下車したことある人は少数派? 副都心線「雑司が谷」という知られざる癒やしスポット

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下車したことある人は少数派? 副都心線「雑司が谷」という知られざる癒やしスポット

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中村スバル(ウェブライター、作曲家)

多くの東京都民にとって、あんまり降りる機会のない駅「雑司が谷」。でも知れば知るほど、「次に住むなら雑司が谷かも……」とその魅力にハマってしまいそうです。

一番新しい路線の、一番静かな駅

 都心を結ぶ交通網・東京メトロには、全部で九つの路線があります。ビジネス街である大手町や東京駅、新橋、霞ケ関などに乗り入れる銀座線や丸ノ内線、千代田線は、仕事で日々利用しているという人も多いかもしれません。

 とはいえ、都民の誰もが全9路線を乗りこなしているわけではないでしょう。

 特に副都心線については、2008(平成20)年に全線が開業した最も新しい路線であり、また都心のビジネス街より西側を走っていることもあって、普段あまり使う機会がないという人も少なくないはずです。

ほとんど降りる機会のない駅、雑司が谷ってどんな町?(画像:写真AC)



 そんな副都心線の中でも、他の地下鉄が通っていない雑司が谷駅(豊島区雑司が谷)は、地元の人かよほどの東京通でないと降りたことがないのではないでしょうか。

 しかし、あなどることなかれ。ここ雑司が谷は唯一無二の魅力を擁する隠れた穴場スポットなのです。

都会に近いのに、ノスタルジックな町

 雑司が谷があるのは副都心線の西早稲田駅と池袋駅の間。地上には都電荒川線も走っています。

 池袋駅から直線距離にしてわずか1kmほどのところにあるので、都会らしい人混みあふれるエリアを想像するかもしれませんが、実は歴史のある神社や風情ある町並みが残るノスタルジックなエリアです。

渋谷駅から和光市駅をつなぐ東京メトロ副都心線(画像:(C)Google)



 東京メトロがまとめた2020年度駅別乗降人員順位表では、公表している130駅中、126番目の1万2598人。新型コロナ禍の影響を受けて前年比34.9%減となったとはいえ、副都心線の中でも乗降客数の少ないのんびりとした駅です。

 駅から徒歩4分ほどの場所にあるのは、雑司ヶ谷鬼子母神堂という名の神社。安産と育児の神様「鬼子母神(きしもじん)」をまつる神社であり、重要文化財として指定されています。

 神社の周辺には昔ながらの商店街があり、コンビニやチェーン店の数は少なめ。古い建物をそのまま生かして経営している個人店が多く、都会にいながら昭和の香りを感じられる貴重な町、それが雑司が谷です。

便利ではないけど、居心地が良い

 雑司が谷は、決して便利な町とは言えません。

 駅周辺の店の数は少なく、スーパーは都道8号線(目白通り)沿いに並ぶ「マルエツプチ」と「miniピアゴ」の2店のみ。大手銀行の支店もほとんどないため、現金を引き出す際にはコンビニのATMを利用することになります。

池袋の隣とは思えないのどかさがただよう雑司が谷(画像:写真AC)



 こうした環境は、実際に住むとなると多少の不便を感じることはあるかもしれません。しかし、それもまた雑司が谷の居心地が良さを高めているとも言えます。

 ノスタルジックな町並みや商店街、穏やかな住宅街が続くため、安心して静かに暮らすことができるはず。自然豊かで、池袋のすぐ近くとは思えないほど。

 生活をするうえでの利便性は高くはありませんが、交通アクセスは抜群です。池袋のほか渋谷や新宿にも電車で10~15分程度で行けますので、繁華街の近くで静かな生活を手に入れたいと考えている人にはおすすめです。

ホッとする、心地よいカフェ多し

 雑司が谷は昔ながらの雰囲気を残す町ですが、おしゃれなカフェはたくさんあります。なかでも有名なのは「うぐいすと穀雨」というお店

 こちらのカフェは雑司が谷駅から徒歩3分の場所にあり、豊富な種類のコーヒーとパンを楽しむことができます。暖かみのある店内で、のんびりモーニングを満喫するのは最高。こだわりのつまった自家製パンは、ハイクオリティーでありながらも手作りっぽさがあり、初めて食べてもどこか懐かしさを感じられる味わい。

 ほかにも「キアズマ珈琲」や「Mo’s cafe」など、カフェ好きにはたまらない町というのもひそかな人気の理由です。

あの手塚治虫先生も住んでいた

『鉄腕アトム』などの名作で知られる漫画家・手塚治虫さんが、かの有名なトキワ荘を出た後に移り住んだのが、鬼子母神堂にほど近い木造アパートでした。

ふと路地をのぞき込むと、かつて手塚治虫が住んだアパートが(画像:(C)Google)



 1953(昭和28)年に建てられたこの「並木ハウス」は、2018年に国の有形文化財に登録されています。奥ゆかしいたたずまいが美しい建物で、現在も住居や事務所として利用されており11部屋全てが埋まっています。

 手塚治虫さんをはじめ、創作をなりわいとする人々にも愛される町。漫画家だけでなく、ミュージシャンや小説家などにも人気の高いエリアです。

気になる家賃は、やっぱり高め?

 このほかにも、明治期の東京都内で数少ない宣教師館として使用された近代木造洋風建築「雑司が谷旧宣教師館」など、雑司が谷は見るべきところの極めて多い独特の町。知れば知るほど、その魅力に深くハマっていくような包容力をたたえています。

 ちなみに住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」によると、ワンルーム/1K・1DKの賃貸物件の賃料相場は8.63万円(2021年11月26日現在)。隣駅の池袋は9.48万円ですので、決して安くはないものの比較的挑戦しやすいエリアと言えるかもしれません。

 参考までに、同じ副都心線で最も家賃相場が高いのは明治神宮前(原宿)で16.37万円です。

 東京歴が長い人なら知っている、でも地方出身者はまだその魅力に気付いていないであろう町、雑司が谷。都会にほど近い場所にありながら、静かに心穏やかに過ごせそうな場所。

 行楽日和が続く今の時期、ふらっと途中下車をして散策してみるのはいかがでしょうか。

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