都心上空を通過 「羽田新ルート」のルールが時間・季節ごとに違うワケ

羽田の新飛行ルート運用から1年半が経過しました。その運用ルールについて、ジャーナリストのシカマアキさんが改めて解説します。


国際線の増便で新たな飛行ルートが開始

 東京都心の上空を飛行機が通過し、羽田空港に着陸する新たな飛行ルートの運用が2020年3月29日、始まりました。しかしいつも必ず通るわけでなく、ルールがしっかり決められているのをご存じでしょうか。そんなわけで、今回は東京都心の上空「羽田飛行ルート」のルールについて、筆者(シカマアキ)が解説します。

※ ※ ※

 東京国際空港(以下、羽田空港。大田区羽田空港)は国内線と国際線などで、年間約45万回の発着があります。AからDまでの4本の滑走路を使い、24時間・365日体制で運用されています。

 これまで羽田空港では、飛行機からの騒音や落下物への不安などに配慮し、東京都心を避けた飛行ルートの運用を終日続けてきました。しかし、国際線の増便で年々増え続ける発着数に対応するため、東京都心を通過する新たな飛行ルートが設定されました。

 これまでの飛行ルートは、主に東京湾方面から羽田空港に着陸し、そして離陸の際も同様に東京湾に向かって飛ぶ、というルート。これは現在も引き続き運用されています。

新たな飛行ルートで羽田空港から離陸するANAの機体(画像:シカマアキ)



 飛行機の離着陸は、進行方向に対して揚力(翼を上向きに引き上げる力)が得られる向かい風の方向に離陸、着陸するのが基本です。つまり、その日その時間の風向きにより、飛行ルートは異なります。羽田空港の場合は大きく分けて

・南風運用
・北風運用

があり、年間平均だと南風運用が約4割、北風運用が約6割となっています。

冬は「北風運用」がやや多め

 羽田空港では風向きが北だと北風運用になり、南だと南風運用です。では、東や西だとどうなるかというと、風向きが北または南に近いほうで北風運用、南風運用となります。風がない場合は、北風運用が多い傾向にあります。

南風運用時(画像:国土交通省)



 風向きは季節によって違いがあります。毎年4月5月から10月11月にかけての時期が、北からの風が弱まり南から風が吹くことが増えることから、南風運用が多め。逆に、冬は北からの冷たい風がよく吹くため、北風運用が多くなります。

あらかじめ決められた飛行のルートと高度

 新たな飛行ルートで大きく変わるのが、南風運用時の到着経路です。羽田空港への着陸時、空港の北西方面から進入し、東京23区だと

・新宿区
・渋谷区
・中野区
・品川区

などの上空を通過します。ちなみに、悪天候で飛行機のコックピットからの視程が悪いときは、少し違うルートで運用されます。

新飛行経路の詳細(画像:国土交通省)

 上空を飛ぶ機体の高度は、例えば新宿駅周辺では約3000ft(約915m)、六本木ヒルズ周辺で約2000ft(約610m)、品川駅周辺で約1500ft(約460m)です。飛行機の大きさによって高度に若干の違いはあるものの、どの着陸機もほぼ変わらない高度で、羽田空港に向かって着陸していきます。

 古い機種は、エンジンからの音がより大きくなります。そのため、飛行高度が低いことで、該当地域に住む住民は騒音が気になるという人もいます。大型機だと、エンジンの音はやや大きめになり迫力も増すので、飛行機に見慣れていないとさらに怖く感じるかもしれません。

 飛行コースはあらかじめ決められています。飛行中の航空機をリアルタイムで現在地表示するアプリケーション「Flightrader24」を見ると、全世界のどこであっても意外なほど正確に、決められた飛行ルートをちゃんと飛んでいるのがわかります。

 なお、北風運行時での新ルートは出発時のみで、羽田空港のC滑走路から離陸し、江東区や江戸川区の上空を通過していきます。

「15時から19時」までの実質3時間程度のみ

 このように、羽田空港の飛行機は私たちが住んでいる街の上空を飛んでいるわけですが、騒音や飛行の迫力は気になります。何か対処法はないのでしょうか?

 対処法はあります。これらの新ルートで飛行する運用時間帯は、あらかじめ決められている、ということです。運用の時間帯を知っておけば、ある程度心構えもできますので、対処できるでしょう。具体的には下記の時間帯以外で、新ルートの運用はありません。

・南風運用:15時~19時(そのうち実質3時間程度)

・北風運用:7時~13時、および15時~19時(15時~19時はこのうち実質3時間程度)

新飛行経路を飛ぶ時間帯(画像:国土交通省)



 つまり、都心上空でやや低い高度で飛行機が飛んでいるのは

・春から秋にかけて
・おおよそ15時から19時まで

のふたつを、覚えておくといいでしょう。

 もちろん運用時間に加えて風向きがポイントなので、冬に強い南風が吹いて南風運用となって上空を飛ぶこともありますし、春や秋に北風運用で飛んでこないこともあります。

海外でも見られる住宅地への配慮と今後

 15時から19時までという運用時間帯は、おおよそです。筆者が以前、15時半頃に羽田へ到着する便に搭乗した際、その便は南風運用ではあったものの、都心上空を通過しませんでした。

 左手に横浜のランドマークが見えたと思ったら、A滑走路にそのまま着陸。その直後から都心上空を飛ぶ新ルートの運用が始まりました。開始時間は日によって、風によって異なります。

 住宅地に配慮する飛行ルートは、海外の空港でも見られます。

 世界有数の発着数を誇るロンドンのヒースロー空港は、空港周辺に住宅地が広がっていて、2本ある滑走路の運用方式が、風向きも考慮されつつしっかり決められています。15時キッチリに滑走路の運用が変わる瞬間を最初に目撃したとき、筆者は驚きました。羽田空港の場合、新ルートでの運用時間帯はヒースロー空港ほど厳密ではないものの、19時までには必ず終了します。

羽田空港(画像:写真AC)

 羽田空港はもともと国内線がメインの空港でした。本格的な国際線ターミナル(現在の第3ターミナル)が2010(平成22)年10月21日に供用開始して以来、当初は多くの便が深夜と早朝の発着のみで運航されていました。

 しかし、訪日客の増加や首都圏や地方からの利便性も良いことから、2020年3月29日から国際線の大幅な増便が始まる予定が立てられ、この新たな飛行ルートが新設された経緯があります。少し前まで、羽田空港では飛行機が離陸するのに何機もが滑走路上で順番待ちをしていました。

 コロナウイルスの感染拡大で、国際線の大幅増便は現状止まったままです。しかし、新たな飛行ルートの運用は現在も行われています。風向きと時期、時間帯を頭に入れておくだけで、都心の上空を飛行機が飛ぶのはいつなのかがおおよそ把握できます。


【画像】今と全然違う? 60年前の羽田空港

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