上野公園のすぐ近く 2004年廃止の「博物館動物園駅」に再び注目が集まっているワケ
2019年10月18日
知る!TOKYO上野動物園などの最寄駅として利用されながらも、2004年に廃止となった博物館動物駅に再び注目が集まっています。いったいなぜでしょうか。フリーランスライターの小川裕夫さんが解説します。
1997年に休止、2004年に廃止
成田空港へのアクセス鉄道として知られる京成電鉄は、京成上野駅をターミナルにしています。その京成上野駅から約1キロメートルしか離れていない場所に、旧博物館動物駅(台東区上野公園)があります。

博物館動物園駅は、東京国立博物館や東京都美術館、国立科学博物館、東京藝術大学、上野動物園などの最寄駅として利用されてきました。
しかし、高度経済成長期に京成電鉄の利用者数が増えると、京成電鉄は輸送力を強化する必要に迫られました。一回の運行で多くの乗客を運べるように、京成電鉄は電車を長大化しました。一編成6両になったことで、輸送力は向上。その一方で、新たな問題も起こりました。
博物館動物園駅のホーム長は4両分しかなく、長大編成化した6両編成の電車は停車できません。そのため、普通電車でも通過するようになったのです。一部の普通電車でさえ通過するようになったため、博物館動物園駅の利用者は低迷。存在意義を失った博物館動物園駅は、1997(平成9)年に休止。そして、2004年に正式に廃止されました。
博物館動物園駅の駅舎は、国会議事堂を彷彿とさせるデザインをしていました。それが、地元住民に親しまれる理由にもなっていました。そのため、地元住民を中心に駅の廃止を惜しむ声が多く寄せられます。そして、駅が廃止された直後から、有識者も加わって再活用・保存が模索されたのです。
駅が廃止されたとはいえ、路線が廃止されたわけではありません。電車はホームの横をひっきりなしに走っています。部外者がホームへ立ち入ることは危険を伴います。安全運行の面からも、博物館動物園駅は人の立ち入りができないようになり、長らく物置小屋として放置されていました。
しかし、地元住民やNPOなどが粘り強く交渉をつづけました。2018年に駅舎が東京都選定歴史的建造物に指定されたことを機に、博物館動物園駅を再活用する機運が高まりました。
そして、同年秋には劇作家の羊屋白玉(ひつじや しろたま)さんや造形作家のサカタアキコさん、国立科学博物館支援研究員の森健人さんたちの作品を展示する会場として活用されました。これを皮切りに、博物館動物園駅では芸術作品の展示イベントが開かれるようになりました。

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