千葉・旭市に「新業態イオン」誕生!――「病院併設型」とは果たして「病人向け」なのか…!?

都内では郊外を中心に店舗を展開し、地元民に愛されるイオンショッピングセンター。そのおひざ元である千葉県にこれまでとは違スタイルの店舗「イオンタウン旭」がオープンします。同施設の特徴について都市商業研究所の若杉優貴さんに解説してもらいます。


旭市に2店目のイオン誕生、果たして棲み分けは…?

 千葉県旭市に、市内2店舗目のイオンショッピングセンターとなる「イオンタウン旭」が2022年4月23日に開業しました。

4月23日に開業した「イオンタウン旭・イオン旭中央店」。チーバくんも来店! 官民連携で生み出されたのは「病院併設型のイオン」だった…?(撮影:藤井瑞起)



 このイオンタウン旭、市内にあるもう1つのイオンと棲み分けを図るべく、これまでのイオンのショッピングセンターとは少し違った機能を備えているといいます。果たしてどのような店づくりとなったのでしょうか。

官民連携で「病院利用者のためのイオン」誕生!

 このイオンタウン旭の出店は、地元・千葉県旭市とイオンタウンや大和ハウス工業などのグループが官民連携により推進している事業計画「生涯活躍のまち・あさひ」に基づくもので、出店先は総合病院「国保旭中央病院」となりの農地跡。周辺では今後福祉施設などの整備も進められる予定となっています。イオンタウンの建物は地上2階建て、延床面積14,533㎡、総賃貸面積11,739㎡。
 旭市内には1982年に開店したスーパー「イオン旭店」を核店舗とする「旭サンモールショッピングセンター」(店舗面積15,074㎡)があるため、イオンを核とするショッピングセンターは2店舗目。この旭サンモールには映画館やゲームセンターも設けられており、40年もの長きに亘って多くの若者や家族連れに愛されてきました。ちなみに「サンモール」とは言うまでもなく「旭」に由来しています。

「イオンタウン旭」位置図。(イオンタウン・ニュースリリースより) 「イオンタウン旭」の北側には「イオン旭店」の文字。その距離、僅か1キロほど。

 一方、今回開業したイオンタウン旭はサンモールから直線距離で南に僅か1キロほど。こちらもスーパー「イオンスタイル旭中央店」を核としており、一見すると同じ商圏に似たような商業施設が2つできるように思えます。
 しかし、このイオンタウン旭はサンモールとは大きく異なり、そのコンセプトは「地域とともに『楽しく健康になる』ためのまちづくり―ウェルネスタウンASAHI」。そう、同店は総合病院が隣接することを活かし、メインターゲットの1つを「病院を利用する人」として、それに対応した店づくりに力を入れた「ウェルネス重視」の新業態なのです。

総合病院に隣接して建てられたイオンタウン旭・イオン旭中央店。 「医療機関併設型に」という地元の要望に対し、イオンが採った対応とは?(撮影:藤井瑞起)

病院利用者向け=病気の人専用ではない!

 それでは「病院利用者のためのイオン」とはどういった内容なのでしょうか。店内をめぐっていきます。
 イオンタウンの1階には核店舗となるスーパーマーケット「イオンスタイル旭中央」(店舗面積3,056㎡)が出店します。

「イオンタウン旭」1階・衣料品コーナー。(撮影:藤井瑞起) 病院利用者のためにパジャマ・肌着を強化するなど一般のイオンと少し異なった品揃え。 一方で棲み分けも図られており「徒歩圏のイオン旭店は一般衣料品を強化する」とのこと。



