8か月の子どもを預けた私は悪いのか? 「保育園なんてかわいそう」論の誤解を解く

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8か月の子どもを預けた私は悪いのか? 「保育園なんてかわいそう」論の誤解を解く

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高橋美穂

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保育園利用者が増加しています。その一方で、「小さな子どもを保育園に預けるのはかわいそう」という声も。4歳児の子育て中で、保育園利用者であるライターの高橋美穂さんが、育児と保育園利用について提言します。

保育園はかわいそう?

 2018年7月に東京都福祉保健局が発表した「都内の保育サービスの状況について」によると、2018年4月1日時点で、都内における保育サービス利用児童数は、前年から1万6059人増の29万3767人となりました。

保育園で子どもの社会性が育まれることも(画像:Pixabay)



 保育園利用者は増加しているにもかかわらず、「子どもが小さいうちから保育園に預けるのはかわいそう」という声はいまだに少なくありません。「3歳児神話」という言葉があり、「3歳になるまでは母親が子育てに専念すべきだ」と考える人もいます。

 筆者の子どもは、8か月の時に保育園に入園しました。

 編集プロダクション、出版社を経て、フリーランスのライターになって7年ほど経っていた当時。フリーランスのため、産休も育休も自発的に取らなければありません。そして、休んでいる間はもちろん手当も出ません。

 出産予定日までゆるやかに仕事を減らしていたものの、実際は入院する数日前まで原稿を執筆し、出産後も1か月経たない間に家でできる仕事をスタート。

 フリーランスは一度休むと、再び仕事を軌道にのせることは難しいので、細々とでも休まずに続けなければ……という思いはあったのですが、泣き続けるわが子を抱っこしながら原稿を書くには限界があり、取材の依頼にも応えたかったので、0歳児から保活(子どもを保育園に入れるための活動)をはじめました。

 フリーランスということで道は険しかったのですが、なんとか認証保育園(東京都が独自に定めた基準を満たした施設)に入園。その後は認可保育園(国の基準を満たした施設)に転園することもでき、今に至っています。

罪悪感があったが、通い始めると……

 8か月といえば、まだまだ赤ちゃん。「小さな子どもを保育園に入れるのはかわいそう」という声を受けてもおかしくない月齢です。幸い筆者は、直接そういった言葉をかけられることはあまりなかったのですが、自分自身の中に「罪悪感」はありました。

 正直に言うと、子どもが4歳になった今も、仕事が増えることと、子どもと離れる時間が増えることが比例していく状態に複雑な思いを抱き続けています。子どもと楽しく暮らしていくために働いているのに、これでは本末転倒ではないか、と。

 しかし、泣き続けるわが子を抱っこしながら原稿を書くという、どちらにも集中できない状態で心身が疲弊していた頃に比べると、子どもが保育園に行っている間は仕事に集中する、子どもをお迎えに行った後は思いっきり抱っこする、というメリハリを付けられるようになったことは、子どもにとっても、自分にとっても、よかったのだと思います。

 また、保育園に預けるまでは、子どもと四六時中一緒にいたわけですから、離れることそのものも不安でした。特にわが子は、ミルクを嫌がり、母乳しか飲まないということで、食事面の不安もありましたし、寝ぐずりが激しく、3時間くらい抱っこでゆらゆらしないと泣き続けていたこともあったので、お昼寝の不安も大きかったです。

 しかし、わが子は人見知りや場所見知りがあまりなく、楽しいことが大好きなタイプ。アットホームな保育園の雰囲気も相まって、思い切り遊んでぐっすりお昼寝できていたようです。

 さらに、習慣がついたのか、帰宅後の夜の入眠もスムーズになりました。そして食事は、やはりミルクは苦手だったようなのですが、おいしい離乳食を作っていただけたことで、そちらからも栄養を摂れる月齢だったことが幸いし、順調に成長することができました。

保育園に預けてよかったこと

 また、子どもを見ていると、保育園での集団生活によって、コミュニケーションの方法を身につけられていることがわかります。休みの日に公園に行った時などに、見知らぬ子どもと砂場道具の貸し借りをできている様子や、遊具の順番待ちができている様子からは、「小さな社会」で得られることの大きさを感じずにはいられません。

 また、ひとりっ子のわが子にとっては、赤ちゃんから就学前までの(子どもにとっては)幅広い年齢の子どもたちがいる保育園で生活することによって、お兄ちゃんやお姉ちゃんに憧れること、赤ちゃんに優しくすることなども自然と学べる場所、という意味でも保育園は大きいです。

小さな子どもを保育園に預けるのはかわいそうという声も(画像:Pixabay)



 保育園に預けてよかったことは、子どもの社会的な成長だけではありません。

 筆者はずっと、いわゆるワンオペ状態で育児しながら働いてきたのですが、保育園で出会った保育士さんやママ友たちにアドバイスをもらうこと、話を聞いてもらうことで、かなり心を軽くすることができました。

 周囲にも、保育園に預けるまでは子どもと家の中に引きこもってしまい、育児ノイローゼになりそうだったところを、仕事復帰して保育園にお世話になることで救われた、というママ友がいます。

 今は、子どもにとっても、自分にとっても、保育園は「親の仕事中に子どもを預かってもらう」という本来の意味合い以上に、大切な場所になっています。

 とはいえ、子どもの本拠地は家庭ですから、食事、睡眠、排便といった生活の大切なこと、そして小学校の学びにつながるようなことは、保育園に頼りすぎることなく、親も大切に教えていきたいところ。

 わが子は絵を描くことや本を読むことは大好きなのですが、消極的なことも多く……保育士さんと連携プレーをとりながら、まだまだ奮闘中です。

 これらは、筆者と子どもに合った保育園に巡り会えたところも大きいのかもしれませんが、「小さなうちから保育園に預けるのはかわいそう」という声に対しては、「全然かわいそうじゃないよ!」と思いますし、思いたいです。

 保育園はもちろん、さまざまな事情を抱える全ての親子が明るく生活していくための環境が整い、周囲の人たちの温かなまなざしが広がっていくような社会になることを願ってやみません。

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