明治大学駿河台キャンパスに国内唯一の「拷問博物館」がある歴史的背景

2019年11月12日

お出かけ
ULM編集部

明治大学(千代田区神田駿河台)内にある博物館には、江戸時代後期の拷問や刑罰に関する一角、通称「拷問博物館」が常設されています。当時の残虐な手法を今に伝える貴重な展示は、人権とは何か、刑罰はどうあるべきかを来場者に問いかけています。


罪の重さ、罰のあり方、人の命の重さを問う

 JR御茶ノ水駅から徒歩5分ほど。明治大学(千代田区神田駿河台)キャンパス内にある明治大学博物館には、国内唯一の「拷問博物館」と呼ばれる資料博物館が常設されています。

 扱う内容は主に、江戸時代後期に行われていたとされる逮捕や取り調べの様子、調べ中に用いられたという拷問、そして刑罰の執行(処刑)について。当時の文面資料(写本、レプリカ含む)に加えて、拷問や処刑の方法を模型で復元しているのが大きな特徴です。

 復元模型は、江戸時代後期に編纂(へんさん)された江戸町奉行による秘密書『刑罪大秘録』を基に再現したもの。同館の前身である「明治大学刑事博物館」が開館した1929(昭和4)年当初に制作され、以来90年後の今も展示され続けている大変貴重な資料です。

「石抱拷具(いしだきごうぐ)。この拷問を受けると脚が多大な損傷を負い、もはや歩行不能になるほどだったという(2019年11月11日、遠藤綾乃撮影)

 当時の江戸幕府法では、容疑に対し極めて信憑性の高い証拠があるにもかかわらず容疑者が白状をしない場合に拷問を行うことが認められていたといいます。

 その拷問のひとつ、「石抱責(いしだきぜめ)」は、三角に削った材木を並べた板の上に容疑者を正座させ、ひざの上に石の板を置いていくというもの。『刑罪大秘録』の図説には、1枚50キロ近くもあったという石板をひざの上に4枚も積み重ねられた容疑者が、血走った眼を見開き、凄まじい痛みにもだえる様子が描かれています。

 また「釣責(つりぜめ)」と呼ばれた拷問では、容疑者の両腕をねじ上げ、縄を回して背後で縛り、天井の鉄製の輪に通して宙吊りにした図解が残されています。

2日晒し、1日引廻しの上、磔(はりつけ)

 こうした拷問も用いられながら刑が確定すると、原則的に即執行されたといいます。

 晒しや引廻(ひきまわ)しといった重い刑罰は、衆人環視のなかで行われました。刑罰を一般庶民に見せることにより、犯罪を抑止し権力の威光を示す狙いがあったのだといいます。いっぽう庶民にとって、娯楽の少ない前近代における処刑見物は非日常を感じる「娯楽」のひとつ。現代の人権意識は、当時の人々にはまだ根付いてなかったようです。

主殺し、親殺し、師殺しなど重犯罪に適用された最高刑「磔刑(たっけい)」。衆人環視のなかで執行され、処刑後も見せしめのため3日間晒されたという(2019年11月11日、遠藤綾乃撮影)

 それにしてもなぜ、明治大学のなかにこうした「拷問博物館」があるのでしょうか。そして、なぜここが国内唯一の拷問・処刑を扱う博物館なのでしょうか。

「拷問博物館」が明治大キャンパスにある意義


【画像】人間の残酷さに思わず身震い…… 「拷問博物館」の館内を見る

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