1日プレ運行開始 東京BRT「連節バス」が新橋~晴海間しか走らないワケ

10月1日からプレ運行を開始したバス高速輸送システム「東京BRT」。その詳細について、フリーランスライターの小川裕夫さんが解説します。


BRT = バス高速輸送システム

「東京BRT」が2020年10月1日(木)、プレ運行を開始しました。

新橋駅付近を走る東京BRTの車両(画像:小川裕夫)



 昨今、次世代の公共交通機関として注目されているBRTは

・Bus
・Rapid
・Transit

の頭文字をとった略称で、日本語に訳すと「バス高速輸送システム」となります。

 地方都市では過疎化が急速に進み、自動車社会という背景もあってローカル線の利用者は激減しています。これまで地域の足を守ることを使命にしてきた行政・鉄道事業者も膨大な負担に耐えきれる体力はなく、赤字路線の維持が難しくなっています。そのため、負担の軽いBRTへの転換を模索してきました。

 宮城県と岩手県の沿岸を走る気仙沼線・大船渡線は、東日本大震災で被災。採算面が考慮されて、BRTによって復旧しました。

人口の少ない都市や地域で導入

 一見するとBRTは単なる路線バスですが、バス専用道を整備して定時性を確保したり、車体をふたつ以上つなげた「連節バス」と呼ばれる特殊車両によって大量輸送を実現したりと、通常の路線バスとは異なる輸送システムになっています。BRTは、鉄道と路線バスの“いいとこ取り”を目指したものといえます。

 気仙沼線・大船渡線と同様に、2013年に茨城県日立市でひたちBRTが運行を開始。ひたちBRTは、2005(平成17)年に廃止された日立電鉄の線路跡を専用道に転換したものです。その専用道を走ることで、ひたちBRTは定時性と速達性を確保しています。

2013年に運行を開始したひたちBRT(画像:日立市)

 このほかにも、2017年の九州北部豪雨で被災した福岡県と大分県を結ぶ日田彦山線をBRTに転換する計画も進んでいます。

 日本におけるBRT導入の経緯を見ると、人口の少ない都市や地域で導入されている事例が目立ちます。

“プレ”でも昼間に3~4本運行

 しかし、東京BRTは違います。

 東京BRTの沿線はオフィスが立ち並び、昼間はビジネスマンを多く見かけます。また、東京五輪の開催に合わせて再開発が進められたこともあり、人口が急増しているのです。つまり、東京BRTは多くの利用者が見込めるエリアを走っています。

JR新橋駅に設置されている東京BRTまでの案内(画像:小川裕夫)



 当初、東京BRTは東京五輪の選手村へ向かう足としての利用を想定していました。そのため、開催に合わせるように整備が進められていたのです。

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で五輪は延期。その影響で、東京BRTの運行計画にも狂いが生じました。

 それでも、10月1日からプレ運行を開始。“プレ”となっていますが、試験的な運行という趣はなく、昼間でも3~4本を運行しています。沿線住民が買い物や通勤・通学で利用するにも支障はありません。

運営は京成バスと新会社

 東京BRTを所管するのは、東京都都市整備局です。都バスを運行しているのは交通局ですが、交通局は東京BRTを所管していません。そうした点からも、東京BRTは単なる交通機関ではなく、都市開発と一体化したインフラであることがうかがえます。

 実際にバスの運行を担当しているのは、京成バスと京成バスが設立した新会社の東京BRT株式会社(千葉県市川市)です。京成バスは千葉県で連節バスを運行するなど、一定の実績を有しています。

海浜幕張駅周辺で運行されている京成バスの連節バス(画像:小川裕夫)

 東京BRTの停留所は

・晴海BRTターミナル
・勝どきBRT
・新橋
・虎ノ門ヒルズ

の四つ。停留所の数が少ないため、スムーズに移動できる点が東京BRTの特徴です。

 しかし、東京BRTにはBRTの特徴ともいえる専用道を走る区間はなく、ほぼ一般道を走ります。また、東京BRTには今のところ連節バスが1台しか導入されていません。その連節バスは、朝一便を除いて新橋~晴海BRT間しか走りません。これは、新橋~虎ノ門ヒルズ間の道路事情が起因しています。

 昼間から夕方にかけて、新橋~虎ノ門ヒルズ間の道路は交通量が多く渋滞します。また、沿道の店舗への配送やタクシーの客乗せといった道路に駐停車する自動車も多く、連節バスを安全に走行するには慣れるための時間が必要との判断がありました。

 せっかく東京BRTに乗車するなら、珍しい連節バスに乗ってみたいと思う人はいるでしょう。東京BRTの時刻表には、連節バスの表示があります。時刻表を確認してから、停留所で待ちましょう。

1日乗車券利用時には注意を

 現在、東京BRTは一路線だけしか運行されていません。今後は3ルートまで路線を増やすことを予定しています。また、環状2号線の開通といった道路環境の変化に伴い、運行ルートも変化する予定です。

連節バスは車体が長いので、連節バスの背面にも「追い越し注意」の注意喚起がなされている(画像:小川裕夫)



 東京BRTは23区内を走る都バスと同様に前から乗車し、後ろから下車します。運賃は一乗車220円の均一ですが、ICカード利用による1日乗車券もあります。

 1日乗車券は1日に3回以上の利用でお得になりますが、乗車時に運転士に「1日乗車券での利用をお願いします」と伝える必要があります。何も言わずに乗車すると、そのままICカードからチャージ金額が引き落とされるだけなので注意が必要です。


【画像】上手く曲がれる? 連節バスのコーナリングを見る

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