明日からできる「小学生の不登校」対策3選、ゆたぼん炎上契機に考えよう
10歳の小学生ユーチューバーによる「不登校は不幸じゃない」という主張が話題です。子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、保護者はどのような対応をすべきなのでしょうか。元塾講師で3児の母でもあるライターの中山まち子さんが提言します。不登校児童が急増、「不登校は不幸じゃない」主張が話題 小学生の不登校が増加しています。文科省が実施した平成29年度の問題行動・不登校調査によると、病気や経済的理由以外で年30日以上欠席した不登校児童(小学生)数は、前年度比15.1%増の小学校3万5032人(前年度3万448人)。そのうち、東京都の不登校児童数は3226人(前年度2944人)でした(東京都「平成29年度における児童・生徒の問題行動・不登校等の実態について」より)。 近年増加する小学生の不登校(画像:写真AC) そんななか、空前絶後の10連休の後、沖縄に在住する小学生ユーチューバー「ゆたぼん」君の話題が大きく取り上げられました。現役小学生であり、不登校児を公言しての活動はさまざまな方面に波紋を広げています。「不登校は不幸じゃない」と主張する彼の理由が「宿題をやりたくなかった」ということもあり、その言動に対して否定的な意見も散見されます。 子どもの「学校に行かない」という選択を認める理由 元塾講師で、3人の子どもを育てている身として、もし子どもが「学校に行きたくない」と訴えてきたら、基本的に「学校に行かない選択もあり」の立場をとっています。私がそう考える理由は3つあります。 理由1:義務教育機関の通学自体は義務ではない 「ゆたぼん」に関することで指摘されているのが、義務教育中に通学を放棄するのは違法なのでは、ということです。小学1年生から中学3年生までは義務教育期間とし、教育を受ける義務があることは憲法にも明記されています。 しかし、学校への通学義務を求めているわけではありません。親が家庭で同等の教育機会を与えていれば、責任を全うしていると判断されます。 理由2:無理に通学させると状況を悪化させるだけ 親が子どもの気持ちを無視し、無理にでも通学させてしまうと、状況を悪くするばかりか、子どもの心身に異常をきたす恐れがあります。「学校に行けない自分に価値はない」とネガティブになり、最悪の場合、大切な我が子を失うことにもつながります。 親の焦る気持ちは理解できますが、それだけで問題を解決することはできません。子どもの気持ちを落ち着かせるためにも、学校に行きたくないなら「家で過ごすことを容認する」という姿勢を持つことが大切です。 理由3:フリースクールなど不登校児の受け皿が親世代より増えている 不登校児の増加に伴い、親世代に比べて公的機関のサポートやフリースクールなど受け皿が格段に増えてきています。「学校には行きたくないけど、勉強が遅れてしまう」といった子どもの不安を解消することができます。 ただし、さまざまな学年の子どもたちが来るので学校のようにキッチリしたカリキュラムは組まれていません。勉強面が心配な場合は、タブレット型の通信教材やオンライン型の学習塾を上手に利用する時代になってきています。 子どもの気持ちを汲み取り具体的な対策をとる子どもの気持ちを汲み取り具体的な対策をとる 子どもが不登校になったら、なぜそうなったのか親子でじっくり会話することが大切です。学校に通わないことへの罪悪感を持つ子どもが多いため、一方的に責め立てると心を閉じてしまうので注意しましょう。 何よりも求められる親子のコミュニケーション(画像:写真AC)対策1:学校と緊密に連絡を取り合う まずは担任の先生を含めて学校側と話し合いをし、子どもの状況を伝えます。「教室に行くのは無理だが保健室登校はできる」、「まだ本人の気持ちが追いついていない」など説明することで、学校側も再登校に向けたバックアップや理解を示してくれます。不登校の原因をすべて学校に責任転嫁すると、関係を構築することが難しくなるので、注意しましょう。 対策2:親は積極的に子どもの居場所を作る 不登校になったからと言って、日中ずっと家にいる必要はありません。習い事に行ったり、民間団体のイベントに参加するなど、家庭や学校以外の場に自分の居場所を作りましょう。家族以外の人との交流を通じて、登校への足掛かりや高校進学に向けた準備にもつながります。目先のことではなく、「将来自立した大人になれるように」と長期的な視線で子どもと向き合うことがとても大切です。 対策3:進学を希望した時のために勉強はないがしろにしない 不登校が続くと、勉強面で遅れが出てしまうのは自然なことです。しかし、そのままの状態にしておくと、高校進学や大学進学を望んだ時にスムーズに進まない場合もあります。子どもの選択肢を狭めないためにも、不登校期間も学習する時間を設けておくようにしましょう。 紙と鉛筆の勉強に拘らず、タブレットやパソコンで勉強する方法も取り入れてみてください。この際、親が勉強時間を決めると逆効果です。「好きな時にやっていいけど、1日10分から始めよう」と声掛けしましょう。 小中学生の不登校児は増加傾向にあります。そういった背景もあり、不登校児へのサポートは昔に比べて厚くなってきています。親からの「我慢して学校に行きなさい!」という声は、子どもを傷つけてしまいます。子どもにとって何が最善なのかを考え、「学校に行きたくない」という気持ちを受け止めることが大切です。
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