映画「天気の子」予告編にも登場! 解体迫る、代々木駅前「東京の九龍城」とは?
2019年7月2日
お出かけ代々木駅前に廃墟のような大きなビルがそびえ立っています。その名は「代々木会館」。いったいどのようなビルなのでしょうか。その詳細について、「都市」と「商業」を専門に研究する都市商業研究所が解説します。
代々木駅前の廃墟のようなビル
「東京の九龍城」と言われた、いわくつきの物件がいよいよ最期の時を迎えます。
その物件とは代々木駅前にそびえ立つ「代々木会館」(渋谷区代々木)。代々木駅を降りた際に、一見廃墟かと見まがう大きなビルに目を奪われたことがある人も多いのではないでしょうか。

代々木会館は今から約50年前に国鉄代々木駅前に竣工した8階建ての雑居ビルです。この建物が一躍脚光を浴びたのは、今から45年前の1974(昭和49)年。日本テレビ系ドラマ「傷だらけの天使」の舞台となったことによるものでした。
かつては内部の飲食店街に予備校、ビリヤード場、パチンコ店などさまざまなテナントが出店していたこのビルも、ここ最近はほぼ空き家に。何度も再開発の話が持ち上がるも、多くの区分所有者がいることもあり、断念されてきたという経緯がありました。しかし、ついに2019年6月に「解体告知」が掲出され、その長い歴史に幕を下ろすことが分かりました。
「名物書店」も閉店。本の行先は「未定」
筆者が代々木会館を訪れたのは5月末のこと。すでにテナントは、1階のラーメン居酒屋「きぬちゃん食堂」と3階の「東豊書店」のみとなっていましたが、3階の東豊書店の店内は「近いうちの閉館」を聞きつけた客で溢れていました。
この東豊書店は日本屈指の「中国語専門書店」として知られ、中国・香港・台湾などで出版された本が床から天井までビッシリと並ぶ様子はまさに「東京の九龍城」を感じさせてくれます。
もちろん、本はどれも日本国内の一般書店では販売されていない未知のものばかり。文化大革命期の中国、英国統治下の香港、戒厳令期の台湾で出版された古い本も多く、台湾出身の店主・簡さんのはじく五玉そろばんの音と相まって、ここが21世紀の都内だということさえも忘れさせられます。
簡さんに閉店後の本の行方について伺ったところ「ハハッ、まだ決まってないよ」とのこと。「1棚くらい買いたい……」との思いを押さえつつ、筆者は買えるだけの本を抱え、後ろ髪を引かれつつ店を後にしました。
なお、1階のラーメン居酒屋「きぬちゃん食堂」は移転して営業を続けるとのことです。

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