乳酸菌入りの「東京発」クラフトビールが登場 酸っぱさがクセになる?

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乳酸菌入りの「東京発」クラフトビールが登場 酸っぱさがクセになる?

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東京発のクラフトビールに、乳酸菌入りビール「東京サワーエール」が仲間入り。東京都檜原村の畑で発見された乳酸菌を使用しています。苦味が少なく、果実味が感じられてビールっぽくないため、普段あまりビールを飲まない人や女性にも飲みやすいようです。

檜原村のキャベツが誕生の元となった「東京サワーエール」

 2018年7月、東京発のクラフトビールに、「乳酸菌入り」という一風変わったビールが仲間入りしました。その名も「東京サワーエール」。「サワーエール」と呼ばれる乳酸菌入りの酸っぱいビールは日本ではあまり馴染みのないものですが、ベルギーやドイツではポピュラーで、古くから飲まれているそうです。

東京サワーエール。醸造したてのものが新宿の「ベクタービアファクトリー」で飲める(写真:東京牧場)。



 販売元の東京牧場(東京都檜原村)の小林さんによると、同ビールの発酵原料にフルーツが使われているとのこと。そのため果実味が感じられ、苦味も少ないことから、「ビールっぽくないので、普段あまりビールを飲まない人や女性にも飲みやすい」との声が多く寄せられているといいます。

 新宿のクラフトビールの店「ベクタービアファクトリー」で醸造したてのものが飲めると聞き、同店を訪ねてみました。

「東京サワーエール」はどんな料理と合う?

 ステムのついたワイングラス型のオリジナルグラスに注がれて出てきた東京サワーエール。香りを楽しめるように、この形のグラスで提供しているそうです。

「酸っぱい」ことを十分に想定していたためか、最初にひとくち飲んだ瞬間は思ったほど酸っぱくないと感じました。スカッとした喉越しの良さがあり、苦味が少ないため、飲み込んだ後に香りの余韻がしっかりと残ります。ただ、酸味の余韻も残るせいか、2杯めは1杯めより酸っぱく感じられました。

 食事との相性も試してみました。ドイツやベルギーの人たちはサワーエールをザワークラウト(酢漬けにしたキャベツ)などとともに楽しむのでしょうが、筆者の個人的感想としては、酸っぱさが強調されすぎないよう、酸味の少ない料理がベターに思えました。また、淡白な魚より旨みの濃い赤身の肉料理のほうが、相性が良いようでした。

 初回の醸造では発酵原料にパイナップルを使うことで、苦味を押さえ、フルーティーな味わいを前面に出したそうです。手造りゆえに、月1回の醸造で500〜600リットルの製造が限界。そのため、仕込みは毎月行われるのですが、醸造の度に原料のフルーツを変えることで、旬の果実や季節を感じる風味を提供していくと小林さんは話します。
 
 これは、東京サワーエールの味わいを進化させる目的に加え、同ビールの開発に至った理由とも重なるといいます。

檜原村の活性化めざすなか、「乳酸菌」と出会う

 東京牧場は2014年より檜原村(東京)に牧場を開拓。東京うこっけいやサフォーク(羊)、キジを飼育して加工品を製造するなど、農業の6次産業化(1次産業としての農業に加えて、食品加工や流通・販売なども行い、農作物の価値を高めて収入を増やすこと)に取り組んでいます。

 檜原村の人口は2018年7月現在、約2230人です。少子高齢化で休耕地が増え、これといった産業もないため人口流出に歯止めがかかりません。山間部にあるために平地が少なく、就農希望者がいても生計を立てられるだけの収入を得られる見込みが低い状況にあります。そのため、東京牧場は農業の6次産業化に力を入れて、村の活性化をはかってきました。

 乳酸菌の発見は、ある時、竹の切り株に付着している白い液体が泡立っている(発酵している)ことに気がつき、一帯に何らかの菌が浮遊しているのではないかと考えたことからでした。そこで、自然農法の畑で栽培していたキャベツを採取してビニール袋に密封。バイオ関連の会社に送って調べてもらい、そこから乳酸菌が検出されたのです。

東京牧場の自然農法のキャベツ畑(写真:東京牧場)。

 時は乳酸菌入り商品がブームに。そこでひらめいたのが「乳酸菌入りビール」でした。昔、ヨーロッパを旅した時に、ドイツやベルギーにはいろいろな種類のビールがあり、その中に乳酸菌ビール「サワーエール」があったことを思い出したそうです。

 早速、都内のクラフトビール醸造メーカーをあたり、最終的に「ベクタービアファクトリー」に開発を依頼。何度も試作を重ねた結果、期待通りの味わいが完成したといいます。
 
 初回の発酵原料に使われたパイナップルは村のものではなかったため、8月の醸造の際には檜原村産ブルーベリーが使われました。次回は、檜原村産ゆずで醸造することが決まっているそうです。檜原村のものを使うことで、6次産業化と村の活性化につなげることが、東京サワーエール開発の根幹にあります。

 酸っぱいビールは、飲みなれるとクセになるとか。発酵原料の違いによって、どのような風味の変化が生み出されるのか。東京サワーエールの今後の進化が期待されます。

●東京牧場株式会社  
・住所:東京都西多摩檜原村4450
・電話番号:0120-256-800

●ベクタービアファクトリー
・住所:東京都新宿区新宿1-36-7 川本ビル1F
・アクセス:丸ノ内線「新宿御苑前駅」から徒歩約2分
・営業時間:17:00~24:00
・定休日:日曜、祝日

※2018年8月現在の情報です。

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