大型複合施設「羽田エアポートガーデン」全面開業――施設内に登場した「空港初モノ」とは?

  • スポット
  • 羽田空港第3ターミナル駅(京急)
  • 羽田空港第3ターミナル駅(東京モノレール)
大型複合施設「羽田エアポートガーデン」全面開業――施設内に登場した「空港初モノ」とは?

\ この記事を書いた人 /

若杉優貴のプロフィール画像

若杉優貴

都市商業研究所

ライターページへ

羽田エアポートガーデンが1月31日(火)に全面開業します。施設内のショッピングゾーンにはフードコートや雑貨店などの約80店舗のほか、ホテル施設にはブッフェレストランや展望露天風呂も。その他、さらに便利になる「新たな機能」について、都市商業研究所の若杉優貴さんが解説します。

羽田空港に大型複合施設誕生!

 羽田空港に直結する大型複合施設「羽田エアポートガーデン」が、2023年1月31日にグランドオープンを迎えます。

 この羽田エアポートガーデンには、今までの羽田空港にはなかった新たな機能が盛り込まれています。果たしてどういった内容となっているのでしょうか。

羽田空港併設の新施設「羽田エアポートガーデン」には「空港史上初」となるものも…?(イメージ画像:住友不動産株式会社リリースより引用)



第3ターミナル横に生まれた数多くの「羽田空港初」

「羽田エアポートガーデン」は、住友不動産が羽田空港第3ターミナルビルに直結して建設した大型複合施設。第3ターミナルビルはD滑走路の整備に合わせて「国際線ターミナルビル」として2010年に完成したもので、開設以来、おもに国際線が発着していました。

羽田空港第3ターミナルとエアポートガーデンの周辺。(画像:若杉優貴)

もともと羽田エアポートガーデンは羽田空港国際線の利用客増に伴い、空港施設の充実を図るべく計画されたもので、当初は2020年春の開業をめざしていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により開業は延期に。

完成した建物は海外からの帰国者・入国者のための待機施設などとして使われていました。そのため、今回のグランドオープンは実に「3年越し」の悲願となります。

羽田エアポートガーデンの位置図。 第3ターミナルから連絡通路で直結され、駐車場も併設されます。(画像:住友不動産株式会社リリースより引用)

羽田エアポートガーデンの規模は地上12階建て、敷地面積は約43,000㎡、延床面積は約91,519㎡とかなり巨大で、商業施設や飲食街に加えて宿泊施設、温浴施設、大型駐車場などさまざまな機能が備えられています。

 それでは、館内に設けられた「これまでの羽田空港に無かった初モノ」を見ていきましょう。

「バスターミナル」併設で全国各地から「羽田直結バス」――船との連携も!?

 羽田エアポートガーデンの1階には、大型バスセンター「羽田エアポートガーデン バスターミナル」が設けられます。

このバスターミナルの特徴は、単なる空港リムジンバスの発着拠点としてのみならず「全国各地からの高速バスの発着拠点」として活用されるということ。2023年度中だけでも、青森から大阪まで本州各地から約30路線の新規開設が決まっているといいます。

全国各地へのバス路線が設けられる予定の「羽田エアポートガーデン バスターミナル」。(イメージ画像:住友不動産株式会社リリースより引用)

 これまで羽田空港へ直通する定期路線バスがなかった(もしくは多客期のみ運行だった)新潟県新津市や長野県白馬村、さらに将来的には首都圏の温泉地などへの定期便も計画されています。

 「スキーや温泉のあとに一気に羽田まで夜行バスに乗り、飛行機で九州や四国などへと帰る」、または飛行機に乗らずとも「羽田空港発着の高速バス同士の乗り継ぎ拠点として活用する」といった使い方もできそうです。

 また、羽田エアポートガーデンには羽田空港船着場も隣接しています。現在、船着場はコロナ禍もあってあまり活用されていませんが、将来的には羽田エアポートガーデンが「航空機とバス」、もしくは「バスとバス」のみならず「船とバスとの交通結節点」にもなりうるかも知れません。

羽田エアポートガーデンに発着する高速バス路線。(2023年春の計画)(画像:住友不動産株式会社リリースより引用)

「超巨大ホテル」開業で早朝・深夜便、ライブの際も安心!

