展するでしょう。

 ただ、東京BRTが計画された背景には、晴海の選手村が東京五輪終了後にマンションとして販売されて人口3万人程度の街となる――といったシナリオがあるため、豊海の住民は大混雑のバスに乗らなければならない懸念もあります。

 それでも都心に近いエリアであり、コロナ禍であっても豊海のマンション価格はまだまだ上昇傾向を続けています。

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