緑茶に多様性を。苦くて甘い新感覚「日本茶ミルクティー専門店」が生まれたワケ

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緑茶に多様性を。苦くて甘い新感覚「日本茶ミルクティー専門店」が生まれたワケ

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日本で初という「日本茶ミルクティー専門店」が新宿にオープンしました。ミルクと合う緑茶を探して奔走し、抽出方法にもこだわったという同店。なぜミルクティーの相棒に「日本茶」を選んだのでしょうか。話を聞きました。

黒蜜入りわらび餅が入った「日本茶ミルクティー」

 2019年3月22日(金)、日本茶ミルクティーの専門店「OCHABA(オチャバ)」がオープンしました。場所は新宿ルミネエストのB1階。JR新宿駅東口から数十秒ほど歩いた先にある、丸ノ内線新宿駅との間を結ぶ階段の手前です。

オープン当日の「OCHABA」の様子(2019年3月22日、高橋亜矢子撮影)



 記者が現場に到着した13時ごろには、60人近い人が行列をなしていた同店。静岡の緑茶を使用した「緑茶ロイヤルミルクティー」(580円)のほか、「ほうじ茶ロイヤルミルクティー」(580円)「玄米茶ロイヤルミルクティー」(550円)など、メニューには、店名のとおり日本茶のミルクティーばかりが並びます。

 カップの下方に沈殿する黒く丸い粒は「黒蜜入りわらび餅」。見た目はタピオカに似ていますが、タピオカよりもハリや弾力が強く、歯ごたえがしっかりしているといいます。また、プラス50円で白玉を入れることも可能とのこと。

 伝統を踏襲しながらも新しさを感じるこのドリンク。なぜつくられ、専門店が立ち上がったのでしょうか。同店をプロデュースした、オペレーションファクトリー(大阪市西区)の市川貴洋(たかひろ)さんに話を聞きました。

日本茶を甘くすることで、軽食やスイーツの代わりに

「日本茶の飲み方に、多様性を持たせたいと考えました」(市川さん)

 具体的には「日本茶を甘く飲めるようにしたかった」のだと、市川さんは話します。

「コーヒーや紅茶は、無糖や微糖にする、甘くするなど、自分で調整する選択肢がありますが、日本茶にお砂糖を入れて飲まれる方は、少ないように思います」

 確かに、甘い緑茶は日本では珍しい存在です。海外では日常的に砂糖入り緑茶のペットボトルが販売されていますが、その事実を知り、衝撃を受けたという人も多いのではないでしょうか。依然、私たちにとって「緑茶=無糖」という概念は強いもの。ですが、甘さを加えることで新しい楽しみ方ができるのでは、と市川さんは提案します。

「タピオカドリンクが好きな方に話を聞いたところ、タピオカドリンクを、単に飲み物としてだけでなく、ちょっとした軽食やスイーツの代わりにしていると。日本茶も、甘くすることで、そのような多様性が生まれるのでは、と考えました」

 そのためにこだわったのは、甘みと渋みのバランス。さらに牛乳の風味との兼ね合いだといいます。緑茶の味は繊細なため、お湯や水で淹れた際には感じられる味わいが、ミルクと合わせると、感じにくくなってしまうことも多いといいます。

「ミルクの味と合わさった際にも、お茶の持つ味や旨みがしっかりと感じられるような緑茶を選びました」

ミルクに合う茶葉を探すため、自らの足で静岡へ

 お茶を探すために、自ら静岡県へ向かったという市川さん。現地のカフェを飲み歩きながら、お店の人たちと仲良くなり、お茶やさんを紹介してもらう……という、地道な過程を経て、協力者を見つけたといいます。協力者とは、静岡の製茶問屋「丸善製茶」。創業70年の老舗です。

「茶葉の選定も大事だったのですが、どうすれば、お茶の旨みがよく出るのか、その研究に時間を要しました。茶葉を小さくしたり、細かくしたり。それこそ1ミリ単位で加工し、何度も試作を重ねました」

カップには静岡を見守る富士山のマークが描かれる(画像:オペレーションファクトリー)



 そんな同店の日本茶ミルクティーのアイスは、茶葉を開かせたあとじっくり牛乳で煮出す、紅茶のロイヤルミルクティーと同様の方式を採用しています。一方、ホットはコーヒーのエスプレッソマシンを使用。通常はコーヒー豆を入れる場所に、マシン用に加工を施した日本茶を入れ、旨みを抽出しているといいます。

「日本茶に興味を持つきっかけになれたら」

 市川さんは、2017年に誕生した生クリーム専門店「ミルク」のプロデュースも行っています。順調に店舗数を増やし、2019年3月現在、東京や大阪などに10店舗を数える「ミルク」は、「OCHABA」がオープンした新宿ルミネエストの1階にもあります。

「生クリームも緑茶も、僕自身が好きなものです。自分が好きなものや興味があるものを徹底的に掘り下げよう、納得するものをつくりたいという思いが強いです」

 好きなものを、どう突き詰めて、どう伝えるか。考え抜いた結果が、今までになかった形での「専門店」というアウトプットに結びつきました。

 ビジュアルのキャッチーさなどから、若い女性を中心に人気を博しそうな同店ではありますが、年齢や性別、国境によらず、幅広い層に楽しんでもらいたいと市川さんは話します。

「日本茶に少しでも興味がある方はもちろん、現時点では興味がないという人にも、『日本茶ミルクティー』を通して、日本茶に興味を持ってもらえたらと思っています」

 なお、緑茶の味わいをぎゅっと抽出したミルクティーは、甘さと共に味わうのがおすすめとのことですが、微糖や無糖に調整することも可能です。

●日本茶ミルクティー専門店「OCHABA(オチャバ)」
住所:東京都新宿区新宿3-38-1 ルミネエスト新宿B1F
アクセス:JR「新宿駅」東口、東京メトロ丸ノ内線「新宿駅」A8出口付近から徒歩1分
営業時間:平日11:00~22:00 土日祝:10:30~21:30

※表示価格はすべて税抜です。
※掲載情報は2019年3月時点での情報です。

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