自粛ムードを逆手にとって? 東京流「2021年お花見」どこもかしこも活況なワケ

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自粛ムードを逆手にとって? 東京流「2021年お花見」どこもかしこも活況なワケ

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2021年、コロナ禍で迎えた2度目の春。再び「お花見の自粛」が呼び掛けられる中、春らしい風情を味わえていないと感じる人は少なくないよう。そんな声に応えるように東京では今、「安心安全」をうたうお花見プランが活況です。

コロナ禍、でもお花見したい

 東京の2度目の「緊急事態宣言」解除と、ソメイヨシノの満開が重なった2021年3月下旬。

 目黒川(目黒区中目黒)や上野恩賜公園(台東区上野公園)など都内の桜の名所には多くの花見客が訪れ、前年を上回る人出が観測されたスポットもありました。

 リバウンドも懸念されている新型コロナウイルス禍で、各自治体は宴会を伴うお花見の自粛を求めています。上野公園ではメイン通りの中央にポールを配置し、片側通行を促して「密」を防ぐなどの対応が取られました。

コロナ禍でもお花見を楽しみたい。そう考える人たちに向けたサービスや商品が続々と登場(画像:写真AC)



 マッチングアプリ「縁結び大学」が行ったアンケート調査(2021年3月3~17日)によると、「今年は花見はしない」と答えた東京など首都圏在住者は22.5%。一方、密を避けて「散歩やドライブなどを楽しむ」と答えた人は31.6%でした。

 感染拡大の防止に努めるのは第一としても、2020年に続いて2021年も花見をできないのはやはり少し寂しい、と考える人は少なからずいるようです。

「安心安全なお花見」プラン

 そんな需要を意識して、東京では今「安心安全なお花見」を提案するサービスが文字通り“百花繚乱”。各飲食店やホテルなどが、あの手この手で客の誘い込みに乗り出しています。

「3密回避のゆとり花見」を掲げるのは、東京を代表する高級ホテル・ニューオータニ(千代田区紀尾井町)。都内を一望する16階の宴会場で、和洋中とスイーツのコースを味わえるプライベートダイニングプランを3月26日(金)から事前予約で開始しました。

庭園に咲き誇る19種の桜を眺めながら、上階の宴会場でプライベートダイニング(画像:ニューオータニ)

 ホテル敷地内では19種58本の桜が4月中旬頃まで見られるといい、「今年はホテルで3密を避けながら日本庭園の桜でひっそりお花見をしませんか?」と呼び掛けています。

 また今回は、宴会場の一部を活用した個室プランも用意。コロナ禍でのニーズに応えた2021年ならではの気配りです。ほかにも、庭園での桜と客室でのシャンパンを楽しめる「さくらごもり」プランなども発表しています。

インドア個室、アクリル板も

「個室でインドア花見」をうたうのは、ホテル・インターコンチネンタル東京ベイ(港区海岸)。

 レストランに用意された個室には、空間を鮮やかに彩る桜のデコレーション。桜色のロゼスパークリングワインで乾杯し、季節の食材をふんだんに使ったブッフェ料理を味わえるそう。

感染対策に配慮した個室で、桜を見ながら料理を堪能(画像:ベストホスピタリティーネットワーク)



「歓送迎会やお祝いで安心安全にご利用いただけるよう、要望に応じて飛沫防止アクリルパネルも設置します。個室ならではの、よりプライベートな時間をお楽しみください」(同ホテル)。こちらは3月31日(水)まで。

 また、2020年10月に開業したばかりのホテル、キンプトン新宿東京(新宿区西新宿)も「SAKURA IN YOUR ROOM」を用意。

 桜のアレンジメントをほどこした客室で、ピエール・エルメ・パリとのコラボアフタヌーンティーが楽しめるプランを4月17日(土)まで提供しています。

地上50mの屋上庭園で八重桜

 一方、バーや居酒屋、立ち飲み店などの飲食店も花見プランのアピールに懸命です。

“東京らしさ”を感じる華やかかつ迫力の演出で注目したいのは、桜をコンセプトにした商業ビル、サクラマークス銀座612(中央区銀座)にある毛利BAR GRAN。

 地上50mの高さにある13階の同店テラス席には、樹高約10mの本物の八重桜が植えられており、天井部分を貫いて屋上庭園の客席まで花をのぞかせています。

屋上庭園の客席で眺める銀座の街並みと八重桜は格別(画像:MORI BAR)

 八重桜はソメイヨシノと比べて1~2週間ほど開花の時期が遅く、散るまでに長く花を楽しめるのが特徴。

 ソメイヨシノの開花・満開が緊急事態宣言と重なったことで、桜を楽しめなかった人たちに向けて「銀座の天空で、街の眺望と桜を同時に楽しみませんか?」と呼び掛けています。

 4月18日(日)までに来店した客には、桜をモチーフにしたウェルカムカクテルを無料でサービスするとのこと(ノンアルコールも選択可能)。来店時はマスク着用、入店時に検温と手指のアルコール消毒が必要です。

店内装飾やテイクアウト販売

 上野などに店舗を構えるESOLA(エソラ)は、「元祖『エア花見』」をうたうワインバル。

造花の桜がこれでもかと飾り付けられた店内(画像:ヴィクセス)



 店内の天井やワインシャンデリアに桜の造花をふんだんにほどこした装飾は4月30日(金)まで。期間中は、18時半までに来店すると通常2499円の飲み放題が2時間999円で楽しめるそう。

「お花見自粛ムードの裏で、桜とワインを思う存分にお楽しみください」とのことです。

 このほか、世田谷区三宿や同区池尻で飲食店を展開するレインボープロダクツ(同区池尻)も、居酒屋や立ち飲み店、すし店の計4店の店内に桜の枝木を配置。

「感染症対策も万全な環境で、お花見で大変だった場所取りも(飲食店なら)予約で楽にできます。つらい花粉や後片付けを気にすることなく春を堪能してください」と呼び掛けます。

 またホテルのコンラッド東京(港区東新橋)は、春らしい桜の要素をちりばめたアフタヌーンティーのテイクアウトボックスを4月1日(木)から販売。「今までにないご自宅でのお花見アフタヌーンティーを体験してみてはいかがでしょうか」と話しています。

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 たとえコロナ禍でも「わずかでいいから桜と春を楽しみたい」と思うのは、日本人の性分かもしれません。感染対策に十分注意しながら、一度しかない2021年春を過ごしたいものです。

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