苦労は美徳じゃなくて、ただの無駄! 敏腕コンサルが語る2021年度版「ラクな働き方」とは
新年度TOPキーワード「ラク活」とは 1年を表すTOPキーワード。消費者経済総研(新宿区新宿)は、2020年は「アキ活」と発表、そして2021年度のTOPキーワードは「ラク活」と発表しました。 「ラク活」とは、「“ラク”になる “活”動」「“ラク”になる 生“活”」を意味します。本稿では、ラク活によって東京での働き方、暮らし方は、どうなる? について解説します。 ラクな活動、楽しむ生活 2020年から続く新型コロナウイルス禍ですが、イスラエルはすでに屋外でのマスク着用が不要になりました。続いて米国、英国も、まもなく卒コロナでしょう。日本も2021年度の下半期にはマスク無しでも感染減少と消費者経済総研は予測しています。 ラクになる活動と、楽しむ生活を意味する「ラク活」とは?(画像:写真AC) 収束によって、2021年度の後半~末は「楽しむ生活」が戻ってくると前回の記事(2021年4月22日配信「敏腕コンサルが2021年度トレンドを大胆予測」)で述べました。「楽しむ生活の“楽活”」です。 そして、本稿で解説する「ラクな活動の“ラク活”」とで、ふたつの「ラク活」が2021年度のキーワードになります。 トレンド予測、注目のアイテムトレンド予測、注目のアイテム 消費者経済総研は新年度の注目ベスト40も発表しています。その中から、ラク活につながるアイテムやサービスを見ていきます。 11位「EVERING(エブリング)」。 これは指輪の形をしたデジタルデバイスです。この指輪を指にはめ、支払時にかざすだけでキャッシュレス決済できます。2021年春頃に予約発売開始予定とのことで、ますますラクに買い物活動(ラク活)ができるようになる注目アイテムです。 13位「都心居住マンション」。 テレワークから再び通常出勤に戻った際には、ラクな通勤生活に関心が高まるでしょう。特に過密都市の東京では、より注目です。 そこで徒歩・自転車で通勤できる都心マンションが13位です。コロナ禍では地方への移住が話題になりましたが、実際の移住者は限定的でしょう。またコロナ禍で、郊外よりも都心志向を示す調査も発表されています。 オフィス不要論も言われる中、都心の開発計画は、オフィス用途から住宅への変更も検討すべきです。 日常をラクにする便利なサービス日常をラクにする便利なサービス 9位「出前サービス」。 フードデリバリーサービスは続々登場しています。選択肢が増えたことにより、2021年度は、よりラクになる食事生活ができそうです。 女性客を意識したおしゃれさや、事前の適正テストに合格した人だけが配達員を務める、安心感の高い「Wolt」も注目です。 「フードパンダ」は食べ物以外にコンビニの日用品の配達も始めました。ムダを排除し、従来の ECより早くが目標です。「25分以内に届く」を目指しています。 これを「EC」を発展させた 「QC」(クイックコマース)としています。食べ物以外も運んでくれるので、いっそうラクになりますね。 自宅に配送してくれるサービスも格段に充実(画像:写真AC) 5位「ピックゴー」 届けてほしい荷物があるユーザーと、配送者を直接マッチングするアプリ。最短30分で届きます。生活者の買い物代行や、ビジネスの書類・小包などの配送も。生活者もビジネスパーソンもラクになります。 18位「クラウドサイン、他」。 契約締結の時間・手間を削減するサービスがさまざま増えています。ラクに業務活動できますね。 会社も「ムダ活」から「ラク活へ」会社も「ムダ活」から「ラク活へ」 在宅勤務と出勤の比較で、通勤電車は“痛勤電車”だと認識されました。また通勤の「時間」そのものもムダだと思われました。その他、過剰な会議、訪問営業、付き合い飲み会、付き合い残業などもムダだったのでは? との意見も急増しました。 こうして、コロナ禍をきっかけとして急激に会社員のさまざまな活動が、無駄な活動(ムダ活)としてクローズアップされました。 日本の社会は、非効率? コロナ禍対策の支援・給付の手続きは、煩雑で時間もかかり、批判されました。テレワークでは、紙の請求書、紙の稟議(りんぎ)書、紙の契約書、そしてハンコ押印の苦労といったムダが顕在化しました。 日本の役所での、FAXで連絡したり、申請データを紙に印刷して作業したりする姿にあらためて驚かされました。受信FAXを見るためや、押印のために職場へわざわざ行くのはムダだと言われました。米国ではFAXは、博物館に昔の物として展示されています。 米マイクロソフトのCEOは「コロナ禍で、変化の速度は2年が2か月になった」という趣旨の発言をしました。日本も世界もコロナ禍で、急激な変化を実感しました。同時にムダに気づくことが、多くなりました。 日本の生産性は、コロナ前から先進7か国で最低でした。政府も民間も役所も、ムダな活動を、簡素化・効率化・デジタル化しようとの意識は高まっています。 こうして、コロナ禍をきっかけに、生活も仕事も、ムダを省いてラクにするマインドが高まりました。こういった観点からも、2021年度は「ラク活」に注目です。 新年度は激変の1年に新年度は激変の1年に「ラクは悪だ。苦労が美徳だ」という人もいるかもしれません。しかしラク活は「手抜き」ではなく「手間抜き」です。「怠ける」わけでもありません。 そもそも「苦労が美徳」は考え直すべきでしょう。苦労は苦痛と無駄につながります。「苦労 → 努力」へと置き換えるのです。もっと言えば、プロなら、苦労や努力よりも「結果」を出すのが重要です。 「空き時間を“活”用する」という意味の2020年のキーワード「アキ活」。クラウドワークス、ココナラなど、空き時間を利用して収入を得るためのさまざまなアプリが成長しました。 これらは2021年度も引き続き消費者経済総研のベスト40にランクインしています。会社員で苦労している人の中には、アキ活アプリで仕事をするという、ラクなワークスタイルへ変更する人も増えるのではないでしょうか。 「苦労が美徳」は正解ではありません。働き方も暮らし方も、ムダ活からラク活へ。 みなさんも、ベスト40アイテムをはじめ注目の商品やサービスを試すなど楽な生活(ラク活)にトライされてみてはいかが?
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