行政書士試験の合格点は?合格率が低い理由から科目別の勉強法まで解説

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行政書士試験の合格点は?合格率が低い理由から科目別の勉強法まで解説

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行政書士試験は、全体の合格点に加えて、各科目のライン点をクリアする必要があります。本記事では、行政書士試験の概要や学習内容、合格点を解説しています。また、行政書士試験の合格に必要なポイントも紹介しているため、行政書士試験を受験予定の人はぜひ参考にしてください。

 行政書士は、公的機関に提出する書類の作成や、許認可申請手続きの代行を独占業務とする国家資格です。行政書士試験に合格して、行政書士資格を保有すれば、独立開業や行政書士事務所への就職ができるため、国家資格のなかでも人気が高くなっています。

 しかし、行政書士試験の合格率は決して高いとは言えず、合格ラインや出題科目を理解したうえでの対策が必要です。

 そこで、本記事では行政書士試験の合格点や過去の合格率、合格率が低い理由を解説しています。また、科目別におすすめな勉強法も紹介しているため、行政書士試験の勉強をしている人はぜひ本記事を参考にしてください。

行政書士試験について

 行政書士として業務を行ったり、行政書士の肩書を名乗ったりするためには、日本行政書士連合会の名簿へ、行政書士の登録をする必要があります。そして、この登録を行うためには、行政書士試験を突破するか、弁護士や弁理士、税理士や公認会計士の資格を有しているか、公務員として特定の行政事務をある年数以上経験するかのいずれかの条件が必要です。

 しかし、多くのケースは、行政書士試験を受験する方たちです。それは、行政書士試験の難易度は弁護士や税理士といった資格より低く、比較的挑戦しやすいためです。また、行政書士になる目的が最初からあるのであれば、わざわざ公務員を経験せずに、行政書士試験を突破するのが最短ルートであるためです。

 それでは、まず行政書士試験の受験資格や日程、試験内容を解説していきます。

受験資格と日程

 行政書士試験は、行政書士の試験や業務内容について定めた、行政書士法の規定にのっとって実施されています。また、試験日程や試験内容は、総務大臣の管轄であるとされています。平成12年度からは、一般財団法人行政書士試験研究センターが、総務大臣による指定試験機関に認定されて試験の実施に関する業務を行っています。

 そして、行政書士試験の受験資格には、受験者の年齢や国籍、学歴や職歴といった条件がなく、誰でも試験を受けられるのです。法律系の国家資格のなかには、学歴や職歴などの条件が受験資格として設定されているものもありますが、行政書士試験は誰でも挑戦することができます。

 また、行政書士試験は1年に1度のみ実施されています。例年では、11月第2週目の日曜日に開催されているようです。試験の時間は、午後1時から午後4時までとおよそ3時間になっています。試験は全国の会場で実施されますが、現在住んでいる地域に関わらず、どこでも受験可能です。受験手数料は定期的に改定されていますが、令和4年度の改定では、10,400円という金額が設定されています。

試験内容

 次に、試験科目や出題形式、点数配分の三つの観点から、行政書士試験の内容を見ていきます。まず試験科目ですが、行政書士業務に関連する法律と一般知識という二つが出題されます。法律科目では、憲法や民法、地方自治法を含む行政法が扱われます。さらに、商法や会社法といった法律や、法学全体に関わる基礎的な知識も試験科目です。一般知識科目では、社会保障制度や金融政策などの政治経済・社会に関わる問題、個人情報保護法や通信技術をはじめとした個人情報保護・情報通信の問題が出題されます。

 出題形式は、法律科目では択一式と記述式で計46問あり、一般知識科目では択一式が計14問となっています。

 最後に点数配分についてですが、法律科目は244点満点、一般知識科目は56点満点で、試験全体では全60問で300点満点です。この試験内容からは、点数配分のほとんどを法律科目が占めていることがわかります。

行政書士試験の合格点とは

 行政書士試験には、大きくわけて法律科目と一般知識科目という2分野が存在し、それぞれで足切りと呼ばれるライン点が設けられています。さらに、こうした足切りをクリアしても、試験全体で超えなければいけない合格点が存在しています。行政書士試験を確実に合格するためには、試験全体の合格点に加えて、各科目の足切り点数を意識することが重要です。それでは、行政書士試験における合格点や、各科目の足切りについて詳しく見ていきます。

