銀座ミキモトの動く巨大ツリー、デザイナーが語る舞台裏「魅力的な動きに苦心」

約40年にわたり、銀座の冬を彩ってきたMIKIMOTO(ミキモト)のクリスマスツリー。昨年より新たなコンセプトのもと、アーティスティックな作品に生まれ変わりました。今年のツリーは「リボン」がテーマ。デザインを担当したwe+(ウィープラス)のクリエイターのおふたりに話を聞きました。


7m×7mの巨大空間に広がるインスタレーション

 普段にも増して人々が行き交う師走の銀座4丁目。今、その一角にあるMIKIMOTO(ミキモト)の本店ショーウインドウ前で、足を止める人々の姿が多く見受けられます。その視線の先にあるのは、ミラーフィルムで作られた、キラキラと輝くリボン。

MIKIMOTOの本店のショーウインドウに展示されているクリスマスツリー「MIKIMOTO GINZA TREE 2018」(画像:MIKIMOTO)



 そのリボンが丸く膨らんだり閉じたりする、どこか謎めいた動きにつられて視線を上部に注ぐと、パールのオブジェが降り注ぐかのごとく見えます。そこにあるのは、7m×7mの巨大な空間に展示されたクリスマスツリーのインスタレーション。見る角度によって様々に表情が変わるアーティスティックなツリーです。

ミラーフィルムで作られたリボンが膨らんだり閉じたりする様子(画像:MIKIMOTO)

 本店のツリーは、およそ40年にわたってクリスマスシーズンの銀座を彩ってきました。その始まりは、1976(昭和51)年に遡ります。軽井沢から運ばれてきた高さ約5メートルの根付きのもみの木に、シンプルなイルミネーションとポインセチアを飾ったツリーが最初です。

 その2年後の2回目の展示では、高さ10メートルのツリーを赤青黄の豆電球500個で装飾。以後、毎年展示されるようになり、1981(昭和56)年からは点灯式も実施。テーマに即して毎度異なる装飾を纏(まと)う美しきツリーは、銀座の冬の風物詩として定着していきました。

 本店ビル建て替えのため、もみの木を電飾で彩るツリーは2014年が最後となり、グランドオープンした2017年は趣向をガラリと変更。コンテンポラリーデザインスタジオwe+(ウィープラス)によるインスタレーション「MIKIMOTO GINZA TREE」として復活し、注目を集めました。

 2018年も引き続きwe+がデザインを担当。同スタジオのクリエイター、林登志也さんと安藤北斗さんに2作目となる今年のツリーについて、話を聞きました。

「出来栄えは95点!」クリエイターが語る制作の舞台裏

「今まで見たことも聞いたこともない、新しいツリーの在り方を提案したいというのが『MIKIMOTO GINZA TREE』の根底にあります。今年は『リボン』というテーマのもと、それを最も魅力的に見せる方法は何かと考えたとき、絶え間なく動き、見る角度や陽光の加減、照明によってさまざまに表情を変える、現状の形に辿りつきました」(林さん)

夜は昼とはまた違った妖しい雰囲気の表情に変わるツリー(画像:MIKIMOTO)



 このツリーを見たとき、誰もが注視するのが、ゆっくりと動くリボンが描く形ではないでしょうか。「雪の結晶のようなもの、花のようなものが現れては消える。リボン×雪、あるいはリボン×冬、そういったものを表現しました」と安藤さん。アイデアを形にして行く上で最も苦心した点について、「リボンの動きをいかに魅力的に見せるかということでした」と語ります。

「リボンが開く大きさやミラーフィルムの素材感が魅力的に見えるよう、さまざまなパターンを想定し、片っ端から検証しました。リボンは鏡面仕上げなので、ショーウインドウのガラス一枚挟むだけで光の屈折具合が変わり、想像と違った見え方になってしまいます。ですから昼に夜に何度も店を訪れて、リボンの動きの試行錯誤を繰り返しました。それが最も大変だったですね」(安藤さん)

 使われているリボンは、ゴールド、ブラウンゴールド、シルバー、レッドの4色。全てオリジナルカラーで、作品を最も美しく見せる微妙な色合いを出すために特注したそうです。

 他方、林さんは銀座という土地柄も制作において難しかった点に挙げます。様々な建物や光、目線がある中で、見え方をひとつひとつ検証することが必要でした。しかもそれは、7m×7mという巨大なショーウインドウでのインスタレーションが相手。

 これだけ大きなショーウインドウでひとつの作品を展示するのは、両者とも知る限りにおいて、日本ではなかったのではないかといいます。その空間全体で、どこからでも美しく見えるようにするのにはかなりの創意工夫を要したとのこと。その出来栄えを問うと「完璧なものなどありませんが、街ゆく人々やMIKIMOTOの方々に気に入っていただけたことが何よりうれしく、100点満点の95点です!」と言ってご両人とも満面の笑み。

ツリーが一番綺麗に見える時間と角度は?

 最後に、どの時間帯にどこから見るツリーが最も魅力的かを聞きました。

「動きのあるものなので、間近で見た方がより楽しめると思います。リボンが開く様子は、実は真下から見るのが一番面白くて、パンパンパンと開いて行く様子をぜひ楽しんでもらいたいですね。時間帯は夜の方が、日中以上に表情が変わって行く面白さがあるのではないでしょうか」(林さん)

 安藤さんも、夜の方がよりオススメとのこと。「リボンの動きを比較的遅くしているのですが、銀座は忙しない街なので、ぼんやりとゆっくりと動いていることで、街のリズムとのコントラストを作っています。夜はいろんな光が動いているように見えるので、いい目置き(ぼんやりと目を置ける)となって、ひと息つけるのではないでしょうか」と話します。

店内側から見たツリー。音が聞こえるのは店内側のみ(2018年12月7日、宮崎佳代子撮影)



 ツリーは店内側からみると、外から見るのとは全く異なる色や形が浮かび上がり、音も聞こえます。下から断続的に当てられる照明によって、オーナメントのパールが内側から光を放つように見え、「パンパンパン」というリボンの開く音は、オブジェ全体が生き物で、呼吸しているかのようにも感じられます。

 グランドオープンに伴い内装も一新した本店は、ゆったりとしたラグジュアリーな空間が広がり、自然光と柔らかな照明がMIKIMOTOパールの照りの美しさを巧みに引き出しています。そのエレガントさとジュエリーの輝きにもマッチした唯一無二のクリスマスツリー「MIKIMOTO GINZA TREE 2018」。昼夜問わず、自分自身でフォトジェニックなアングルを見つけるのも楽しいことでしょう。

● 「MIKIMOTO GINZA TREE 2018」概要
・住所:東京都中央区銀座4-5-5(MIKIMOTO本店)
・アクセス:各線「銀座駅」A9出口から徒歩約1分
・営業時間:11:00〜19:00
・ツリー点灯:11:00〜23:00(12月25日まで)

※掲載の情報は全て2018年12月時点のものです。


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