グルメ女子には「穴場」かも? 400軒で味わえる「カレーの街」神保町のヒミツとは

2018年9月21日

知る!TOKYO
ULM編集部

カレー店が多いことで知られる神田神保町。そもそもなぜこの地でカレー文化が根付いたのでしょうか。取材をすると、これまでの「俗説」とは異なる側面が見えてきました。


エリア内でカレーを提供する店は400店以上

「世界一の古本屋街」として、国内外多くの人たちが訪れる神田神保町(千代田区)。そのような神田神保町には、古本に負けないぐらいの存在感を持つ、もうひとつの名物があります。それはカレーです。

明治以降に日本に入ってきたカレー。もはや「国民食」のひとつとなっている(画像:写真AC)

 神保町駅の半径1km圏内には、カレー専門店だけで約60店が軒を連ねており、喫茶店などカレーをメニュー提供している店も含めると、その数は400店以上といわれています。しかも、その数は今もなお増え続けています。

神保町駅が面する靖国通り。写真右上にもカレー店の看板が見える(2018年7月21日、ULM編集部撮影)

 そもそも、神田神保町にカレー専門店が増えたのは、いつごろなのでしょうか。同エリアで2011年から毎年秋に開催されている日本最大級のカレーイベント「神田カレーグランプリ」の公式サイトには、「共栄堂」の3代目・宮川泰久さんによる以下の回想が載っています。「共栄堂」とは1923(大正13)年創業、スマトラカレーが名物の老舗店です(取材は2011年実施)。

「自分(宮川さん)が跡を継いだ30年前(1980年代前半)にはあまりカレー店はありませんでした。ボンディさん、まんてんさんくらいでしたかね」

3軒連続してカレー店が並ぶ神保町の一角。一番奥は老舗店「エチオピア」(2018年7月21日、ULM編集部撮影)

「ボンディ」とは、1973(昭和48)年創業の欧風カレーの老舗店。「まんてん」は1981(昭和56)年創業、安価でボリューミーなカレーを出すことで知られる人気店です。また、宮川さんは回想のなかで、専門店の数について「7年前(2004年)は30店ぐらいでした」と話していることから、神田神保町のカレー専門店の数は2004年から2018年の間で、約2倍に増えたことが推測できます。

 その一方、次のような声もあります。

「これまで専門店の数を正式に記録してきたわけではないので、個人の認識度合いによって、数は多少上下します」(「神田カレーグランプリ」を主催する神田カレー街活性化委員会委員長の中俣拓哉さん)

「趣味趣向の強い街にカレーが合った」

 中俣さんによると、神田神保町にカレー専門店が増えた理由は、日本で1980年代後半に起こったエスニックブームと、神田神保町という街の「特性」に関係しているようです。

1923年創業、スマトラカレーが名物の「共栄堂」(2018年7月21日、ULM編集部撮影)

「ブームの先駆けとなった『マンダラ』のオープンが1987(昭和62)年で、その後に新規出店が相次いだと言われています。加えて、この街がもともと古本やスポーツ用品、楽器といった、個人の趣味趣向が強く反映される商品を豊富に取り揃えていた街だったことが関係しているようです」(中俣さん)

 カレーと一口に言っても、家庭で食べるようなレトルトカレーから、カツカレー、スパイシーなインドカレー、タイカレー、スリランカカレーなど、その種類はさまざまです。そのようなカレーが、神田神保町を愛する「マニアックな」人たちにうまくはまって、愛されたのではないかと中俣さんは推測します。

1973年創業、欧風カレーの名店「ボンディ」(2018年7月21日、ULM編集部撮影)

「かつては、カレーは『片手で本を読みながら食べられる』から神保町で人気になったという意見が多かったですが、グランプリの開催を通して、神田神保町という街の特性との関係を強く感じています。街の東には同じく、オタク文化に強い秋葉原もあります。もちろん過去には『片手で本を~』といった食べ方が実際に多かったのかもしれませんが、本質的には神保町周辺が『個人の趣味の街』であるから、だと思っています」

 なお、「神田カレーグランプリ」に訪れるのは半数以上が40~50代で、女性は20%ぐらいとのこと。年齢層がラーメンと比べて高めなのは、「カロリーの高い食べ物を敬遠する世代であることと、ラーメンよりも値が張るため、収入の多い年配者が多いのでしょう」(中俣さん)。

 ラーメンよりカロリーが低くて、女性ファンが少ない。裏を返せば、若い女性にとっては、むしろ「穴場」なのかもしれません。

夜には「居酒屋化」する店も増えている

 また、神田神保町のカレー専門店には、「西日本方面からの出店」や「カレー店での宴会」といったトレンドがあるようです。

神田カレー街活性化委員会長の中俣拓哉さん(画像:神田カレー街活性化委員会)

「特に大阪からの出店が増えています。これらのお店は、甘辛のいわゆる『日本風カレー』をアレンジしたものを出す傾向があります。カレー専門店で『宴会』が行われるようになったのは、もともとカレー店にはスパイシーなサイドメニューやアチャール(野菜や果物の漬物)などが豊富にあるので、それをつまみにお酒を飲むという流れが浸透してきたからです。『夜のウチはカレー屋じゃない』と宣言する有名店もあるほどです」(中俣さん)

2017年の神田カレー街の公式ガイドブック。2018年版は8月配布予定(画像:神田カレー街活性化委員会)

 なお、8月には各店の情報が掲載された「神田カレーグランプリ」の公式ガイドブックが無料配布されました。「ガイドブックを片手に、カレーとともに神保町を楽しんで下さい。若い女性も歓迎です」と中俣さんは話しています。


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