180点以上で合格

 行政書士試験は、244点満点の法律科目と、56点満点の一般知識科目で構成されており、合計60問で300点満点となっています。そして、この試験に合格するための条件のひとつが、試験全体で6割以上得点することです。したがって、試験全体で180点以上得点する必要があるということになります。

 また、行政書士試験の合否判定では、あらかじめ決められた条件をクリアしさえすれば合格できる絶対評価が採用されています。司法書士試験をはじめとした一部の国家資格では、条件クリアに加えて、ほかの受験者よりも高い得点を叩き出すことが必要です。そのため、こうした相対評価の試験よりも、絶対評価の行政書士試験のほうが合格を狙いやすいと言えます。

科目ごとに足切りがある

 行政書士試験では、試験全体の6割以上得点するだけではなく、各科目ごとに合格ライン点を超えなければなりません。つまり、試験全体でいくら高い点数を叩き出しても、各科目のライン点を超えられなければ、足切りされ不合格となってしまうのです。したがって、行政書士試験の対策においては、各科目で合格ライン点を超えられるように、バランス良く勉強することが欠かせません。

法令等科目

 法令等科目では、憲法や民法、行政に関する法律や商法、会社法といった分野が、択一式と記述式で出題されます。そして、計46問の出題で、合計244点満点となっています。

 法令等科目においては、科目全体で50%以上、半分以上を得点することが条件です。つまり、法令等科目では、合計122点以上の得点を叩き出す必要があるということです。単純計算では、2問に1問は確実に正解しなければならないことになるため、法令等科目の対策は抜かりなく行うことが重要です。

 また、法令等科目と一口に言っても、取り扱う法律の種類はとても多いうえに、独学での対策が難しい記述式も出題されます。法令等科目で足切りされないためには、計画的にコツコツ勉強したり、通信講座を活用したりといった対策も必要です。

一般知識等科目

 一般知識等科目では、社会保障制度や金融政策などの政治経済・社会に関わる問題、個人情報保護法や通信技術をはじめとした個人情報保護・情報通信の問題が択一式で出題されます。そして、計14問の出題で、合計56点満点となっています。

 一般知識等科目においては、科目全体で40%以上を得点することが条件です。つまり、一般知識等科目では合計24点以上の得点を叩き出す必要があります。一見すると低い足切りラインに見えますが、問題数が少ないため、1、2問でも間違えるとすぐに足切り対象となり得る点に注意が必要です。

 一般知識等科目は、前述の通り、大変幅広い分野から出題されます。そのため、高い点数を狙うと多くの時間が必要になって、非効率です。あくまで足切りされない程度の勉強にとどめて、法律科目に勉強時間を割くようにしましょう。

問題の難易度によって補正措置がある

 実は、行政書士試験には、その年の難易度に応じて補正措置が設けられるという事実をご存知でしょうか。試験実施後、受験者の平均点があまりにも高すぎたり、反対に低すぎたりした場合に、合格のライン点が変更される制度を補正措置と言います。実際に、2014年度は問題が難しすぎたため、試験全体での合格ライン点が180点から166点に変えられました。

 しかし、これ以降の試験で補正措置が実施された例は一度もなく、今後も補正措置が実施される見込みは少ないと考えられます。

行政書士試験の合格点と合格率の推移

 行政書士試験では、前述の補正措置によって、合格点が166点に変更された年がありました。また、民法や行政法といった法律科目、一般知識科目では、出題ミスがあったため全員に配点が行われるケースもありました。

 しかし、補正措置が実施された2014年度を除いて、合格ライン点が変更されたことはありません。

 また合格率は、試験の実施年によって多少変動しています。直近3年間の合格率を見ると、令和元年度は11.48%で令和2年度は10.72%、令和3年度は11.18%です。この3年分の合格率を平均すると、約11.13%になります。それ以前の合格率も、およそ10%前後で推移しています。直近10年間では、平成29年度の15.72%が最も高い合格率になっています。

