数々の素人伝説を生んだ『TVチャンピオン』に見る テレ東の「素材活用」能力とは
2020年5月23日
ライフ個性的でアイデアあふれる番組作りで知られるテレビ東京。その源泉は一体何なのでしょうか。社会学者で著述家の太田省一さんが解説します。
独自ブランドが確立された理由
つい先日、テレビ東京で『TVチャンピオン』の名場面を集めた特番「『TVチャンピオン』大食いから手先が器用まで…もう一度見たいリクエストSP」が放送されました。
『TVチャンピオン』と言えば、大食い。当然この番組でも、「女王」と呼ばれた赤坂尊子(たかこ)さんを中心に激闘の数々を振り返っていました。
赤坂さんのメガネがずれてラーメンのどんぶりのなかに落ちてしまう伝説の場面など、「ああ、あった」と記憶をよみがえらせた人もいるのではないでしょうか?

『TVチャンピオン』が始まったのは、1992(平成4)年。この年、テレビ東京は年間平均視聴率で開局以来最高を記録するなど好調でした。
それを支えた原動力のひとつが、『浅草橋ヤング洋品店』や『TVチャンピオン』といった素人をフィーチャーした番組だったのです。そんなテレビ東京の個性が世に認められ、「テレ東」ブランドが確立されるようになったのは、この頃からと言えるでしょう。
かつては4割の人員削減を経験
ただ、それまでにはテレビ東京の長い苦闘の歴史がありました。

テレビ東京が「東京12チャンネル」として開局したのは1964(昭和39)年のこと。東京オリンピックが開催された年です。高度経済成長期でもあり、テレビが家庭の娯楽の中心になろうとしていました。
ところが東京12チャンネルは一般総合局ではなく、科学教育専門局としてスタートしました。したがって娯楽番組の制作は著しく制限され、視聴率も低迷。
その結果、開局して間もなく4割もの人員削減を余儀なくされたほどでした。当然番組制作予算も乏しく、経営は危機的状況に陥りました。
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