 先述したとおり、羽田空港は2010年のD滑走路完成によって国際線の定期便が大きく増え、同年に24時間利用ができる国際線ターミナル(現・第3ターミナル)も開設されました。

 しかし、これまで第3ターミナルに併設されていた宿泊施設は約300室。それゆえ、深夜・早朝便利用の際でも、蒲田など空港から離れた場所に宿泊してタクシーで空港へと向かった経験がある人もいることでしょう。

 一方で、羽田エアポートガーデンに設けられた「ホテル ヴィラフォンテーヌ プレミア 羽田空港」・「ホテル ヴィラフォンテーヌ グランド 羽田空港」(2022年12月先行開業)の客室数は合わせて1717室。空港併設のホテルとしては全国最大級だといい、「多客期の宿泊難民」が大きく解消されることになりそうです。(ただし、ビジネスホテルではないため深夜・早朝便利用のためだけの宿泊だと少しもったいなく感じるかも知れませんが…)

羽田エアポートガーデンの高層階にある「ホテル ヴィラフォンテーヌ プレミア 羽田空港」・「ホテル ヴィラフォンテーヌ グランド 羽田空港」は計1717室の巨大ホテル! まるで空港にそびえ立つ壁のよう。(イメージ画像:住友不動産株式会社リリースより引用)

 なお、羽田エアポートガーデンの徒歩園(天空橋駅近く)には2020年に複合施設「HANEDA INNOVATION CITY(羽田イノベーションシティ)」が開業しており、ここには大型ライブハウス「Zepp HANEDA」が設けられたほか、羽田エアポートガーデン内にもイベントホール「ベルサール羽田空港」が新設されます。

 羽田イノベーションシティにもビジネスホテルが設けられていますが、エアポートガーデン内のヴィラフォンテーヌのほうがはるかに客室数は多いため、ライブやイベントに参戦する際にはこちらに宿泊するのも良いでしょう。

空港も!富士山も!全国初「空港の絶景温泉」でリフレッシュ

 羽田エアポートガーデンの「ホテルヴィラフォンテーヌ」内には、展望露天風呂がある温浴施設「泉天空の湯 羽田空港」(2022年12月先行開業)が設けられています。なんとこの温浴施設、天然温泉をひいているのです。

 実は大田区は都内最大の「温泉地帯」。空港近くでは蒲田や平和島にも天然温泉をひいている温浴施設がありますが、羽田空港に温泉施設が設けられるのは初のこと。2023年1月時点で国内の空港併設施設に天然温泉をひいているのは新千歳空港と羽田空港の2カ所だけ(足湯のみの場所を除く)、「天然温泉の展望露天風呂」は羽田空港が全国で唯一となります。

 しかも、さらにうれしいのが「24時間営業」(入浴施設は10時~13時まで清掃時間)ということ。これまでの(コロナ禍直前の)羽田空港では深夜便や早朝便の発着時間帯にターミナル内にあるシャワールームが大活躍していましたが、空港で温泉露天風呂に入れるとしたらどんなにうれしいことでしょうか。

 また、館内には漢方サウナも設けられているため「温泉よりもサ活派」の方も十分楽しめるでしょう。

「泉天空の湯 羽田空港」。まさか羽田空港に絶景温泉が誕生するとは…! 露天風呂からは富士山や飛行機を望むことができるとのこと。(イメージ画像:住友不動産株式会社リリースより引用)

 「羽田空港初」に加えて「全国の空港初」まで盛り込まれた羽田エアポートガーデン。このほかにも館内の1階・2階には約80テナントが出店するショッピング・グルメゾーンが設けられており、スーパーマーケットの「KINOKUNIYA」(紀ノ国屋)などが出店。離陸前の買い物やグルメの場として活躍しそうです。

羽田エアポートガーデンの商業ゾーン。 お土産品はもちろん、ユニークなところでは「Anker」「boco」「コクヨ」など国内外のさまざまな企業のオフィシャルショップも出店します。(イメージ画像:住友不動産株式会社リリースより引用)

 コロナ禍のなか、「羽田空港にはあまり行かなくなっていた」「第3ターミナルとは疎遠になった」という人も、飛行機を使わずとも羽田エアポートガーデンへと足を運んで、ちょっとした旅行気分を味わってみてはいかがでしょうか。

羽田エアポートガーデン
所在地:東京都大田区羽田空港2-7
アクセス:京急線 羽田空港第3ターミナル駅直結
東京モノレール 羽田空港第3ターミナル駅直結

>>関連記事:羽田空港が変わる!ターミナル直結のホテル・温泉・大型商業施設と開業ラッシュ

関連記事