都内の猛烈な通勤ラッシュ 1000万人が大移動するのに、なぜ電車は無事に走って、無事に目的地にたどり着けるのか?
2021年9月19日
お出かけコロナ禍以前、都内の通勤ラッシュは猛烈な勢いでしたが、なんやかんやで無事に通勤・通学できていました。いったいなぜでしょうか。『関西の鉄道 関東の鉄道 勝ちはどっち?』(河出書房新社)の著書がある、フリーライターの小林拓矢さんが解説します。
コロナ禍で激減したラッシュ時の電車利用者
コロナ禍以前は、毎日多くの人が電車に乗って通勤していました。電車のなかはいつもぎゅうぎゅう、人でいっぱいでした。
東京都総務局の発表(2020年3月)によると、2015年時点で、
・都外から通勤/通学する人:290万6000人
・都内常住で都内に通勤/通学する人:739万8000人
・都外へ通勤/通学する人:50万1000人
という数に上っています。合計でなんと1080万5000人。同年の日本の総人口が1億2710万人なので、実に8.5%もの人が一気に移動していたことになります。
しかし2020年の緊急事態宣言の発令後、どうしても出勤が必要な人以外は在宅勤務でOKということに。そのため、ラッシュ時の電車利用者は大きく減り、混雑は緩和しました。それもつかの間、やはり会社で仕事をさせるという考え方があったため、緊急事態宣言の解除後は会社での勤務へ徐々に戻っていきました。
2回目の緊急事態宣言から、在宅勤務を積極的に行う方針とはならず、飲食店の自粛要請などが中心となったため、コロナ禍以前ほどではないにせよ、街はそれなりの賑わいを見せています。
それもそのはず、一部の大手企業はテレワークを推進しているものの、それも限った話で、結局は通勤するために電車に乗る人が少なくないわけです。
コロナ禍で、鉄道各事業者は換気の徹底や消毒に力を入れていますが、東京都では4回目の緊急事態宣言下にあるわけで、やはり通勤が心配な人も多いでしょう。
複々線が目立つ東京圏主要路線
東京圏に通勤している人が車窓に目を向けたとき、乗っている路線に並行して、もう一路線あるということに気づくと思います。たいていの場合、それは複々線です。これがあるおかげで、今乗っている電車の混雑が現在の状況で済んでいるのです。

例えば常磐線。都内の人は、亀有・金町あたりから都心に向かうためにエメラルドグリーンの帯をした緩行線(各駅停車)の電車に乗ります。駅のホームからは、青い帯をした土浦方面からの快速線の電車が並行して走っているのが見られます。
この複々線があるからこそ、遠くからの通勤客と近い距離の通勤客が同じ電車に乗ることなく、現在の混雑で済むのです。
JR東日本では、
・東海道線方面
・中央線方面
・東北本線/高崎線方面
・常磐線方面
・総武線方面
という五つの方面の路線が、複々線以上になっています。
当初からこのようになっていたのではありません。国鉄の「通勤五方面作戦」という輸送力増強のための施策により、いまのような鉄道網ができたのです。
では、通勤五方面作戦とは、どのようなものだったのでしょうか?
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