“住みたい街”にコロナで異変! 2022年、突如ランクインしてきた「多摩境」って?

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“住みたい街”にコロナで異変! 2022年、突如ランクインしてきた「多摩境」って?

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 毎年、さまざまなサイトで発表される“住みたい街”ランキングですが、近年のコロナ禍で“常連”の顔ぶれにも変化があるようです。今回は、その中でも、前年は圏外だったにもかかわらず、今年、トップ3にランクインした「多摩境」をご紹介します。

圏外から突如、人気急上昇…多摩境って知ってた?

 2021年12月、住宅ローン専門金融機関「ARUHI」が1都3県を対象にした「本当に住みやすい街大賞2022」を発表しました。

 毎年、発表が行われているこのランキング。2022年版では、昨年3位だった辻堂(神奈川県藤沢市)が栄えある第1位を獲得。第2位は、昨年1位から順位を下げてしまった川口(埼玉県川口市)。ということは、第3位は、昨年2位だった大泉学園(東京都練馬区)…とはいきません。ここでランクインしたのが、昨年は10位以内にすら入っていなかった、多摩境(東京都町田市)です。

「本当に住みやすい街大賞2022」トップ10(https://www.aruhi-corp.co.jp/cp/town_ranking/kanto/)



 多摩境があるのは、東京と神奈川の境、町田市。多摩境駅は、京王電鉄相模原線の駅の名称です。

「本当に住みやすい街大賞」のARUHIでは、多摩境を「商業施設と緑豊かなエリアが調和、リニア新駅で更なる発展が期待される郊外型ニュータウン」と評しており(「本当に住みやすい街大賞2022」サイト)、実際、多摩境駅の周辺には大きなマンションが建ち並んでいます。

 多摩境が突如、人気になった理由は何でしょうか。そこには、コロナ禍ならではの事情があるようです。

東京23区の人口、初の転出超過

 総務省の発表によると、2021年、東京都全体での「転入超過」は5433人で過去最少を更新。東京23区は初めて、転出が転入を上回り、1万4828人の「転出超過」となりました。23区では、コロナ禍前は5万人程度の転入超過で推移してきたため、人の流れが大きく変わっていることが分かります。

 1年間で1万人もの人が23区外に“出ていった”背景には、まず第一に、新型コロナの影響で、IT企業を中心にリモートワークが進み、居住地の制限をなくす企業が増えていることが挙げられるでしょう。出社することなく、自宅にいながらにして仕事ができれば、通勤に便利な場所にこだわる必要がなくなり、都市部よりも自然豊かで、物価も安い傾向のある郊外を選ぶ人が増えるのは必然と言えます。

 とはいえ、リモートワークは、労働者の全員に許されているわけではありません。エッセンシャルワーカーなどにとっては縁遠い話です。東京23区から人々が“脱出”した理由は、リモートワークの普及だけでなく、単純に「コロナで収入が減り、都心の高い家賃に耐えられなくなった」という側面もあると言えます。

 実際、不動産経済研究所が発表した「新築分譲マンション市場動向 2021年のまとめ」によると、23区の平均価格は前年比7.5%アップと、かなり高騰しているのが分かります。郊外への引っ越しを検討するには十分な理由になり得るでしょう。

高い家賃を払ってまで、都心で働き続けるメリットがコロナにより薄れた(画像:写真AC)

 いずれにしても、住みたい街、人気の街が変化し、実際、東京23区から1万人もの人が転出した背景には、コロナの影響が色濃く出ていることは間違いないと言えます。

そんな中で、なぜ今、「多摩境」なのか

 郊外で人気のある街として、突如浮上してきた多摩境には、一体、どんな魅力があるのでしょうか。

 まず、都心ではなかなか味わえないのが、豊かな自然です。駅の北側一帯広がる「都立小山内裏公園」は、バーベキューができる広場も備える大型公園。また、近くには「町田市立三ツ目山公園」もあり、こちらも十分な広さがあって、休日のお出かけにはぴったりです。足を延ばせば、丹沢、奥多摩方面、相模湖に出かけることもでき、ファミリー層にとっては子育てしやすい環境が整っています。

小山内裏公園にはバーベキュー広場やドッグランもあり、ピクニックも楽しめる(画像:PIXTA)



 駅周辺は、東京ドーム約38個分の広さで実施された土地区画整理事業により、マンションや商業施設などが整備されたエリアが広がります。

 都心に比べ、戸建て、マンションともに価格が安いため、広々とした家を持つのに最適。近くには「コストコ」や「MrMax」、ホームセンター「カインズ」などの大型商業施設があり、隣駅の南大沢には「三井アウトレットパーク」もあるため、普段の買い物にも不自由しません。

 気になる都心からの距離については、京王線で新宿まで1本、約40分。さらに、始発から2番目の駅のため座っていけることも多いといい、アクセスの良さも見逃せないポイントです。

リニアも開業予定で、さらなる発展が期待できる街

 さらに、多摩境の人気を後押ししているのが、将来的な発展への期待値の高さです。

 隣駅である橋本(神奈川県相模原市)は2027年、リニア中央新幹線の新駅ができる予定で大きな話題になっています。リニアの特徴は何といっても速度で、最高速度は約500キロ(通常の新幹線の最高速度は300キロほど)。なんと、橋本駅から品川駅まで、約10分ほどで行けるようになるそうです。

 さらに、リニアは2045年には名古屋を通って、新大阪駅まで延伸する予定で準備が進められており、実現すれば、品川駅〜新大阪駅間が1時間程度で行けるようになります。現状、2時間以上かかってしまうことを考えると劇的な変化です。

 つまり、リニアの新駅ができるということは、東京、名古屋、大阪という主要都市との距離が一気に近くなることを意味します。そのため、橋本をはじめ、多摩境を含む多摩・町田エリアは発展が大いに期待できる街と言えるのです。

東京から名古屋まで約40分、大阪まで約1時間で走る予定のリニア(画像:写真AC)

「本当に住みやすい街」と言われるためには、コロナ禍という時代的な背景はもちろん、街そのものの魅力が不可欠。都心へのアクセスの良さはキープしながら、自然豊かで、日常生活にも不自由せず、お手頃価格で住むことができる多摩境は今まさに、注目の的です。一度、訪れてみてはいかがでしょうか。

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