 「イオンスタイル」といえばイオンモールなどにも出店するイオンの総合スーパーですが、この旭中央店は「ヘルス&ウェルネス特化型のイオン」として、減塩や低糖質など健康に配慮した食品の充実はもちろん、医療機関で働く看護師や看護学生向けの文具や入院者向けの肌着・パジャマ、患者へのお見舞い需要を狙った生花や衛生用品、菓子なども品揃え。
 さらに、店内には認知症サポーターの店員(もちろん認知症以外の客でもサポートを受けることができます)を配置するほか、調剤薬局「イオン薬局」では調剤ロボットを3台導入し、調剤の待ち時間を短縮するなど、病院利用者・医療関係者が多く訪れることを想定して「特別な従業員」と「最新の設備」が採用されています。

総合病院の利用者が多く訪れることを想定したイオン薬局では「調剤ロボット」を導入することで調剤の待ち時間を短縮。(撮影:藤井瑞起)

 そして、2階の核となったのが旭市による多世代交流施設「おひさまテラス」。ここには、イオンタウンが指定管理者として運営する屋内公園や子供の一時預かり所、ミニ図書館、コワーキングスペースやカフェレストラン、音楽スタジオなどが入居しており、今後は旭中央病院と連携するかたちで健康講座など「ウェルネス」をコンセプトとしたイベントも開催されます。
 もちろん、専門店でも「ウェルネス重視」は同様です。
 専門店の目玉は千葉県最大の面積となる「無印良品」の大型店。その面積は千葉県最大級で、ここでは県内に本社を置く「石井食品」と提携した有機野菜や玄米を使ったオリジナル商品の展開も実施されます(千葉県内の一部無印良品でも販売予定)。そのほかには100円ショップ「ダイソー」、メガネ店「JINS」、ファミリーレストラン「サイゼリヤ」などが出店するほか、フィットネスクラブ「カーブス」「メンズカーブス」やデイサービス、歯科医院、整骨院なども入居しており、「病院の帰りにイオンで薬を貰い、館内で有機食品を買ってマッサージを受けて運動して帰ろう」という使い方をすることもできます。

2階に設けられた交流施設「おひさまテラス」。(撮影:藤井瑞起) 「ウェルネス特化」ではあるものの、ダンススタジオや音楽スタジオ、コワーキングスペースも導入されており、幅広い世代の利用を想定します。

 イオンタウン旭は「ウェルネス重視」の施設として生まれたといえども、従来のイオンが持つ機能を損なうことなく「ウェルネスをプラスアルファするかたちの新業態」としたことが特徴であるといえます。
「病院利用者向けの店を設けて欲しい」という行政側の要望に対し、決して「『病人向け』『高齢者向け』にターゲットを絞った店を作る」訳ではなく、一般の
 ショッピングセンターに様々な機能を付け加えることで誰もが便利に使うことができる店づくりをおこなったのは、流石は流通の覇者・イオンの成せる技ともいえるでしょう。

気になるのは「サンモールのイオンはどうなる?」

 さて、先述したとおり、イオンタウン旭から直線距離で僅か約1キロの場所にあるショッピングセンター「旭サンモール」には、イオンリテールが運営する総合スーパー「イオン旭店」が出店しています。1982年開店(2008年増築)のイオン旭店・旭サンモールは築40年が経過し老朽化も進んでいるため、地元ではイオンタウン出店後の先行きが心配されていました。

開業40年を迎えるイオン旭店/サンモール。(撮影:山村拓巳) 4月に開業した「イオンタウン旭」から徒歩圏に立地。

 「もしかしてイオン旭店は近く閉店してしまうのでは…?」とイオンリテールに取材をおこなったところ、「イオン旭店は特徴として(イオンリテールが運営する他の総合スーパーの中でも)衣料品の構成比が非常に高い」としたうえで「食品についても足元のお客様を主として展開すれば(イオンタウン出店後も)十分成立する。」(イオンリテール南関東カンパニー浜口支社長)とのこと。
 イオン旭店は今後も女性向けアパレルショップの新規導入などのリニューアルをおこなう計画があるといい、ひとまずは「安泰」といえそうです。

イオンタウン旭

住所:千葉県旭市イ4337番地1
営業時間:8時~22時(イオンスタイル旭中央)


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