「アムラー現象」再び? 東京で今季、ロングブーツ・ミニスカートが流行り始めているワケ

歌手の安室奈美恵さんが一世を風靡した90年代、東京の街ではロングブーツにミニスカートの若い女性が数多く見られました。それ以来あまり見掛けなくなっていたこのスタイルが、2021年ついに本格的な再流行の兆しを見せています。最新のトレンドを追いました。


長らく続いた、ショートブーツ時代

 本格的な秋の気配とともに涼しさが増していくこの時期、足元のメインもサンダルからパンプスやスニーカー、そしてブーツへ――。ブーツは秋冬のマストアイテムです。特に東京では2020年頃から、本格的な「ロングブーツ」再流行の兆しが見えています。

ロングブーツを使ったコーディネートは、インスタグラム上にも多数の投稿が(画像:柏木智美さん、tomomi_no_page)



 ロングブーツといえば、90年代の一大ブームを思い出す人も多いのではないでしょうか。

 一世を風靡(ふうび)した歌手の安室奈美恵さんをまねする「アムラーファッション」は、ひざ丈かそれ以上の長さのロングブーツが定番アイテム。タイトなニットやミニスカートと合わせて着こなす女性たちが、渋谷の街を闊歩(かっぽ)しました。

 一方、2010年代以降はショートブーツが主流に。同時にファッション全体では、オーバーサイズのものをゆったり着こなす「ビッグシルエット」が流行しました。

 こうした2010年代トレンドの背景には、ZOZOTOWNに代表されるインターネット通販の普及によって、試着しなくても着られる、様になるスタイルが選ばれるようになったとの理由が指摘されています。脚(ふくらはぎ)のサイズを気にせず履けるショートブーツも、こうした傾向と合致するものと言えます。

 しかし、2019~2020年頃から再び、渋谷や表参道など東京の街ではロングブーツ、さらにミニスカートの女性を目にする場面が増えています。いったいなぜなのでしょうか。

再びロングブーツが支持される理由

 2020年、女性ファッションの最前線を追う『CanCam』や『WWDジャパン』といった大手メディアがロングブーツの人気復活を取り上げた記事を相次いで配信。またキーワードの人気度を調べられる「Googleトレンド」では、平成後期以降「ショートブーツ」が一貫して優勢を維持していたのに対して、2020年には「ロングブーツ」がそれに迫る勢いを見せており、その流れは2021年さらに顕著になっています。

 若い女性が多く利用しているインスタグラムでは「#ロングブーツ」というハッシュタグの付いた投稿数は2021年9月15日現在、8.8万件。「ビッグワード」と呼ばれる10万件超に届きそうな情勢です。

毎年、冬に検索数が増える「ブーツ」。2020年には、青い線で表した「ロングブーツ」が、赤い線の「ショートブーツ」に迫る勢いを見せた(画像:Googleトレンド)



 SNSを調べると、直近のつぶやきでも

「ロングブーツが来てますね」
「今年はローファーとロングブーツ買います!」
「ロングブーツ流行(はや)ってるから履きたい」

といった書き込みが数多く、支持する理由としては

「気になる脚のラインをカバーしてくれる」
「ロングブーツっていろいろごまかせるから好き」
「ひざまで覆ってくれる長さだから暖かい」

さらに、

「久々にミニ丈(のボトムスを)着たいからロングブーツと合わせる」

などの声が見られました。

 久々にミニ丈、という言葉からも分かるように、女性ファッションのボトムスは長らくロング丈一色の期間が続きました。しかしそのスタイルに「飽きてしまった」と感じている女性も少なからずいることが、SNSからも垣間見ることができます。

 東京を含む全国的な生のトレンド傾向をつかめる、ZOZOTOWN内の人気ランキング(ブーツ、レディース)では、足首丈の定番ショートブーツに交ざって、トップ5中2アイテムがロングブーツ(2021年9月15日16時30分現在)。やはり、今季のロングブーツ再燃は信ぴょう性が高いと言えそうです。

今季のロングブーツの特徴は?

