毎日がお祭り状態? 11月閉館予定の穴場スポット、浅草「まるごとにっぽん」に行ってみた

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毎日がお祭り状態? 11月閉館予定の穴場スポット、浅草「まるごとにっぽん」に行ってみた

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淡川雄太

都市商業研究所

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2020年11月に閉館が決まった浅草の複合観光商業施設「まるごとにっぽん」について、都市商業研究所の淡川雄太さんが解説します。

「地方の逸品」がいっぱい

 2015年12月に開業した浅草六区の「まるごとにっぽん」(台東区浅草)が、2020年11月での完全閉館を発表。「毎日が物産展」という雰囲気を味わえる施設の終幕に、多くの悲しみの声が上がっています。

浅草にある「まるごとにっぽん」の外観(画像:淡川雄太)



 浅草寺や浅草神社を訪れる観光客にはようやく定着してきた一方で、都民のみなさんは「そんな施設があることさえ知らなかった」という人も多いのではないでしょうか。

「まるごとにっぽん」は浅草寺から歩いて5分ほどの浅草六区ブロードウェイ商店街にある複合観光商業ビルで、テーマは「『見て』『食べて』『持ち帰って』」。全国各地の約50店舗が館内の1階から4階までに出店しており、都内ではここでしか買えないような「地方の逸品」が多く品ぞろえされています。

 運営は錦糸町パルコの建物でおなじみの、阪急阪神東宝グループ企業「東京楽天地」(墨田区錦糸町)。もともとこの場所には「浅草楽天地ボウル」と「浅草東宝会館」が立地していました。

 館内は、各フロアともに個性的なものとなっています。1階は、主に食品が販売される「楽市 にっぽん食市場」。ここには全国各地の銘菓や農産品などの店舗がところ狭しと並んでおり、東京ではここでしか買えないような商品も多くラインアップされています。

みかんジュースの出る蛇口や温泉も

 何といってもオススメしたいのが愛媛県内子町発の農産品ショップ「スマイル&スウィーツ」。何とこの店には、「みかんジュースが出る蛇口」が設けられているのです。果汁100%のジュースは1杯390円から(商品によって異なる場合あり)。

 かんきつの種類は季節によって変化するため、何度か通って飲み比べてみるという楽しみ方もできます。そのほか、店内では愛媛産品の野菜や果物の販売や、果物を使ったジェラートも味わえます。

 特に1階の各店舗では、店員さんに話しかけると「全国各地のなまり」で返してくれることも。実家の近くのお店を見つけたならば、ぜひ方言で話しかけてみましょう。

1階は全国各地の「食」がテーマ。都内ではここでしか買えない食材もあります。(画像:淡川雄太)



 2階は化粧品・工芸品などの店が出店する「和来 くらしの道具街」。ここには全国各地の伝統工芸品をはじめとした地方発の雑貨や日用品が多く集められています。

 中でもこの季節にオススメなのが「おおいた温泉座 浅草店」。おおいた温泉座は別府温泉の成分を利用した化粧品を製造・販売する「サラヴィオ化粧品」(大分県別府市)による自社製品と大分県産品のアンテナショップで、店内には無料で漬かることができる別府温泉の「足湯」が設けられています。

 足湯にはフットカバーも置かれているので靴下を履いたままでも大丈夫。のれんや木のロッカー風の装飾が設けられていたりと、内装も「温泉」の雰囲気いっぱいです。

地方移住に関するコーナーも設置

 3階は全国から集まった市町村のPRスペースや伝統文化体験コーナー、期間限定店舗などが出店する「たいけん広場 浅草にっぽん区」。

 このフロアには全国各地の市町村のPRコーナーがあり、各自治体などが発行する観光案内パンフレット、移住案内パンフレットなどが置かれています。もちろん、パンフレットのほとんどは無料で持ち帰ることが可能。ぜひ地方に出掛ける前に立ち寄って地元民の「オススメスポット」をチェックしてみましょう。

 このほか3階には「ふるさと納税」や「移住」についての案内を聞くことができるコーナー、イベントスペース「みんなでたいけんコーナー」、さらに郷土料理のレシピを知ることができるクッキングスタジオ「おいしいのつくりかた」なども設けられています。

 4階は全国各地の店舗が出店するレストラン街「縁道 ふるさと食堂街」。もちろん、このレストラン街も広島風お好み焼き居酒屋「広島乃風」、沖縄料理「琉球市場やむちん」、淡路島の鮮魚が楽しめる「海鮮寿司居酒屋 森水産」など、全国各地のグルメが楽しめる内容となっています。

4階「縁道 ふるさと食堂街」の様子(画像:淡川雄太)



 これだけのものを詰め込んだ「まるごとにっぽん」でしたが、地方からの出店が多かったためかテナントの入れ替わりが激しく、運営する「東京楽天地」によると最近は経営状態も厳しかったということで、2020年11月の閉館後は新たな施設になるべく全面改装されるといいます。

 浅草六区ブロードウェイ商店街では2019年10月から週末に歩行者天国が実施されるなど、新たな取り組みも始まっています。残りわずかとなった「毎日が全国物産展」の雰囲気を味わいに、六区ブロードウェイへと出掛けてみてはどうでしょうか。

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