年末年始最大9連休も、深まる「国民の休日」への疑念

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年末年始最大9連休も、深まる「国民の休日」への疑念

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日沖健(日沖コンサルティング事務所代表)

皆さんは2019年の年末年始、何日間休みを取得できますか。2019年9月に20~50代の男女会社員を対象に行ったインターネット調査によると、約4割が「9連休」を取得できると回答しています。この9連休が社会に及ぼす影響と、国が今後打つべき施策について、日沖コンサルティング事務所代表の日沖健さんが解説します。

埋没するお正月

 2019年も残すところあと3週間。土日が休みという人は12月28日(土)から1月5日(日)まで9連休になります。お正月の9連休が経済や暮らしにどう影響を与えるのか、考えてみましょう。

年末年始のイメージ(画像:写真AC)



 9連休の話をする前に、東京のお正月の変化について振り返ります。近年のお正月の変化を一言で言うと、「お正月の埋没」ということではないでしょうか。

 童謡で「もうい~くつ寝ると、お正月」と歌ったように、昔の日本人にとってお正月は特別な季節でした。

 ところが、10月31日にハロウィンがあり、11月から12月25日まではクリスマスシーズンで、お正月を強く意識するのは年末年始のほんの短期間です。かつて新しもの好きのイベントだったハロウィンやカップル向けのイベントだったクリスマスが国民行事になるにつれて、お正月は相対的に影が薄くなりました。

 ただ、埋没したお正月が逆に騒々しくなりました。昔は自宅や実家で家族・親戚と静かに過ごすのが、日本人のお正月でした。とくに地方出身者が多い東京は、地方に帰省する人が多く、年末年始は水を打ったような静けさでした。

 ところが今は、渋谷など繁華街でカウントダウンイベントが開催され、夜通しで大賑わいです。商業施設も普通に営業しています。お正月とそれ以外の時期との違いが、どんどん不明確になっています。

初詣はますます盛況

 お正月がどんどん姿を変える中、変わらないのが初詣です。日本人の信仰心は年々薄れているはずなのに、初詣はますます盛況です。おそらくハロウィンと同じように、「参加型イベント」として若い世代に人気なのでしょう。

年末年始のイメージ(画像:写真AC)



 明治神宮の前回の年末年始の参拝者数は319万人で、もちろん日本一。浅草寺などを含めると、都民の半分以上が初詣に行っています。国民の半分以上が参加するイベントというのは他になく、やはりお正月はまだまだ存在感が大きいようです。

 ちなみに明治神宮の参拝者数は1980(昭和55)年からずっと日本一を続けています。逆に言うと1970年代まではそれほど東京一極集中が進んでいなかったことを意味します。

 なお、2019年の12月28日から1月2日までは、銀座線の渋谷駅移設工事の関連で、渋谷~表参道間、青山一丁目~溜池山王間がそれぞれ終日運休になります。その期間、神宮外苑に用事のある人は注意してください。

大型連休は経済・暮らしにプラス

 お正月が埋没した今日、多くの人にとって2019年の年末年始は「またひとつ大型連休が増えたな」という受け止めでしょう。

 2019年はゴールデンウイークに10連休があり、大型連休の影響が話題になりました。そこで、改めて大型連休が経済や暮らしにどう影響するかを考えてみましょう。

 大型連休の効果として、旅行など個人消費が増えることが期待されます。旅行は、大型連休がだと普段はいけない高額の長期旅行、海外旅行が増えるので、大きな消費増の効果があります。

 日本はGDP(国内総生産。一定期間に国内で生産された財・サービスの合計価値)の6割以上を個人消費が占めます。旅行など個人消費が増えれば、経済が上向き、所得が増え、国民の暮らしが良くなります。大型連休は、日本経済・日本人の暮らしに確実にプラスに働きます。

大型連休で困る人もいる

 ただ、大型連休を歓迎しない人もたくさんいます。

「さあ、10連休だ!」と喜んで海外旅行したり、レジャー施設に行って消費を増やしたりするは、どういう人でしょう。当然ながら、9~10連休に当然ながら連休をカレンダー通り休めるという条件が必要です。

年末年始のイメージ(画像:写真AC)



 また、仕事を休んでも給料が減らないという条件もあります。このふたつの条件を満たすのは、小売・サービス以外の企業の正社員・公務員・年金生活者でしょう。逆に、このふたつの条件をともに満たさないのは、非正規労働者や自営業者です。とくに稼働日数に応じて収入を得るフリーターは、収入が激減し、生活を維持するためにむしろ消費を減らすかもしれません。

つまり、正社員・公務員・年金生活者にとって、大型連休はウキウキ楽しい毎日かもしれませんが、フリーターや自営業者にとっては働くことも遊ぶこともできず、お金の心配に明け暮れる辛い日々になるのです。

国民の休日を減らすべきではないか

 日本は国民の休日が中国に次いで多く、先進国では最多です。ただでさえも国民の休日が多いのに、「6月にも国民の休日を作ろう」「秋の連休も大型化しよう」などと、さらに増やそうとしています。

 時事通信が2019年のゴールデンウィーク前に実施したアンケート調査によると、「連休をどのように過ごすか?」という問いの回答は「自宅でゆっくり過ごす(64.3%)」が最多でした。「今後も国が主導して長い連休を作るべきか?」という問いには「そう思わない」が66.8%を占めました。

 国が休日を指定し、「この時期は休みなさい」と指示する。国民は仕事のことを心配しながら休み、渋滞に巻き込まれて激混みの観光地を巡る……。これが、豊かな国の休み方でしょうか。

 国民の休日を最低限に減らし、国民が好きなときに休みを取って自由に楽しむというのが、理想的な休日の姿だと思います。

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