5500万人が愛した「葛西臨海水族園」が大ピンチ 老朽化や経営を口実に「都民の財産」を破壊していいのか?
2019年12月22日
知る!TOKYO現在、新築の危機に直面している葛西臨海水族園について、フリーランスライターの小川裕夫さんが解説します。
開業のきっかけは都庁の移転問題
2017年に上野動物園(台東区上野公園)で誕生した赤ちゃんパンダ・シャンシャンは、その愛くるしい姿から東京都のみならず日本全国から熱い視線を集め、一般公開が始まると上野動物園のパンダ舎は連日にわたって黒山の人だかりとなりました。
シャンシャンフィーバーに沸く上野動物園は東京都が所管し、東京動物園協会(台東区池之端)に運営が委託されています。同協会が運営を委託されている動物園と水族館は、そのほかに多摩動物園(日野市程久保)、井の頭自然文化園(武蔵野市御殿山)、葛西臨海水族園(江戸川区臨海町)などがあります。このうち、上野動物園と葛西臨海水族園のふたつが東京23区に立地しています。

葛西臨海水族園は、1989(平成元)年に葛西臨海公園内にオープンしています。当時、東京都庁舎は有楽町にあり、老朽化していたことから移転問題が議論されていました。
西新宿に都庁舎が移転することが決まると、東京の東側が廃れてしまうという心配があがり、その対策から墨田区の江戸東京博物館、足立区の東京武道館などが竣工されることになったのです。江戸川区につくられた葛西臨海水族園もその対策のひとつです。
葛西臨海水族園は、その名前が示す通り単なる水族館ではありません。眼前に臨む東京湾、そして広々とした公園と緑とが一体化していることが条件として求められました。その大役として、白羽の矢が立てられたのが建築家の谷口吉生さんです。
谷口さんの父・谷口吉郎は東宮御所や帝国劇場、千鳥ケ淵戦没者墓苑など数々の名建築を設計した「建築界のスーパースター」といえる存在です。息子の吉生さんもニューヨーク近代美術館やGINZA SIX(中央区銀座)を設計した、世界に名を轟かせる大建築家として知られています。

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