新元号の書家を輩出 なぜかピーターラビット研究も盛んな「大東文化大学」とはどのような大学なのか

駅伝の強豪校として知られる大東文化大学。その他の意外な素顔について、教育ジャーナリストの中山まち子さんが解説します。


スポーツと書道が強い総合大学

 大東文化大学(板橋区高島平)といえば、一般的にスポーツ強豪校のイメージがあります。

板橋区高島平にある大東文化大学の板橋キャンパス(画像:(C)Google)



 初の大学駅伝3冠(出雲駅伝・全日本大学駅伝・箱根駅伝)を成し遂げ、黄緑とオレンジ色のユニホームで箱根路を疾走する陸上競技部を筆頭に、テコンドー部やラグビー部などの活躍が広く知られているでしょう。

 一方、スポーツ同様に有名なのが書道教育です。

 戦後の学校教育で毛筆書道が軽視されていることに危機感を覚え復活に尽力した上篠信山や、2020年の大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」のタイトルを書いた中塚翠涛(すいとう)などを始め、著名な書家を多数輩出しています。

 特に大東文化大学が書道教育が世間に広く知られたのは、元号発表時ではないでしょうか。平成・令和の元号を揮毫(きごう)したのが、同大卒業の辞令専門官(毛筆を使った公文書を揮毫する専門職)でした。

 揮毫したのは、平成が河東純一氏、令和が茂住修身氏でした。ちなみに河東氏は、大東文化大学の現在のロゴも手がけています。

 また同大は国内唯一の書道研究所があるほか、2000(平成12)年度には日本初となる書道学科を文学部に新設。2005年度には、大学院に書道学専攻博士課程を開校。書道を学問と捉え、さまざまな活動を行っています。

板橋と東松山の2キャンパス体制

 一方、大東文化大学は東京の他大学よりも早い時代に郊外へ大規模キャンパスを設置するなど、拡大路線の先駆け的存在にもなっています。

 1961(昭和36)年に現在の板橋キャンパスを開校。生徒の急増に伴い、東京ドーム6個分の広さを誇る東松山キャンパス(埼玉県東松山市)を1967(昭和42)年に新設しました。それ以降、半世紀にわたって2キャンパス体制を敷いています。

埼玉県東松山市にある大東文化大学の東松山キャンパスの所在地(画像:(C)Google)



 現在は、

●文学部
・日本文学科
・中国文学科
・英米文学科
・教育学科
・書道学科
・歴史文化学科

●経済学部
・社会経済学科
・現代経済学科

●外国語学部
・中国語学科
・英語学科
・日本語学科

●法学部
・法律学科
・政治学科

●国際関係学部
・国際関係学科
・国際文化学科

●経営学部
・経営学科

●スポーツ・健康科学部
・スポーツ科学科
・健康科学科
・看護学科

●社会学部
・社会学科

の8学部20学科で、2020年度は学部生1万1308人が在籍しています。 

 国際関係学部とスポーツ・健康学部は全学年が東松山キャンパスで、他の学部は1年から2年までが同キャンパスを利用、3年と4年は板橋キャンパスで学んでいます。

学問の西洋偏向を危惧した団体が大学のルーツ

 2023年に創立100周年目を迎える大東文化大学ですが、そのルーツは大正期までさかのぼります。

 当時、西洋偏向の教育に疑問を抱いた衆議院議員の木下成太郎(しげたろう)を筆頭に、漢学や東洋文化を学ぶ教育機関創設を目指した有志が帝国議会に「漢学振興に関する建議案」を提出しました。

 しかし1921(大正10)年と翌年の2度にわたって可決されたものの、具体的な動きは起きませんでした。

 そんななか、1923年2月に大東文化大協会を設立。同年3月には帝国議会に3度目となる提出を行い可決。協会に対して補助金支給が決定される結果となりました。このような設立の経緯からも、大東文化大学の書道教育の厚さが分かります。

 半年後の9月には財団法人の認可を受け、教育機関として歩み出そうとした大東文化大協会ですが、その直後に関東大震災が発生。当初予定としていた神田錦町の校舎が消失する憂き目に遭います。

 急きょ法政大学の旧九段校舎を借りて予定通り開校したものの、戦争を挟み校舎の流転が続きます。

板橋区高島平にある大東文化大学の板橋キャンパス(画像:(C)Google)



 1961年に現在の板橋キャンパスに落ち着くまで、九段校舎を含め4度も校舎が変わったのです。

ふたつのキャンパスで地域と連携した事業を行う

 こうした歴史的背景もあってか、大東文化大学では「地域密着型の大学」として、両キャンパスで地域連携事業を行っています。

 商店街の活性化のため、学生と商店街の人たちの間で意見交換を行い、実際にイベントに参加するなど交流を図っています。

 大学からほど近い高島平団地内ではコミュニティーカフェ「グリーン」を運営し、例年、書道教室や語学教室を行っています。

板橋区徳丸にある大東文化会館(画像:(C)Google)



 またキャンパスから少し離れた大東文化会館(板橋区徳丸)では、秋季からオープンキャンパスを再開しています。

山崎製パンとのコラボで総菜パンも制作

 また2019年には、埼玉県比企地域にキャンパスを置く四つの大学・短大と山崎製パン埼玉第一工場(埼玉県所沢市)、東松山市とともに市の特産品である栗を使用した総菜パン「ランチパック栗入りコロッケ」を開発しました。

「ランチパック栗入りコロッケ」(画像:山崎製パン)

 山崎製パンとは2013(平成25)年にも商品開発の仕事を行っており、国際関係学部の学生との企画共同商品「豆乳きなこクリーム&豆乳入りホイップクリームパン」では鳩山町の黒大豆を使用し、次いで東松山市も加わった「ランチパック東松山やきとり風」も商品化しています。

 現在では企業と大学のコラボ商品は珍しくありませんが、郊外にある東松山キャンパスは地域の特産品をアピールし活性化する取り組みを行っています。

地域貢献につながるピーターラビット研究

 さて、漢学や東洋文化振興のために設立された大東文化大学ですが、プロモーションキャラクターはピーターラビットで、必ずしも東洋一辺倒ではありません。その理由は、英米文学科がピーターラビット研究を行っているためです。

 大学図書館や英米文学科が所蔵する、ピーターラビットの作者であるビアトリクス・ポターの資料を展示する「ビアトリクス・ポター資料館」を2006(平成18)年、東松山キャンパス近くの埼玉県こども動物自然公園内に開館しています。

 同館はピーターラビットの世界観そのままに、ポターが愛したイギリス湖水地方のたたずまいを再現しています。

埼玉県こども動物自然公園内の「ビアトリクス・ポター資料館」(画像:(C)Google)



 少子化問題に直面し、大学はこれまでの在り方を問われていますが、そんななか大東文化大学は西洋・東洋どちらの文化にも寄り添い、また地域社会への貢献に力を入れ、次世代の大学の形を具現化しようとしています。


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