散歩の途中で橋を発見! あなたは「渡る派」or「くぐる派」? 隅田川沿いウオーキングで考える

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散歩の途中で橋を発見! あなたは「渡る派」or「くぐる派」? 隅田川沿いウオーキングで考える

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増田剛己

散歩ライター

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魅力的な隅田川沿いの散歩。その中でも左岸と右岸、どちら歩いて楽しいのでしょうか。散歩ライターの増田剛己さんが解説します。

橋を渡るか、くぐるか

 隅田川の川沿いは信号などに妨げられずに、かなりの距離を歩けます。場所は蔵前橋から桜橋までで、このエリアは隅田川テラスとして整備されており、ウオーキングやランニングをしている人や、お昼時はランチを食べるサラリーマンやOLでにぎわっています。

 スタート地点はどこでも構いませんが、銀座線浅草駅からすぐの吾妻橋から歩き始める人が多いかもしれません。ただし浅草駅も現在、人が増えています。「密」を避けて歩くなら、都営浅草線・大江戸線の蔵前駅からのアプローチがおススメです。

 隅田川は右岸と左岸があります。上流から下流を見て、右側が右岸で台東区側です。その対岸が墨田区側で左岸です。

 筆者(増田剛己、散歩ライター)はかつて橋を渡りながら右岸と左岸を交互に歩いていました。つまり橋を「渡る派」です。

 ところが橋の下をくぐって走る水上バスに一度乗ってみたら、真下から見た橋がとてもきれいで、筆者はそれ以来橋を渡らず、橋の下を鑑賞しながら歩く「くぐる派」になりました。

蔵前橋を真下から見ると、黄金色の鉄橋がなんとも美しい(画像:増田剛己)



 水上バスの場合は橋の真ん中あたりをあっという間に通り過ぎてしまいますが、テラスから橋を見る場合、立ち止まればじっくりと、好きなだけ鑑賞できます。

誰もいないときに声を出す

 また遠くに見える橋にだんだん近づくにつれ、橋の下が見えてくるのもよいです。橋の真下に入ると、日の光や音が遮られます。橋の下側の大きなボルトなどが見えるのにもワクワク。

 橋自体を見るのも楽しいですが、川面に映る橋の姿がゆらゆら揺れているのもなんとも言えません。誰もいないときはこっそり声を出してみます。「アッ」と叫んでみると、その声が反響します。その具合も橋によって違い、また面白いのです。

 隅田川テラスに何度も足を運んで、橋の下をくぐるには右岸の台東区側がいいということがわかりました。橋の下をくぐるには右岸の台東区側がいいでしょう。筆者が1番好きなのは蔵前駅からすぐの蔵前橋です。

 蔵前橋の鉄骨は黄金色に塗装されおり、なんだかリッチな気分になります。浅草駅からすぐ近くにある吾妻橋は小豆色で、橋ごとにそれぞれ違うため、歩いていて楽しいのです。

 吾妻橋と言えば、浅草側から見れば、東京スカイツリー(墨田区押上)やアサヒグループ本社ビル(同区吾妻橋)などが見える浅草観光の有名スポットで、橋を渡る人々も多いです。ただ、残念ながらこの吾妻橋だけは真下から見ることはできません。真下がトンネル状態になっているからです。

吾妻橋は橋をトンネルでくぐる構造になっている(画像:増田剛己)



 吾妻橋は真下から見えませんが、トンネルを歩くのもなかなか楽しいものです。トンネルの入り口に貼られている日本語、英語、中国語、韓国語で書かれた説明書きによれば、6時から21時まで通れるようです。

鉄橋を走る電車を見る楽しさ

 吾妻橋は、人や車と同じように電車も橋を渡っていきます。鉄道橋とそこを走る電車を見るのは、隅田川テラスを歩く楽しみのひとつです。1番の見どころは隅田川橋梁、東武鉄道伊勢崎線でしょう。ここは、浅草駅からスカイツリーに向かって電車が走っていきます。

隅田川橋梁の上を走る伊勢崎線(画像:増田剛己)



 電車は隅田川橋梁の上をゆっくり進んでいきます。天気のいい日などこのあたりでカメラを構えている人を見かけることも。

 そして以前は電車が走るだけだったのですが、2020年6月に電車の下に歩行者が歩ける「すみだリバーウォーク」というのが造られました。下がウッドデッキになっていてちょうど斜め上を電車が走っていきます。自転車も降りて押せば通れるようです。

捨てがたい総武線の鉄道橋

 もうひとつ電車が通る鉄道橋があります。総武線です。隅田川テラスのいちばん下流にあります。

隅田川橋梁の上を走る総武線(画像:増田剛己)

 ボーっと総武線を眺めながら歩いていると、なぜかこの鉄橋で上りと下りの電車がすれ違っています。2台分の車両の黄色い線が長く続いています。いつもそうなのかと思って眺めていると、どうやらそうでもないようで、片側だけが通り過ぎていきます。

 江戸時代のこのあたりがどういう場所だったのかという説明書きがあったり、隅田川にまつわる安藤広重の浮世絵が飾られていたりして、ぶらぶら歩く人にとって飽きさせない工夫があります。

 蔵前あたりの堤防には蔵の模様が施されていて、かつてこのあたりに蔵が立ち並んでいた雰囲気を出しています。かつてあった蔵前国技館についての説明書きも。

 今は大相撲と言えば両国国技館(墨田区横網)ですが、筆者が小学生の頃は蔵前国技館でした。テレビ中継の最後、太鼓の音とともにアナウンサーの「蔵前国技館からお送りしました」というセリフが思い出されます。

右岸を歩くか、左岸を歩くか

 隅田川の右岸を歩いていると、左岸の墨田区側が気になります。つい、「あっち側もよさそうだ」と思うのです。

 実際に歩いてみると右岸と左岸ではかなり違いがあることがわかります。右岸はコンクリートやタイルなどで覆われた道ばかりですが、左岸は土の道が残っており、植物も植えられています。

自然がいっぱいの隅田川テラス左岸(墨田区側)。頭上は高速道路が走っている(画像:増田剛己)



 左岸は頭上を首都高速6号向島線が走っており、その関係でしょうか、道幅が狭い場所が結構あります。

 個人的には右岸も左岸もどちらも捨てがたく、せっかく来たのだから両方を味わいたいと、橋を渡って結局反対側へ歩くこともしばしば。冒頭、筆者は橋を「くぐる派」だと書きましたが、「渡る派」でもあるのです。その日の気分で自由に歩けるのが散歩の楽しいのです。

「なんだ、言っていることに矛盾があるじゃないか」と呆れる人もいらっしゃるかもしれませんが、その日の気分で自由に歩けるのが散歩の楽しさですので、ご容赦いただければ幸いです。

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