コロナ余波でスーパーに「格安高級魚」 都民にとって幸か?不幸か?

大きなカツオのサクに、ホタルイカ、メバル。最近スーパーの鮮魚売り場に破格の高級魚が並んでいることにお気づきでしょうか。これも新型コロナウイルスの影響によるものだそう。消費者にとってありがたいことなのか否か、お料理好きのトレンドウォッチャー、カシハラヒデコさんが考えます。


こんなところにも新型コロナの影響が

「最近、東京の魚がおいしい」といううわさを聞いて、スーパーに駆けつけてみました。なんでも聞いた話では、「カツオ」がびっくりするほどの味なのだとか。そこで早速スーパーの鮮魚売り場でカツオを購入、家で食べてみることにしたのです。

高級魚がスーパーで安く手に入る現状。消費者にとっては確かにありがたいが……(画像:写真AC)



 一見いつもと変わらないようにも思えるけれど、口に入れると脂がのっていて実にうまい。

 これは一体どうしたことなのでしょう。しかも売り場に並んでいたのは、いつものような切り身ではなく、かなり巨大なサク。さらに赤くておいしい部分ばかり。そういえば1週間くらい前にも並んでいたようにも思うけど、そのスーパーに関してはそのときよりさらに100円ほど値が下がっていることにも驚きました。

2019年よりも卸売価格が下がっている

 新型コロナウイルスの感染拡大によって外出自粛と在宅勤務(テレワーク)が推奨されて、飲食店の客足がどんどん減っていたところに「緊急事態宣言」の延長まで決まり、街の飲食店は休業や短縮営業を迫られたり、廃業せざるを得なくなったりした店もあります。

スーパーで購入したカツオ。赤くておいしい部位ばかり、サクで売られていた(画像:カシハラヒデコ)

 今が一番おいしいカツオなのに飲食店での需要が無くなってしまって、流れ流れてスーパーにたどり着いているそうなのです。それも、ずいぶんと単価が下がった状態で。

 気になって、豊洲市場(江東区豊洲)で取引されたカツオの卸値を調べてみたところ、その週(2020年5月1日~4日)の主産地の高値の平均は、前週(4月24日~30日)から461円低下して900円。

 前年の同時期と比べると2割ほど安い。スーパーでも出回りやすい価格になっているのです。消費者にとっては、ありがたいことかもしれませんが。

高級店向けのホタルイカがこの価格で

 そしてこれは当然、カツオに限った話ではありません。

 前述のスーパーの鮮魚売り場に駆け込んだとき、実はまず目についたのはビックリ価格のホタルイカの方でした。しかも大ぶりで、ぷくぷくとしてうまそう。

 ホタルイカといえば、一般的な家庭よりは居酒屋でつまみに食べるものという認識。スーパーで売られているホタルイカはそんなにおいしくないだろうと思っていました。ところが試しに買ってみたホタルイカは、身がぷくぷくで真ん丸。これがめっちゃおいしいのです。

近くのスーパーで見つけたボイルホタルイカの売り場。100g税込み246円とは驚き(画像:カシハラヒデコ)



 しかも1パック120g入って税込みでも300円を切るという破格。自宅でホタルイカとブロッコリーに大葉をのせたペペロンチーノを作ってみたら、思わずうなり声が出るほどにおいしい代物が出来上がってしまいました。

 4月18日配信の時事ドットコムニュースの記事によると、2020年は富山湾のホタルイカの水揚げがとっても好調なのだとか。

「昨年(2019年)まで、不漁続きで主に高級店などでしか味わえなかったが、(2020年は)新型コロナウイルスの感染拡大による外食需要の低迷もあり、豊洲市場では卸値が大幅に値下がり。首都圏のスーパーなどにお目見えし、人気を集めている」と伝えています。

 ものすごく質の高い、それこそ高級すし店などに出されていたはずのホタルイカが、今期は手に届く価格で近所のスーパーに並んでいるというのです。

破格のキンメダイに感じる一抹の不安

 そうかと思えば、街のスーパーにはめったに並ばないメバルまで売り場で見つけました。さらにはキンメダイまで。切り身ではない丸のままのキンメダイがここいらで売られているなんて、めったにあることではありませんよ、と筆者の心中は大騒ぎ。ちなみにこの日は1匹1500円。これはかなりの破格といっていい値付けです。

スーパーで買ったホタルイカを使って自作のスパゲティ。最高においしかった(画像:カシハラヒデコ)

 冷静になって売り場全体を眺めてみれば、しまいにはナマコ丸々1本なんてものまで並んでいました。

 珍しくスーパーでナマコが買えたとしても、家に帰って皆さんどうやって食べているのだろうと、謎も浮かんではきます。普通の人はナマコのさばき方なんて知らないはずだよなあ、と思うのですが。もちろん筆者も知りません。

手放しでは喜べない高級魚種の安売り

 築地(中央区築地)から豊洲へと、東京都の中央卸売市場が移転し取引を開始したのは2018年10月。

 開場からの1年を振り返り総括する2019年10月の記事では、取引量が目標に半分にとどまっていること(同年1~8月)、またその理由として多くの魚種が不漁となっていることなどが記されていました(2019年10月28日付、ニッポンドットコム)。

 その記事では「来年の東京五輪・パラリンピックを控え『海外に向け豊洲の魚をアピールしたい』」という卸会社の意気込みも書かれていましたが、盛り返しを期待したオリパラは開催延期となってしまい、そこに輪をかけて新型コロナによる自粛期間の延長ですから、難しい状況にあるのは想像に難くありません。

今こそ言いたい、もっと魚を食べよう

 先ほど、スーパーで高品質な魚が手に入ることを「消費者にとってはありがたいことかもしれない」と書きましたけど、豊洲市場は東京、首都圏の大切な台所。自宅でカツオやホタルイカの激うま料理を作れて小躍りしてはみたものの、魚が安く売られていることはやはり手放しに喜んではいけないようにも思うのです。

2018年10月に開場した豊洲市場。東京そして首都圏の大切な「台所」(画像:写真AC)



 街の飲食店が危ないということは、つまり豊洲が危ないということともイコール。大事な「台所」を守るために皆さん、危機感を持って今こそもっと魚を食べませんか?

 新型コロナの影響によるフードロスの問題が注目される中、豊洲市場に入荷する海鮮や果物を販売する通販サイト「豊洲市場ドットコム」がメディアに取り上げられるなど、お得で便利な支援の方法の周知も進んでいます。もちろんスーパーで買うことも支援のひとつになります。

 あらためて皆さん、今こそ魚を買って食べましょう。特に今は旬のものがいろいろあって、自宅でもおいしく料理できますよ。


【画像】100g・246円とは思えない、ぷくぷくしたホタルイカを見る

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