体験者わずか7% いっとき話題のオンライン飲み会、「早くも下火」は本当か?

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体験者わずか7% いっとき話題のオンライン飲み会、「早くも下火」は本当か?

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鳴海汐

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外出自粛期間中だった2020年春、テレビなどのマスコミがしきりに取り上げた「オンライン飲み会」。しかし実際に経験した人は少なく、早くもその名を聞く機会はだいぶ減りました。しかし「大人世代にとってのブームはむしろこれから来るのでは」と、ライターの鳴海汐さんは予想します。

9割超が未経験との調査結果も

 新型コロナウイルスの感染再拡大を警戒する「東京アラート」が解除され、同時に休業要請も最も軽い「ステップ3」に緩和された東京。部分的ではありますが、明るいムードが戻りつつあります。

「ステップ3」では、居酒屋などの飲食店が午前0時まで営業できるように。対面でのリアル飲み会がこれから再び増えていく期待はありますが、一方、むしろ今後にこそ30代以上の大人の間で「オンライン飲み会」が本当のブレークを果たすのではないかという予感があります。

オンライン飲み会、やったことがあるのはごく少数派?(画像:写真AC)



 外出自粛期間に盛んにメディアに取り上げられたオンライン飲み会ですが、情報サイトの「しらべぇ」が全国10~60代の男女1880人に行ったアンケート調査では、オンライン飲み会をしたことがあるのは全体のわずか6.8%でした(2020年5月21日付)。

「話題だけが先行か?」と見出しにもうたわれているのですが、いやいやブームはまさにこれからだと、筆者が考えた理由は以下の通りです。

初のオン飲み体験は宣言解除後

 新型コロナウイルスの感染拡大は以前より落ち着いているものの、現時点ではワクチンも特効薬もない状況です。東京では連日ふたケタの新規感染者が確認され続けていて、まだまだ気を抜くことができません。

 かくいう筆者も、友人に「もう少し状況が落ち着いたら会おう」と言ったり、言われたりするばかりです。しかしよくよく考えるとこういった連絡自体、緊急事態宣言が発令されている間はほとんどありませんでした。宣言が解除になってから連絡が一気に来始めたのです。

 つまり緊急事態宣言中は、人に連絡を取るほどの元気がなかった大人が少なくなかったということ。

 筆者が初めてオンライン飲み会をしたのは宣言解除後。学生時代のサークル仲間10人ほどの会でしたが、同じく解除後にオンライン飲み会をするようになってその日が2回めだという人が3人、筆者を含むあとの7人は初めてで「実はやりたいと思っていた」という人ばかりでした。

大人の「潜在的関心」高い理由

 リアルなママ友飲み会の予定と重なってしまい参加できなかった人までが、「オンライン飲み会、やってみたかったー」と無念さをにじませていて、潜在的な関心は非常に高いのだと感じました。

 オンライン飲み会の様子はテレビのニュースなどで見ていたのである程度分かっていたつもりでしたが、やはり実際やってみて改めて気づいた長所があります。まだやったことがないという大人世代に向けて、特長を挙げていきたいと思います。

 まずは何より、人に感染させてしまう恐れ、人から感染してしまう恐れがないことでしょう。自宅からお店までの移動が発生しないので、大切な友人だけでなく、電車で乗り合わせる面識のない人々との接触もゼロ。

 お店への移動がないことで可能になってくるのが、遠方に住んでいても全く問題なく参加できることです。実際、筆者たちの飲み会は海外在住で2020年夏は日本に帰国できないメンバーによる企画でした。

 お店への移動がないと、場所だけでなく時間に自由が出てきます。リアルでは集まりにくい、夕食後の遅めの時刻にスタートできて、30代以上に多い子育て家庭でも子どもを寝かしつけたあとの参加が可能です。

子どもが寝静まったのを見計らってオンライン飲みに参加するパパやママ世代も(画像:写真AC)



 これまでなら難しかった小さな子どもがいるママの夜の飲み会参加や、2時間は無理だけど30分くらいなら……といった「ちょっとだけ参加」が、リアルよりずっと簡単にかないます。

 皆が家にいる時間帯を狙えば、リアルよりもスケジュール調整がしやすく、飲み会の参加者が多くなります。

大人の財布にも優しい良コスパ

 実はお金がほとんど掛からないことも画期的です。リアル飲み会ならすぐ5000円は掛かりますが、例えば缶のアルコールドリンク1本で十分に酔えるという人なら300円程度で納まってしまいます。

 お金が絡まないとラクなことは他にも。リアル飲み会なら、お酒を多めに飲んだ人、ほとんど飲まなかった人など、支払いの調整が必要です。もしくは調整をあまりしないで済むよう、ドリンクの種類や価格帯、何杯オーダーするのかを周りに合わせる必要があります。

 オンラインなら、その気遣いが一切無用。楽しかったせいもあり、筆者はワインのボトルを飲み進み、グラスを落として割る程度に、久々に酔っぱらってしまいました。飲み終わった後の「帰宅」という移動がないのも、安心して酔っぱらえる一因かもしません。

身だしなみにも気が回るように

 家にいるから、家の中の物をすぐ紹介できることもメリットです。当時のサークルの写真を見せてくれるメンバーがいましたし、筆者は皆が記念品として保管しているという、その日届いたばかりの「アベノマスク」を装着して見せることができました。

 今回特に印象的だったのは、「(外出自粛で)3か月も閉じこもっていたからメンタルがまだ元気じゃない」という友人が、「皆のテンションについていけるか自信がないけれど、オンライン飲み会は一度やってみたかったから」と参加を表明し、「せっかくだから美容院でも行くか~(笑)」と言っていたこと。

オンラインであっても「人と会う」予定があると、気持ちにメリハリが生まれる(画像:写真AC)



 たとえオンラインであっても誰かと“会う”予定があると、こんな風に人はちょっと元気になるのですね。筆者も、画面越しでは見えないとは思いつつもフェイシャルパックや歯のホワイトニングをして、ワクワクしてその日を迎えました。

赤裸々トークはちょっと難しい

 さて、飲み会を終えて一番の課題だと感じたのは、皆がそれぞれ家にいると、それぞれの家族が近くにいるので話がしづらいということでした。

 家の構造や家族構成、タイミングによりますが、家族に聞かれたくないような話はできないので、比較的当たり障りのない会話になりがちです。リアル飲み会では普段、恋愛や家族の愚痴(ぐち)を話すメンバーなだけにそう感じました。

恋愛トークや愚痴を言い合いたいなら、やっぱりリアル飲み会の方が良い?(画像:写真AC)



 オンライン飲み会の他の参加者の声は、イヤホンやヘッドホンをすることで周囲に漏れませんが、自分自身が発する声は同居の家族に聞かれる可能性があります。

 将来、これが解消できるような、例えば「消音のヘルメット」みたいなものが開発されたら、飲み会のみならずオンライン通話の利用価値はさらにぐっと上がるでしょう。

 なんでもかんでもざっくばらんには話せなかったこともあり、ますますリアルで会いたくなったのは良い効果だったと言えそうです。

 今後リアルとオンラインの使い分けが進むにせよ、子育て中だったり、転勤・出張で遠方にいたりと諸事情の多い大人世代にとって、オンライン飲み会は平素から何かとメリットの多い便利なツール。

 もし、「どうせマスコミが騒いでるだけでしょ」と敬遠していた人がいるのなら、ぜひ一度試してみることをお勧めしたいと思います。

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