令和の東京マンション事情 結局「新築」「中古」どちらがお買い得なのか?

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令和の東京マンション事情 結局「新築」「中古」どちらがお買い得なのか?

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逆瀬川勇造

不動産ライター

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都内で自宅の購入する際、新築を選ぶか中古を選ぶかは、今後より大きなテーマになります。双方のメリット・デメリットについて、不動産ライターの逆瀬川勇造さんが解説します。

マンション購入に向けての第1歩

 自宅の購入を検討する際、新築にするか中古にするかで迷う人もいるのではないでしょうか。

 現在、首都圏での新築マンション価格は大きく上昇しています。そのため、中古マンションの購入を選択肢とするのもひとつの選択肢です。

 本記事では、首都圏の新築マンションと中古マンションの価格差に注目し、さらに東京の中古マンションを購入する場合のメリットやデメリットを詳しくご紹介します。

 本記事を読んで新築と中古の価格差の違いを理解し、夢のマンション購入に役立ててみてはいかがでしょうか。

首都圏を中心に中古マンションが人気

 首都圏では、新築マンションの価格高騰が続いています。そのため、首都圏の中古マンション成約数は大きく伸びており、2016年には中古マンションの成約数が新築マンションの成約数を超えました。

 日本ではもともと新築信仰が強く、これまでは戸建て・マンションともに新築を求めるのが一般的でした。

都内の新築マンションのイメージ(画像:写真AC)



 しかし首都圏では、2000(平成12)年以降に大量供給されてきたマンションが近年、売却適齢期を迎えています。これらの中古マンションは、現在の新築マンションと比べても

・立地面
・広さ
・利便性

などにおいて優れているケースが多いのです。

 2021年上半期においても新築マンションの成約件数が1万3277戸であるのに対し、中古マンションの成約件数は約1.6倍の2万1282戸となっていることから、いかに中古マンションへの人気が高まっているかがわかります。

中古マンション人気が高まっているワケ

 実際、首都圏の新築マンションと中古マンションで価格差はどのくらいあるのでしょうか。今回は、新築マンションの平均価格と中古マンションの平均価格を具体的にご紹介します。

 不動産経済研究所(新宿区新宿)の公表データによると、2021年8月の首都圏の新築マンションの平均価格は7452万円、平方メートル単価117.8万円となっています。これは、2020年4月から2021年3月までの平均価格5994万円、平方メートル単価90.5万円と比べて、大幅に上昇しているのがわかります。

 また建築資材価格も、コロナ禍の影響や各種災害等の影響から上昇しています。資材価格高騰の影響は、今後も懸念される事項です。建築資材価格の上昇は東京だけではなく、全国的な新築マンション価格の上昇要因となる可能性があります。

 このように東京の新築マンションは価格上昇を続けており、今後も続く可能性があるため、中古マンションへの人気を後押ししています。

 一方、中古マンション価格はどうでしょうか?

2021年8月の首都圏マンションの平均価格(画像:不動産経済研究所と東日本不動産流通機構のデータを基にULM編集部で作成)



 東日本不動産流通機構(千代田区鍛冶町)の公表資料によると、2021年8月の首都圏の中古マンションの平均販売価格は3773万円、平方メートル単価は59.2万円となっています。

 新築マンションと比べると約半分の価格で購入可能です。立地や周辺設備などの環境を含めても、新築よりも中古マンションの方が購入する人にとっては優れているケースも考えられます。

 こうした点も中古マンション人気が高まっている要因といえるのです。

新築より中古を選ぶメリット・デメリット

 新築マンションと中古マンションの平均価格を紹介しましたが、中古の場合、新築と比べて約半分の価格で購入できることがわかりました。

 では、実際に東京で中古マンションを選択する場合のメリット・デメリットは、どういったものが考えられるでしょうか。知っておくべき中古マンションの一般的なメリット・デメリットと、東京の中古マンションならではのメリット・デメリットを合わせてご紹介します。

