新橋駅の高架下に「陰キャ」も「陽キャ」も引き寄せそうな「薄暗~い飲み屋街」が誕生したワケ
ここに集まるのは陽キャか、陰キャか…… 2019年11月20日(水)、東京メトロ銀座線の新橋駅7番出口から徒歩1分ぐらいのところに、新しい飲食施設がオープンしました。 JR線の高架下という立地をそのまま生かして、内部は全体的にちょっと薄暗い雰囲気。幻想的な照明が内部を控えめに照らしています。薄暗さを逆手に取った演出は、客同士の距離を微妙に近づけてくれそうな「大人の社交場」というコンセプトに基づくものだそうです。 新橋駅近くのガード下。奥の方で怪しい光を放っているのが今回オープンした「URACORI」(2019年11月18日、遠藤綾乃撮影) この新しい飲食施設の名は「URACORI(ウラコリ、銀座裏コリドー)」(千代田区内幸町)。運営するのはタクシー業などを展開する東京交通興業(千代田区有楽町)で、計11店舗が営業中です。18日(月)に開かれたメディア向けの先行内覧会に参加して、内部の様子をチェックしてきました。 施設内はさまざまなところにスポット照明やモニター画面が設置されていて、暗さと明るさのコントラストが絶妙です。URACORIのキャラクターと思しき顔マークのライトが、至るところで鮮やかに降り注いでいました。 JR新橋~有楽町駅間の飲みスポットといえば、高架下に続く飲食店街「銀座コリドー街」が有名。このURACORIはそのコリドー街の“裏バージョン”で、高架下らしく薄暗いムードは「穴蔵(あなぐら)感」が満載です。 確かに、隣に座った客同士がふと交流が生まれるかもしれないという雰囲気を感じました。そしてこの日陰(ひかげ)感、日なたの人生を好まない「陰キャ」な人をも惹きつけてしまいそうな独特の魅力がただよっていました。 いい意味で「ちょっとヘン」な店が多数いい意味で「ちょっとヘン」な店が多数 この薄暗いコンセプトに合わせてなのでしょう。施設内を回っていると、とにかく「ちょっとヘンなお店」にたびたび行き当たります。 例えば「ゆBar(ゆばー)」。何でも、銭湯に来たかのような雰囲気を楽しみながらお酒が飲めるバー(???)だそうで、店内には銭湯風の照明看板、下足入れ、果ては番台までもが設えられています。 さらには、タライに入れたお湯で「足湯」もできるそうです。冬場は厚手のタイツを履くことの多い女性の皆さん、この店へ行くときには脱ぎ履きしやすい靴下で行くのがよさそうですよ。 東京おでんラブストーリーの店内。「出会いのあるおでん屋」だそうですが果たして(2019年11月18日、遠藤綾乃撮影) それから「東京おでんラブストーリー」という名の40~50代男女ををホイホイ引き寄せそうなお店も見つけました。 店内にはおでんの屋台の形をしたテーブルがいくつも並んでいて、客同士はぎゅうぎゅうに肩を並べてひとつの鍋からおでんをつつくのです。 昨今、「仕事の忘年会で上司と鍋をつつくなんてイヤ……」なんて言うセンシティブな若者も多いと聞くなかで、知らない人と肩がぶつかりそうな距離でひとつ鍋を囲むというのは、なかなか攻めたスタイルです。 そして食べたおでん串に「当たりマーク」が書いてあると、自分以外のお客の誰かにおでんを1本プレゼントできるとのこと。人見知りの人にとって極めて難易度の高そうな仕掛けですが、この際「おでんが当たったらどのイケメンにあげようか……」と目を光らせてみるのもあるいは楽しいのかもしれません。 やっぱり落ち着く「フツー」の居酒屋もあるよ そうは言っても「あんまり奇抜なお店じゃゆったり飲んでいられない」という人には、フツーな感じのお店もあるのでご安心ください。 1階に店を構える九州料理の店「くすお」は、九州のうまいもん・うまい酒を一堂に会した居酒屋さん。メニュー表をガイドブック風の作りにして「2時間で九州旅行を楽しめる」という凝ったストーリー設定はあるそうですが、ごく一般的な居酒屋です。 その普通さがいいのです。試しに注文してみた「馬刺しの盛り合わせ」も「知覧鶏の炭火もも焼き」も、期待通りのおいしさでした。会社の同僚と仕事帰りに立ち寄るのなら、やっぱりこういうお店の方がいいのではないでしょうか。 「フツー」がうれしい定番の居酒屋もある(2019年11月18日、遠藤綾乃撮影) そのほか、全国チェーンで有名な「喜多方ラーメン坂内」や、199円のハイボールと巨大な鶏モモ唐揚げが看板の「ミライザカ」など、安心・安定のお店もいろいろあります。 JR新橋駅や有楽町駅からも徒歩圏内というのも、ありがたいポイント。今年はちょっと奇抜なお店で忘年会を開きたいという幹事さんも、忘年会は無難であるべき、が信条の幹事さんも、せっかくなので新装開店の「URACORI」をチェックしてみてはいかがでしょうか。
- おでかけ