国内利用者4500万人、日本人はなぜ「リツイート」が好きなのか? SNS時代の今、考える
2019年6月25日
ライフ日本では約4500万人のユーザーがいるとされるTwitter。その特徴的な機能のひとつに、自分が得た情報をフォロワーに共有する「リツイート」があります。人々がリツイートをする理由について、中央大学文学部の辻泉教授が社会情報学の視点から考察します。
Twitterユーザーの多い日本社会
日本は世界的にもTwitter(ツイッター)のユーザーが多いことで知られています。Twitter社が公表している月間ユーザー数でも、世界全体がおよそ3.3億人であるのに対し、日本は4500万人とおよそその7分の1を占めています(前者が2019年4月、後者が2018年12月のデータ)。

Twitterは他のSNSと比べても、その「ゆるさ」が特徴といわれます。アカウントの作りやすさやフォローのしやすさもそうですが、他にない特徴として、「リツイート」という機能が挙げられるでしょう。自分が得た情報をフォロワーに共有するだけの機能です。
ここでは、なぜ人はリツイートをするのかということを考えてみたいと思います。
大きく分けて、そこにはふたつの理由があるように思います。ひとつには、「善意の拡散」のためではないでしょうか。そして、もうひとつには、「いいね」を押すほどではないにしても、遠回しに賛成であることを示したいというような、「消極的賛成」のためではないでしょうか。後者のほうが、今日では主流であるように思います。
これらの点について、日本社会でTwitterが急速に注目を集めることになった「あの日」の出来事、すなわち2011年3月11日の東日本大震災を思い出すことから考えてみたいと思います。
あの日からのTwitter
あの日私は、東京の池袋にある大学で、会議に出席している最中に地震にあいました。テレビの速報で、大まかな被害状況は伝わってきましたが、詳細な情報はよく分かりませんでした。携帯電話やメールも通じず、家族とも連絡が取れないままでした。
夕方になって、意を決して徒歩で帰ることにし、自宅の方向に向かって、ひたすら明治通り沿いを3時間ほど歩き続けました。バスはかろうじて動いていましたが、すごい人の数でとても乗ることはできません。公衆電話の前にも長い行列ができていました。
そんな中、ほぼTwitterだけが滞ることなく機能していました。あまりにも長い時間、歩き続けるのも手持ち無沙汰だったので、その時の気持ちを投稿したりしながら、一方で、他のどのメディアよりも、有用な情報が交わされていたのを覚えています。
「どこそこに閉じ込められているので助けてほしい。誰でもいいからこの情報を拡散してほしい」という切迫した情報や、「〇〇小学校が避難場所として解放されているので、帰宅困難者の人はそこに行くといい」などといった情報が、リツイートされてきました。
こうした人助けのための有用な情報が投稿されたのちに、いくえにもリツイートされて拡散されていく様子は、ノンフィクション作家レベッカ・ソルニットの書名の通りに、『災害ユートピア』(亜紀書房 、2010年)のようでした。そこでのリツイートはまさに「善意の拡散」のためのツールだったのです。

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