都内の中古マンションのイメージ(画像:写真AC



●メリット

1.新築と比べて安い価格で購入できる
 中古マンションは、新築と比べて安い価格で購入できます。新築マンションは「駅から近い」「周辺施設が充実している」「治安が良い」といった好条件で価格が上がる可能性が考えられます。一方、中古マンションであれば、新築と比べて比較的安い価格で購入可能です。優れた立地条件であっても価格を抑えられるのです。

2.管理状況をわかった上で購入できる
 中古マンションは、マンションの管理状況をわかった上で購入できます。新築の場合、同じマンションに住む人たちもほぼ同時期に入居するケースがほとんどです。そのため、共用部分の清掃やメンテナンスなどの管理面がしっかりしているか、わかりにくい場合があります。一方、中古マンションは管理状況がわかった上で購入できるため、安心です。

3.東京の中古マンションは将来的な売却でも高値が期待できる
 東京の中古マンションは将来的に売却する場合でも高値で売れる可能性があります。東京の中古マンション相場は新築より安いとはいえ、上昇を続けているのが現状です。立地条件やメンテナンスをしっかりと行っている中古マンションであれば、より高く売却できるケースも考えられます。将来的な資産形成にもつながる点は、地方にはあまりないメリットといえるでしょう。

肝心のデメリットは?

●デメリット

 中古マンションのメリットをご紹介しましたが、デメリットにはどういったものが考えられるでしょうか。

1.固定資産税の軽減措置が受けられない
 新築住宅に対する固定資産税(土地や家屋などに対して自治体が課す税金)の軽減措置が受けられない点は、デメリットとして挙げられるでしょう。通常、新築マンションで床面積50平方メートル以上(専有部分+共用部分の案分)には、新築後5年間は建物分の固定資産税の軽減措置が受けられます。しかし、中古住宅の場合にはこの軽減措置が受けられないため、固定資産税が高くなる可能性があるのです。固定資産税は3年ごとに見直しがあるため、築年数に応じて安くなるものの、RC造(鉄筋コンクリート造)など建物の構造によってはあまり安くならないケースも考えられます。こうした点はデメリットといえるでしょう。

都内の新築マンションのイメージ(画像:写真AC)



2.築年数が古いと修繕積立金が高くなる可能性がある
 マンションは集合住宅であり、管理費や修繕積立金といった費用を月に2~3万円程度、管理組合に支払わなくてはなりません。築年数が古くなればなるほど修繕費用も高額になる傾向にあり、この点はデメリットといえます。しかし、RC造のマンションは適切なメンテナンスがなされていれば、100年以上は住めるといわれるほど頑丈です。中古マンション購入時には管理状況がしっかりしているか確認した上で決めると良いでしょう。

3.資産価値がもともと高いため税金が高くなる可能性がある
 東京の中古マンションの場合、資産価値が高いため、ほかの地域の中古マンションと比べて税金が高くなる可能性があります。東京の場合、土地の評価額が高くなるケースが多く、固定資産税の負担額が高くなりやすいのです。建物は建築年数が経過するごとに評価額は下がっていきます。一方で、土地の評価額は地価が下がらない限り評価額は下がりません。地価が高騰すれば、逆に地価が上昇して税金が高くなる可能性も考えられます。もちろん、資産形成といった点ではメリットになるポイントですが、固定資産税はランニングコストなので、ほかの地域に比べて増える可能性があることは頭に入れておきましょう。

選択肢のひとつとしての中古マンション

 今回は、東京の新築マンションと中古マンションの価格差、購入のメリットデメリットに注目してご紹介してきました。

2021年8月の首都圏マンションの平方メートル単価(画像:不動産経済研究所と東日本不動産流通機構のデータを基にULM編集部で作成)



 現在、東京の新築マンションの価格は上昇を続けています。限られた予算のなかで理想的な立地条件などを考慮するなら、中古マンションの購入は選択肢のひとつとして考えておきたいものです。

 一生に一度の買い物である住宅購入を後悔しないためにも、本記事が皆さまの理想のマンション選びの一助となれば幸いです。

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