参照:「最近10年間における行政書士試験結果の推移」(一般財団法人行政書士試験研究センター)

行政書士試験合格者の平均点

 行政書士試験に合格した受験者は、平均してどの程度得点しているのでしょうか。一般財団法人行政書士試験研究センターが令和4年4月1日に公表したデータによると、令和3年度試験合格者の平均得点は198点でした

 また、令和2年度は195点が平均得点でした。このことから、合格者は、合格点である180点に対して、大きく上回る得点を叩き出しているというわけではないことがわかります。特別高い点数にならなくても、きちんと足切りラインをクリアして、全体の合格ライン点を超えさえすれば、行政書士試験に合格することは可能です。

参照:「令和3年度行政書士試験実施結果の概要」(一般財団法人行政書士試験研究センター)

行政書士試験の難易度

 行政書士試験は合格率の平均が10%前後で、簡単な試験ではありませんが、誰でも受験できるうえに、合格ラインをクリアすれば絶対評価が採用されていることから、超難関試験とまではいかないでしょう。実際に、令和3年度の試験データによると、14歳の最年少合格者と82歳の最年長合格者が存在します。このように、行政書士試験は努力さえ怠らなければ、誰でも合格する可能性がある試験です。

 とは言え、決して合格率が高い、簡単な試験ではないため、なぜ合格率が低いのかという理由を押さえたうえで、効率的に勉強していく必要があります。

参照:「令和3年度行政書士試験実施結果の概要」(一般財団法人行政書士試験研究センター)

行政書士試験の合格率が低い理由

 およそ10%前後という合格率で、10人にひとりしか合格できない行政書士試験は、決して簡単な試験とは言えません。合格率が低い背景には、学習内容の難しさや学習範囲の広さ、記念受験目的の受験生の多さが挙げられます。ここでは行政書士試験の合格率がなぜ低いのか、その理由を試験の特性に照らし合わせて解説していきます。

学習内容が難しい

 行政書士試験の大部分は、さまざまな法律に関する問題です。法律では、日常生活では使わないような言い回しが登場します。法学部出身の人は、大学の授業で法学の基礎知識やこうした独特な言い回しに触れているため、独学でも内容を理解しやすい可能性があります。

 しかし、法学部出身ではない、もしくは法律を学んだことない人は、行政書士試験の法律科目の学習に手こずるかもしれません

 また行政書士試験の法律科目では、ただ単に法律の内容を暗記すれば良いというわけではなく、法律の解釈や法律同士の関連性を理解しなければなりません。暗記だけでは、択一式の応用問題や記述式問題をうまく解けずに、つまずいてしまうおそれがあります。

 このように、行政書士試験に出題される法律科目は、言い回しが難しい問題や暗記だけでは解けない問題が多いため、学習内容が難しく合格率が低くなってしまうと考えられます。

学習範囲が広い

 行政書士試験の合格率が低い理由のひとつに、学習範囲の広さが挙げられます。行政書士試験では、民法や憲法、商法や会社法といった法律のほか、政治経済や社会、情報通信に関する一般知識が出題されます。さらに、法律科目で出題される行政法には、行政法に関する法理論のほか、行政手続法や行政不服審査法、地方自治法や国家賠償法、行政事件訴訟法などの幅広い法律が含まれます。

 このように、行政書士試験に出題される範囲はとても広く、扱われる法律の種類も多いです。そのため、学習すべき範囲がとても広くなってしまい、効率的に学習が進まずに合格率が低くなってしまいます。特に、行政書士試験は足切りを食らわないように、バランスよく勉強することが重要です。学習範囲の広さは、計画的な勉強スケジュールでカバーするようにしましょう

記念受験の受験生が多い

 行政書士試験は、年齢や国籍、職歴や学歴といった条件がなく、誰でも受けられます。そのため、本当に合格するつもりはなくて、とりあえず受験してみようという記念受験の受験生が一定数います。また、勉強が間に合っていないけれど、とにかく受験してみるだけという人もいるかもしれません。
そのため、受験生の総数は増える一方で合格ラインに達する人は少なくなって、結果的に合格率が低くなると考えられます。

