江東区で江戸情緒を味わおう! 水曜開催「和船の乗船体験」、有休使って行くしかない!
2018年9月24日
お出かけ東西線東陽町駅から1.5km離れた横十間川親水公園で、江戸時代に活躍した和船に乗ることができます。しかも無料。さっそく体験してきました。
東陽町駅から約1.5km、乗り場は親水公園内
2018年6月に「働き方改革関連法」が可決、成立したことで、有給休暇5日の取得が義務化されることになりました。会社員にとって、これまで以上に有休を取得しやすい環境になりますが、東京での平日の有給に「非日常」を味わうことのできるイベントが、江東区の横十間川親水公園で開かれています。それは、どういったイベントかというと……

「和船乗船体験」です! 和船とは、櫓(ろ)などで進む、スギやヒノキでできた日本固有の木造船のことで、江戸時代に国内の商品流通手段として使われていました。
都心から近い場所で、そんな和船を体験できるなんて素晴らしい。しかも無料です。さっそく体験してきました。
イベント当日の2018年9月5日(水)。前日の台風21号襲来の影響で都内はトラブル続きでしたが、乗船体験を実施している「和船友の会」に電話したところ、「開催する」とのこと。午前10時すぎに最寄りの東陽町駅に到着。改札を抜けて外に出ます。和船の乗船場は、東陽町駅から約1.5km、横十間川親水公園のなかにあります。

永代通りを東に向かい、東陽四丁目交差点を左折し北へ向かいます。通りの突き当りを右に曲がって、「水車のある公園」から葛西橋通りの下をくぐり、乗船場がある横十間川親水公園に到着します。乗船場は公園内の「海砂橋」を越えたところに。なお、乗船は「海砂橋」と南側にある「千砂橋」をくぐって往復する形で行われます。

「海砂橋」の上から北方向を見ると、2艘の和船と男性たちの姿が視界に入ってきました。マンションや企業ビルに周囲を囲まれるなか、この場所だけが異空間に見えます。

午前10:30過ぎにもかかわらず、乗船場は「和船友の会」会員たちで、にぎわっています。

聞けば2時間前から準備をしているとのこと。「和船友の会」事務局長の内藤政昭さん(73歳)に今回の乗船体験についてのお話を聞きました。

短髪にねじり鉢巻き、いかにも江戸っ子な風情です。1995(平成7)年、江東区の主導のもと、元漁師や船大工など約30人で設立された「和船友の会」。内藤さんも、もともとはそのような仕事に就いていたのでしょうか?
「私の仕事? 私は元証券マンだよ。営業とか財務とかに関わってたよ。転勤で全国を回ったけど、東京での勤務が一番長かったねえ」
しょ、証券マン? 江戸情緒から現実に引き戻された気分に。
「ここにいる人のほとんどは、一般企業の元会社員ですよ。まぁ説明するから、そこのベンチに座って」と内藤さん。
内藤さんに言われるがまま、場内のベンチへ移動します。

さっそく、平日の有給休暇に「非日常」を体験するという取材目的を伝えます。
「和船の運行日は3月~7月20日、9月~11月が毎週水曜日と第2・4日曜日。7月21日~8月、12月~2月は毎週日曜日。だから平日に楽しむとなると、3月~7月20日、9月~11月ということになるね。
乗船の予約はいりません。基本はアポなしで大丈夫。でも10人ぐらいの団体で来る場合は予約して下さい。当日出す船の数や人員を調整しないといけないもんで」
内藤さんによると、運行日には平均20人ぐらいの会員が乗船場にスタンバイしているそうですが、にぎわっているように見えたこの日の人数は「少な目」とのことです。

「普段は乗船体験と櫓漕ぎ体験の2本柱でやっているんだけど、今日は台風明けで風が強いから乗船体験だけ。船というのは、風の影響を受けやすいんです」と内藤さん。
もともと「和船友の会」は1995年当時に失われつつあった和船を動態保存するために江東区の呼びかけで創設された団体で、乗船体験などはあくまでも活動の一部という位置づけ。ほかにも、操船技術の訓練や、船体の維持管理などを行っています。
船の種類は4種類、銅板の錆び加減が「粋」の証
乗船体験では、いったいどのような和船に乗れるのでしょうか?
「網船、荷足船、伝馬船、猪牙舟の4種類、7隻の船に乗ることができます。その日の来場数を予想して、出す船の数を調整するので、〇〇の船に乗りたい、といったリクエストには応えられません」(内藤さん)

網船は投網などの漁に使用される船、荷足船は荷物や人を運ぶ多用途船、伝馬船は大型船で運んできた荷物を小分けして陸に運ぶ横持ち船、猪牙舟は小型で人を運ぶタクシーのような船……というように種類によって用途が分かれています。
「じゃあ、次は江戸和船の特徴について説明するよ」と内藤さん。桟橋に泊められた網船の「みやこどり」を例に教えてくれました。
「あの船の両側面を見て。四角い緑色のプレートみたいなものが貼られているでしょう。あれは銅板で、江戸和船の特徴なんです」


内藤さんは続けます。
「銅板は初め赤茶色なんだけど、1年ぐらいかけて少しづつ錆びて緑色になるんだ。専門用語では緑青(ろくしょう)というの。この錆び加減が味わい深くて、江戸の『粋(いき)』って言われているんです。6~8年に1回ぐらい張り替えます。
あの銅板をはがすと、木のフタがしてあって、その下にくぎの穴があるんだ。船を作る途中の跡だね。それを銅の板でふさいで見た目をよくしているの。これが心意気だね」
銅板は船の両側面のほかにも、船内部や船首などにもほどこされています。
「江戸時代の人は銅板で船を飾りたてることで『この船はいい船だろ、かっこいいだろ』と見栄を張っていたわけです」(内藤さん)

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