粋なオンナの「浴衣の着こなし」どうすればいいの? 浴衣のトレンドも振り返っちゃいます
さまざまなメーカーが近年浴衣を販売しています。最新トレンドと「粋」な着こなしについて、取材しました。花火大会で浴衣を着る人は増えているらしい 花火、かき氷、お化け屋敷、風鈴――。夏の風物詩はさまざまですが、浴衣もそのひとつ。最近はアパレルメーカーによる販売も増えて、ブランドの特徴を生かしたさまざまな商品が市場に出回っています。 明るめの色も好まれるようになった浴衣(画像:photolibrary) 着物業界誌「ステータスマーケティング」編集長の松尾俊亮(しゅんすけ)さんによると、売れ筋商品は「古典柄」や「レトロ柄」といったオーソドックスなものであるといいます。その一方、消費者の好みは近年分散しつつあり、赤や黄、あざやかな青など、明るめの色も好まれるようになったとのこと。その背景には、これまで控えめな色を好んでいた中高年の志向の変化があるようです。 着物大手のやまと(渋谷区)では紺や白地のゆかたの売上が大きく、肌につかず涼しさを感じるポリエステル素材の売上も増えているそう。2016年から浴衣の販売をスタートしたカジュアル衣料大手の「ストライプインターナショナル」(岡山市)も、主流は「椿や市松などの古典的なレトロ柄」であるものの、「大きなリボンや大きな菊柄」の浴衣も人気があるといいます。また、同社では2017年は5月末に通販での予約販売を開始しましたが、2018年はさらに3週間程度早まっているとのことです。 また、やまとは「毎年の定点観測」から、花火大会で浴衣を着る人の割合が年々増えているといいます。 「昔は『旅館の寝間着』というイメージが強かったため、浴衣は花火大会であまり着られませんでした。しかし1990(平成2)年ごろから、着物業界が浴衣をファッショナブルでカラフルな『ニュー着物』として販売し始めたり、有名女優が夏のCMなどで浴衣を着たりしたことが後押しをしたのです」(松尾さん) SNSへ投稿する流れも広まっている それに加えて、若者が「浴衣を着て、SNSへ投稿する流れ」(ストライプインターナショナル)も広がっており、同社ではそのような世代に向けて、浴衣で楽しむ音楽イベントなどを開催しています。 これらの話から、現在では浴衣を通して和の文化を楽しむという新しい流れができているといえそうです。 昭和40年ごろの下町では浴衣姿がよく見られた(画像:photolibrary) その一方で、トレンドとは距離を置いた、「伝統」としての浴衣の情報発信を続ける人もいます。東京都中央区にある、1894(明治27)年創業の老舗浴衣メーカー・三勝の清水敬三郎さんです。清水さんは1951(昭和26)年から、江戸の染色技法である長板中形(ながいたちゅうがた)を使った開発・制作に携わり、三勝が管理している「ゆかた博物館」(中央区)の館長も務めています。 「昔は、浴衣を着ながら(夏の夕涼みに)縁台で将棋をやったものです。1965(昭和40)年ごろまでは、下町の浅草、本所深川、葛飾方面の下町で、中年や老年のご婦人の浴衣姿を見かけました。(三勝が本社を構える)人形町にも芸者さんがいたので、浴衣を着た若い女性もちらほら街を歩いてました」と、清水さんは振り返ります。 ふとした着物しぐさに「粋」は表れる そのように話す清水さんに、浴衣の「粋(いき)」な着方を教えてもらいました。 「女性が浴衣をきれいに着こなすには、襟足・手首・足首の「三つの首」をしっかりお手入れして、美しく見せることが大切です。素足で下駄を履く際には、かかとの手入れを忘れずに。 また、おろし髪よりも、アップにして襟首を見せた方がシルエットも美しくすんなりした印象になります。あわてて襟足を剃るのは怪我のもとです。(イベントの)1~2日前のお手入れをお勧めします」(清水さん) ゆかた博物館の外観(2018年7月21日、ULM編集部撮影)「現在は、プレタ(規定サイズで仕立て上がった製品)が主流ですが、身幅が大きめに作られています。自分の寸法に合った浴衣を着るためには、反物から自分サイズに仕立てたほうがいいでしょう。 また、着る回数をなるべく多くしましょう。そうすることで自然な浴衣(和服)の着こなしが身につきます。ふとした着物しぐさに『粋』は表れます」(清水さん) 浴衣の粋な着こなし方を取り入れれば、浴衣姿のデートや花火大会や夏祭りのお出かけもいっそう楽しくなるかも知れませんね。 ●ゆかた博物館 ・住所:東京都中央区日本橋人形町3-5-10 ・交通アクセス:日比谷線「人形町駅」から徒歩2分 ・電話番号:03-3661-8859 ・営業時間:15:00~17:00 ・休業日:土休日、年末年始 ・入館料:無料
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