 しかし、記念受験の準備程度で、合格する試験ではないため、本気で行政書士試験に合格したい場合はしっかり対策することが必要です。

行政書士試験の合格点を超える勉強法

 行政書士試験は、コツコツと勉強を積み重ねれば、年少者でも高齢者でも合格できる試験です。

 しかし、学習範囲は広く、内容も難しいうえに足切りラインも存在します。したがって、行政書士試験へ確実に合格するためには、科目別にポイントを抑えて勉強することが欠かせません。ここでは、法令科目と一般知識科目の2分野にわけて、それぞれどのようなポイントに注意して勉強すべきかを紹介していきます。

科目別の勉強法

 行政書士試験の合格に必要な勉強時間は、初めて法律を学ぶ人の場合は1年間で800時間から1,000時間程度必要と言われています。つまり、1日あたり2.3時間の勉強を1年間毎日続ける必要があります。一方で、予備校や通信講座を利用しての勉強の場合、独学よりも効率的に勉強できるため500時間程度で済むとも言われています。

 また、行政書士試験では各科目に足切りラインが存在することから、ひとつの分野にこだわるのではなく、全体的にバランスよく勉強することが重要です。それでは、法令科目および一般知識科目それぞれにおいて、気を付けるべきポイントを見ていきます。

法令等科目

 法令等科目では、民法と行政法の勉強に力を注ぐのがおすすめです。これは、民法と行政法の点数配分は合計188点で、試験全体の6割を超えるためです。この2分野をいかに効率的に勉強するかが、合否を大きく分けると言えます。特に、行政法は過去問から出題されていることが多く、暗記科目でもあるため、きちんと勉強して暗記を行うとともに過去問演習を徹底するのがポイントです。

 また、憲法や法学の基礎知識についても、手を抜くことなくしっかり勉強しましょう。憲法は条文の数が少ないですが、判例の内容まで押さえておくことが高得点のポイントです。法学の基礎知識は範囲が広い代わりに出題数が2問と少ないため、あまり深入りせずに、過去問や予想問題集で頻出の内容を確実に押さえるようにしてください。

 商法や会社法はすべての内容に力を入れるのではなく、頻出のテーマを絞って、効率的に学習を行うことがおすすめです。

一般知識等科目

 一般知識等科目は、計56点満点と決して点数配分が高い分野ではありません。しかし、足切りの点数が存在する以上、ある程度勉強を重ねて得点力を上げる必要があります

 日ごろから、政治経済や社会、情報通信に関する問題に興味を持っている人は対策しやすい分野ですが、そうではない場合には早め早めに対策を始めるのがおすすめです。どうしても苦手な分野は後回しにしてしまいがちですが、確実に足切りを避けるためにも、必ず対策をしっかりするようにしてください。

通信講座を活用する

 行政書士試験に合格したいと本気で考えている人には、通信教育会社が行っている通信講座の活用がおすすめです。通信講座では、行政書士試験の学習内容をプロ講師から体系的に学べるだけではなく、記述問題の解答添削もしてもらえる場合があります。

 また、イラストやカラーを使ったわかりやすいテキストを受け取れることに加えて、スマホやPCを使って好きな場所とタイミングで自由に勉強できる点も魅力的です。テキストだけで独学を行う場合、文字だけでは理解しにくい箇所がありますが、通信講座の映像教材であればよりわかりやすく学べます。

 さらに、映像教材によっては倍速や巻き戻し機能があるため、自分の学習ペースに合わせて効率的に学習ができます。通信教育会社のなかには、返金保証や再受験応援割引といったオプションが設けられている場合もあるため、よりお得に受けられる会社を探すのがおすすめです。

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まとめ

 行政書士試験は、試験全体の合格ライン点に加えて、各科目の足切りライン点をクリアする必要がある試験です。合格率はおよそ10%前後と決して簡単な試験ではないものの、しっかり勉強を重ねれば誰でも合格できる試験です。

 行政書士試験に本気で合格したい場合、本記事で紹介した科目ごとのポイントを押さえながら、毎日コツコツと勉強するようにしましょう。また、テキストでの独学だけでは理解できない可能性があるため、通信講座を活用するのもおすすめです。

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