東京で巻き起こる静かなブーム あなたは麻辣湯を知っているか?

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東京で巻き起こる静かなブーム あなたは麻辣湯を知っているか?

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岩本信彦

フリーランスライター

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今辛い物好きの間でブームになりつつあるのが、中国料理の「麻辣湯」です。人々を虜にする麻辣湯の魅力を、都内のお店を紹介しながら考察します。

 今も昔も日本人にとって、中華料理は馴染み深いもののひとつです。中華街で食べられるような本格的な中華から日本風にアレンジされた町中華まで、幅広く受け入れられています。中華料理といえば、なんといっても香辛料。特に「花椒(ホアジャオ)」の心地よい刺激はたまりません。そんな辛いもの好きの間で、静かなブームが起きています。中国発祥の「麻辣湯(マーラータン)」です。じわじわと店舗を拡大するチェーンも出始めており、認知度も上がってきました。本記事では麻辣湯がなぜ人気なのか、実際のお店を紹介しながら考察します。

麻辣湯ってそもそも何?

 麻辣湯がなぜ人気なのかを考察する前に、そもそも麻辣湯とは何なのか解説しておきます。
 麻辣湯は、中国四川省発祥のスープ料理です。花椒と唐辛子の効いた辛いスープで、深みのある味が特徴です。味に深みを出しているのは、スープに溶け込んだいくつものハーブやスパイスや、複数の具材の出汁。基本的にどの店でも、バイキング形式で具材を選べるようになっており、好みに合わせたカスタマイズが可能です。

さまざまな具材を自分で選べる(写真:岩本信彦)



 野菜やきのこを中心に、油条(揚げパン)や海鮮系の練り物など、中国らしいものまで揃っています。スープには麺を入れることが多く、ご飯と一緒に食べる人もいます。

麻辣湯はコアなファンの心を掴んでいる

 多くの日本人にとって、麻辣湯は辛いと感じるはずです。辛さの調整はできますが、辛いものに慣れていない人であれば、辛すぎて食べられないという人もいるほどです。
 そんな麻辣湯ですが、一部のコアなファンの心はガッチリ掴んでいます。かくいう筆者も麻辣湯に心を掴まれたひとりです。

 筆者が麻辣湯のお店に行くと、中国人とおぼしき方が来店していることが多いです。店員の方と中国語で談笑していることも多いので、すぐにわかります。
 筆者の主観も入りますが、これは辛いもの好きには嬉しいポイント。中華料理の本場である中国人が訪れるということは、本場の味が再現されている可能性が高いはず……。

 大ブームとはいえませんが、よりリアルな味を求める人が静かなブームを作っているのではないでしょうか。

東京で人気がある麻辣湯のお店

 東京には多くの麻辣湯のお店があります。具体的におすすめの麻辣湯のお店を紹介するので、辛いもの好きの方はぜひ一度訪問してみてください。

楊國福(ヨウゴフク)

 楊國福は中国内に6,000店舗を構える巨大チェーンです。日本国内にこれほど多くの店舗がある飲食チェーンは、存在しません。日本での認知度はまだまだ低いですが、中国国内では相当なものであると推測できます。

 麻辣湯のお店の基本である、バイキング形式で好きな具材をチョイスします。具材をボウルに入れてレジで計量。重さに応じて値段が上がります(100gで400円)。筆者が訪れた渋谷店では1,000円以上に相当する具材を選べば、80グラムの麺がサービスで選べました。麺の種類は春雨、牛すじ麺、刀削麺や乾麺があります。

 支払いを終えると、10分ほどで麻辣湯が到着。

辛そうな香りが食欲をそそる(写真:岩本信彦)



 やや白濁したスープに具材の出汁がよく出ています。個人的なおすすめとしては、エビなどの海鮮系のトッピングです。唯一残念だと思ったのが、パクチーは最後に最後のせて欲しいかなというぐらい。

 辛さは普通にしていますが、多くの日本人は辛いと感じるはずです。花椒が入っているので、食べ終わった後も口の中がしびれるような感覚が続きます。これを心地よいと感じられるかが、麻辣湯をリピートするかどうかの分かれ道になるでしょう。

七宝麻辣湯(チーパオマーラータン)

 七宝麻辣湯(チーパオマーラータン)は、渋谷・赤坂・恵比寿・五反田・池袋東口・飯田橋に店舗を構えるチェーン店です。

 ラーメン王としても有名な石神秀幸氏が、2007年に渋谷に一号店をオープン。30種類以上の薬膳素材を加えているスープにヘルシーな春雨が特徴です。

 また楊國福(ヨウゴフク)の白濁したスープよりもあっさりとした味なので、食べやすいです。

こちらの麻辣湯はあっさりとしていて食べやすい(写真:岩本信彦)

 ヘルシーな麻辣湯ということもあり、女性ファンが多いのもうなずけます。

 そんな七宝麻辣湯(チーパオマーラータン)ですが、注意点がひとつだけ。どの店舗も現金が使えないので、気をつけましょう。

麻辣湯で「マー活」してみましょう

 麻辣湯の「麻」は中国語「しびれる」という意味があります。「しびれる=マー」から「マー活」という言葉も生まれたほどです。筆者は麻辣湯を食べて、今まで感じたことのないような口のしびれを感じました。のどの奥までしびれるほどですが、なぜか心地の良い刺激で癖になります。

 一度も麻辣湯を食べたことのない人は、ぜひ一度トライしてみてください。麻婆豆腐を食べるときに、ついつい花椒をかけすぎちゃう……なんて人は間違いなくハマる料理です。

ぜひ良い「マー活」を。

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