 2021年のロングブーツは、ひざ丈ジャスト、もしくはニーハイ(ひざ上丈)で履き口もゆったりしたものが多い傾向。カラーや素材もバリエーション豊富な今シーズンは、自分好みのものを見つけるチャンスかもしれません。

※ ※ ※

 以下、インスタグラムの投稿者やユーザーの声や、各ブランドの発表をもとに、今季のトレンドを確認してみましょう。

 まず記事の冒頭で紹介した写真は、温かみのある雰囲気が印象的なベージュのニーハイブーツです。

 1枚で様になるワンピースや柄物のコートとのコーディネートがインスタ上でも人気です。スタイルのいい、大人っぽいコーディネートに仕上がります。

ロングカーディガンと合わせれば、肌の露出が少ないコーディネートが可能(画像:ayumi oishiさん、ayumi__oishi)



 ニーハイブーツはその大胆なデザインから、つい敬遠してしまう人も少なくないかもしれません。しかし実は、肌を出し過ぎることに抵抗のある人にこそおすすめのアイテムという声が多数聞かれました。

 理由は、ひざ上までブーツで隠れるので肌の露出が意外と多くない点、そして、同じくちょっと敬遠しがちなショートパンツやミニスカートとの相性が抜群という点。ブーツと同系色のロングカーディガンを合わせて素肌感を減らすのも、バランスの取れたおしゃれコーディネートのポイントとのことです。

定番ショートブーツの傾向は?

 さて、ロングブーツ人気が再燃中ですが、ショートブーツの人気ももちろん継続しています。

 スニーカーのように気軽に履けて、定番のロングスカートにも合わせやすく、足元の防寒もばっちりというのが支持される理由。使い回しの良いタイプを紹介します。

真っ白なワンピースには黒のショートブーツを合わせることで足元が引き締まる(画像:misakiさん ID _misaki630_)



 ホワイトのロングワンピースには黒のショートブーツを合わせることで、メリハリが出てモノトーンと思えない新鮮なコーディネートに。チャンキーヒール(太めのヒール)のボリュームが、シンプルなワンピースとも好バランスで足元がすっきりまとまって見えます。

 ブラックやカーキの小物を合わせることで、モード感と抜け感とを兼ね備えたシンプルなスタイルが決まっていると、インスタ上でも好評でした。

 また、各ブランドも引き続きロングブーツだけでなくショートブーツの新作を発表しています。

 なかでも脚の両脇に伸縮するマチ(ゴア)が付けられたサイドゴアのショートブーツは、脱ぎ履きしやすく、たくさん歩く日でも足が疲れにくいのが魅力とのこと。

 ショートブーツは、春夏はソックス、秋冬はタイツと合わせるなど、オールシーズン使い回せる便利さが特徴です。カジュアル過ぎず、かしこまり過ぎない“ちょうどよさ”が、1足は持っていたいという愛用者を多く擁する理由かもしれません。

ロングブーツを求める深層心理は?

 さて、もしこの秋冬に向けて流行のロングブーツを新しく購入するのであれば、やはり実店舗で試着して自分にぴったりのサイズを選びたい、と考える人が多いのではないでしょうか。

 新型コロナ禍で長引いた外出自粛期間ですが、国内ではワクチン接種が着実に進んでおり、東京での新規感染者数も減少傾向に入ったと言われています。

 ロングブーツの本格的な再流行の兆しは、「お店へ買い物に出かけて、おしゃれをして街を歩きたい」という人々の願望を少なからず反映したものと捉えることもできるのではないでしょうか。

 ただし、感染拡大防止については言うまでもなく油断は禁物です。東京などでは2021年9月30日(木)まで緊急事態宣言が延長されており、少なくともその期間中は不要不急の外出は控えるようにしましょう。


【画像】90年代「アムラー」と今季ブーツを比較する

画像ギャラリー

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