女性にも人気。蒲田の銭湯で500円から味わえる本格ナポリ風ピザ、館内にピザ窯を完備
土日祝日限定で、本格的な焼き立てピザを販売する「銭湯」が蒲田にあります。家業と「趣味」を見事にドッキングさせ、利用客からも好評だという味のルーツについて聞きました。
化学調味料不使用、表面サクサク、中はもっちり
JR蒲田駅から徒歩12分の場所にある、昭和24(1949)年開業の銭湯「蒲田福の湯」。そこは、銭湯でありながら本格的なピザを楽しむこともできるといいます。マルゲリータ、アメリカン、ジェノベーゼ、マヨコーン、ミックスの計5種類で、Sサイズ(直径20cm)が500円、Lサイズ(同30cm)が1000円です。


当初は週替わりで3~4種類のピザを提供していましたが、2017年の始めごろから現在のラインナップになりました。土日祝日の17:00から24:00までの限定販売で、テイクアウト可。お風呂に入らず、ピザだけを買って帰る人も最近では増えており、客層の半分は女性です。
味つけに化学調味料をいっさい使っていないのも特徴です。注文を受けると店内に置かれた電気式の石窯オーブンを使い、400度以上の高温で90秒、一気に焼き上げます。
「生地は薄めのナポリ風。表面はサクサク、中はもっちりの食感がウリですね」(ピザを作っている「蒲田福の湯」4代目のご主人・岡崎研二さん)

数あるピザのなかでも、岡崎さんが「ナポリ風」のピザを選んだのは、都内のピザ専門店を約3年間食べ歩き、「味も食感も、日本人に合うのはナポリ風ピザ」と確信したからです。生地は、提供前日の金曜に仕込んでいます。
アメリカで出会ったピザの衝撃
5種類あるピザのうち、岡崎さんのおすすめは「アメリカン」。トマトピューレに、バジルやオレガノ、タイムなどのハーブを独自の割合で交ぜたオリジナルソースの上に、オニオン、ピーマン、ペパロニ(スパイスの利いたサラミ)、シュレッドゴーダチーズを振りかけたシンプルなピザです。
一般的な「アメリカン」は、宅配ピザのような厚めのパン生地を使って作られますが、「アメリカとイタリアが融合した『ネオっぽさ』」(岡崎さん)を演出するために、こちらもナポリ風の薄い生地を使っています。

ピザに合わせるドリンクもあります。生ビール(450円)のほか、スプライト、コーラ、ジンジャーエール、ドクターペッパー(全120円)といった炭酸をメインに用意しています。「自分にとってのピザは『炭酸』と一緒にジャンクに食べるもの。ワインのような気取ったドリンクは置いていません」と岡崎さんは笑います。

1981(昭和56)年4月4日、総合商社に勤める父親と専業主婦の母親の間に生まれた岡崎さん。父親の仕事の関係上、1歳から7歳までの幼少時代を、アメリカのニュージャージー州で過ごしました。
仕事で忙しい父親の代わりに、母親がレストランによく連れて行ってくれました。そのなかで特に印象に残っているのが、当時の自宅近くにあった「映画『トイストーリー』に出てくる『ピザプラネット』のような雰囲気のピザ専門店」でした。
「薄暗い店内で食べる、ペパロニがたくさん乗ったアメリカンピザはとてもインパクトがありました。ピザを食べ終えた後に、母親から25セントをもらって店内の隅にあるゲームコーナーでよく遊んでいたのですが、この時の思い出が頭に焼きついているんですよ」(岡崎さん)

その後、日本に帰国。月日は流れて、岡崎さんは大学卒業後、ロックバンドを率いてプロのミュージシャンを目指していましたが、夢を断念して工作機械メーカーに就職。営業職として3年間勤務したのち、地元蒲田のラーメン店「ラーメン 大 蒲田店」で8年間以上、店長として昼夜問わず働きました。
「働き始めて3~4年経ったとき、急に昔のことを思い出して『ピザ屋をやりたい』という気持ちになりました。それから数千円のオーブンを買いに行って、店の忙しくない時間帯に独学でピザを焼き始めるようになったんです。
初めのうちは全然うまくいかなかったですね。生地をこねる時の水の温度、使用するドライイーストや塩の量、焼く時の温度など、失敗だらけでしたがデータを取りながら少しずつコツをつかんでいきました」(岡崎さん)

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