都内では珍しい戦前の校舎も。新宿の今昔を学べるお出かけスポット3選
繁華街のイメージがある「新宿」エリア。意外にも、東京の今昔に触れることのできる、学びのスポットがあるのです。エデュケーショナルライターの日野京子さんが解説します。繁華街の印象が強い新宿駅周辺(画像:photoAC) 東京を代表する繁華街「新宿」。歌舞伎町を筆頭に「夜の街」というイメージや、華やかで遊びや買い物という印象が強いです。「子どもが楽しめる場所がたくさんある」とすぐに思い浮かべる人はそう多くないでしょう。 どちらかというと大人の世界が広がる雰囲気の新宿エリアですが、実は親子で学び楽しめるスポットがあります。夏休みがスタートし、お出かけ先に悩んだときに、アクセス抜群の新宿にある3つの博物館や美術館をご紹介していきます。 新宿の歴史が分かる区立博物館四谷三丁目にある新宿歴史博物館の外観(画像:photoAC) 東京都内には国立博物館を始めとする国内有数の博物館がありますが、もっと地域に身近な博物館も点在しています。 東京メトロ丸ノ内線「四谷三丁目駅」から徒歩7分のところにある「新宿区立新宿歴史博物館」では、新宿の古代から大都市へと変貌を遂げる直前の昭和初期の様子をジオラマや展示物で説明しています。 新宿というと今では東京都心、副都心という立ち位置です。しかし、今の子ども達からすると信じられないことですが、江戸時代は現在の山梨県に通じる甲州街道の最初の宿場「内藤新宿」があり、当時は郊外という扱いでした。 ちなみにかつての内藤新宿は、新宿通り沿いの新宿二丁目や「伊勢丹 新宿店」のある新宿三丁目近辺にありました。当時の内藤新宿のジオラマも再現、展示されており、高層ビルが全くない江戸時代の新宿の様子と現在とのギャップに驚くことでしょう。 大正から昭和初期にかけて、関東大震災で甚大な被害を受けた下町に比べると最小限の被害で収まった新宿エリアは、人や百貨店が集まる街へと変貌を遂げます。 新宿が江戸の郊外から大都市へと変化していく様子が分かる博物館です。 2022年6月11日(土)から8月28日(日)までは、所蔵資料展「記憶の底にある宝物 子ども時代の遊びとおもちゃ」も開催されており、昭和の子ども達の遊びを知る貴重な機会になっています。 火事の恐ろしさを知る駅チカの消防博物館駅の目の前にある消防博物館(画像:photoAC) 東京メトロ丸の内線「四谷三丁目駅」を降り、地上に出ると目の前に「東京消防庁消防防災資料センター」、通称「消防博物館」があります。 1階玄関に展示されている昭和57年まで活躍していた消防ヘリコプター「ちどり」がシンボルマークです。地上10階地下1階の2階部分は四谷消防署が入っており、出動する消防車に遭遇することもあります。 約1万1千点に及ぶ資料を所蔵し、江戸から現在の消防に関わる資料や実際に使われた防火具などが展示されています。 地下1階の展示室には大正から平成に活躍した消防車が展示されています。その中には大正から昭和20年代に活躍した海外製のレトロな車両もあり、乗り物好きな子や働く車が好きな子どもでなくても、目を引く展示物です。 「火事とけんかは江戸の華」という言葉があるように、江戸時代は火事が度々発生しました。木造の民家が密集する江戸時代、風向きによってはあっという間に火事が広がります。 大名から町人に至るまで現代の消防団にあたる組織が作られ、消防体制が構築されていきました。 当時の防火アイテムも展示され、延焼を防ぐ人々の知恵や消防活動で着用する防火服の移り変わりが分かります。 現代では建築物の耐火性も向上し、普段の生活では火事の恐ろしさを体験する機会は少なくなっています。しかし、いつ火事が起きるか分かりません。 こうした博物館を介して、防火防災への意識を高め知識を増やすことにつながります。 旧校舎を再利用したおもちゃ美術館 消防博物館から歩いて4分の場所にある「東京おもちゃ美術館」は、2007年度で閉校した新宿区立四谷第四小学校の旧校舎を利用した美術館です。 昭和11年に完成した3階建ての鉄筋コンクリート造りの建物は、都内でも珍しい、戦前の校舎です。 自治体や私立の美術館ではなく、ボランティアや支援者に支えられNPOが運営する珍しい形態をとっています。収蔵品は日本だけでなく世界の玩具を含め10万点以上と膨大で、幅広い世代の人が楽しめる展示内容になっています。 木製のおもちゃがめじろ押しの東京おもちゃ博物館(画像:photoAC) 赤ちゃん連れの家族や、年配の方にも配慮したバリアフリーに改修。エレベーターも設置されているので「旧校舎だから階段がきつい」という心配もありません。各階には、 ・1階 乳幼児向けの「木育(もくいく)ひろば」 ・2階 「おもちゃのもり」 「企画展示室」 「グッド・トイ展示室」 「ミュージアムショップ」 ・3階 「おもちゃこうぼう」 「ゲームの部屋」 「おもちゃのまち あか」 「おもちゃのまち きいろ」 があり、テーブルサッカーや昔懐かしい玩具で時間を忘れて親子で遊べます。 現在は来場者の人数を制限するため、WEBからの完全予約制になっています。 夏休みの思い出作りに四谷三丁目の交差点(画像:photoAC) 新宿エリアというと、あまり博物館や美術館の街というイメージはありませんが、東京メトロ丸の内線「四谷三丁目駅」から徒歩圏内に3つの博物館と美術館があります。夏休みのお出かけ先に困った時に、ぜひ参考にしてみてください。 参照(詳細は各施設にご確認ください) ●新宿区立新宿歴史博物館 住所:東京都新宿区四谷三栄町12-16 TEL:03-3359-2131 開館時間:9:30~17:30 定休日:第2・4月曜日(祝日の場合は翌日) ●東京消防庁消防防災資料センター 住所:東京都新宿区四谷3丁目10番 TEL:03-3353-9119 開館時間:9:30~17:00 定休日:月曜日 ●東京おもちゃ美術館 住所:東京都新宿区四谷4丁目20 四谷ひろば内 TEL:03-5367-9601 開館時間:10:00~16:00 定休日:木曜日
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