東京「オタク三大聖地」の池袋に鉄道ファンがひそかに熱視線を送る理由

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東京「オタク三大聖地」の池袋に鉄道ファンがひそかに熱視線を送る理由

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石渡嶺司

大学ジャーナリスト

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東京の「オタク三大聖地」として知られる池袋。しかし鉄道ファンの隠れた聖地でもあると、大学ジャーナリストの石渡嶺司さんは言います。いったいなぜでしょうか。

池袋にある隠れた「鉄ちゃん」聖地

 池袋と言えば、東京の「オタク三大聖地」のひとつとされています。

 乙女ロードは豊島区役所(豊島区南池袋)のウェブサイトに掲載されているくらいですし、2019年公開のアニメ映画『天気の子』では豊島清掃工場(同区上池袋)、池袋警察署(同区西池袋)やラブホテル街などが登場しています。

 しかしこの池袋、鉄道ファンの隠れた聖地であることはあまり知られていません。

 池袋駅西口を出て劇場通りを北上、川越街道を渡り、東に進むと見えてくるのが東京交通短期大学(豊島区池袋本町)です。同短大は2020年現在、日本で唯一の鉄道短大です。

東京交通短期大学の外観(画像:(C)Google)



 短大だけでなく四年制大学も含め、同短大は唯一、運輸科を設置しており、鉄道業界の人材育成に主眼を置いています。

学内には運転シミュレーターも

 同短大は1952(昭和27)年、当時の国鉄や私鉄経営者協会(現・日本民営鉄道協会)などの支援を受ける形で設立されました。

 その後、運輸科(または類似の学科)設置の短大は芝浦短期大学(現・芝浦工業大学)、大阪交通短期大学(現・大阪産業大学)もありました。が、どちらも、廃止となったため、東京交通短期大学が唯一の運輸科となりました。

東京交通短期大学のウェブサイト(画像:豊昭学園)

 同短大には、JR東日本・仙台教習所で使用していたものを移設した運転シミュレーター館が学内にあります。それから西武鉄道3号機(SL)、丸ノ内線500形685号も保存展示されています。

 教育は鉄道を含む交通科目、観光科目など専門性の高いカリキュラムです。客員教授には、鉄道ジャーナリスト・カメラマンとして有名な櫻井寛氏も在籍。

 なお、同短大を運営する学校法人豊昭学園は昭和鉄道高校も運営しています。同校は、東京交通短期大学と同じ敷地内に設置。名前に鉄道が入るのは、日本の高校約4900校の中で、同校のみ。設置の学科である鉄道科も、同校のみです。

 なお、鉄道関係の教育を行う高校は、昭和鉄道高校以外だと、岩倉高校運輸科(台東区上野)が該当します。

鉄道業界志望の高校生が全国から集結

 日本で唯一の運輸科のある短大ということもあり、日本全国から「鉄ちゃん」の高校生が同短大に進学しています。2019年だと、北は秋田県、南は福岡県から入学していました。

 短大は四年制大学進学率の上昇に反比例し、学生集めで苦戦するところが多くあります。実際に同じ池袋にある立教大学の系列校だった立教女学院短期大学(杉並区久我山)は2018年に募集停止となりました。

 しかし、東京交通短期大学は短大「冬の時代」をものともしません。同短大の情報公開によると、定員充足率は2016年~2018年で106.87%、105.65%、121.87%と絶好調です。

東京交通短期大学の所在地(画像:(C)Google)



 同短大のガイドブックには、学生の卒業後の進路希望は鉄道業界が86.4%と圧倒的多数を占めていました。具体的な職種としては運転士57.3%、車掌27.0%などとなっています。

 職種は不明ですが、就職実績では鉄道または関連企業への就職者が圧倒的に多いことは事実です。

 2019年卒業者だと、鉄道または関連企業52人(JR東日本、都営地下鉄、首都圏新都市鉄道など)、交通・観光関連企業7人(JRバス関東、東急トランセなど)、一般企業19人、四年制大学編入合格7人などとなっています。

池袋の2校以外で学ぶとしたら?

 東京交通短期大学、昭和鉄道高校以外で鉄道を専門に学べる学校は多くありません。高校だと、前記の岩倉高校が該当します。専門学校は東京都内で、

・東京観光専門学校鉄道サービス学科(新宿区市谷田町)
・ホスピタリティツーリズム専門学校鉄道サービス科(中野区東中野)
・東京ホテル・トラベル学院専門学校鉄道サービスコース(千代田区西神田)
・東京エアトラベル・ホテル専門学校鉄道交通科(小金井市前原町)
・日本外国語専門学校国際観光科鉄道&空港サービス専攻(新宿区下落合)

などがあります。

 なお、東京交通短期大学はオープンキャンパスや大学祭で運転シミュレーター館を見学することが可能です。

鉄道関連のスポットが多い池袋

 池袋を鉄道の聖地とする関係者は多くありません。しかし東京交通短期大学・昭和鉄道高校以外にも、鉄道関連のスポットが集まっています。

 一般的に有名なところでは、東口にある丸善池袋店(豊島区南池袋)の「MARUZEN cafe(マルゼンカフェ) 池袋店」でしょう。

「MARUZEN cafe 池袋店」の外観(画像:(C)Google)



 西武新2000系と京急800系、東急7000系の運転台が、それぞれ展示されています。表からは西武新2000系と京急800系を見ることができ、「なぜ、こんなところに電車?」と事情を知らない通行人が不思議がる光景は珍しくありません。

 2階では鉄道関連グッズも取り合っています。少し離れた場所にある系列店・ジュンク堂書店池袋本店は鉄道関連の書籍を多数そろえています。

 鉄道模型店もカツミ池袋店(同区西池袋)、「Models IMON(モデルズ イモン)池袋店」(同)などがあります。

 特定非営利活動法人「日本鉄道模型の会」事務局(同)も池袋にあり、それもあってか、池袋鉄道模型芸術祭が3月下旬に開催されていました(2020年は第5回予定も中止)。

2019年オープンの鉄道ビュースポットも

 鉄道スポットと言えば、日本初の線路をまたぐ超高層ビル・ダイヤゲート池袋(同区南池袋)が2019年にオープンしました。こちらは新たな鉄道ビュースポットとしても注目されています。

ダイヤゲート池袋から池袋駅方面を望むイメージ(画像:(C)Google)

 こうしたスポットの多さを考えると、やはり、池袋は鉄道の隠れた聖地、かもしれません。

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