残暑で萎えた体を吹き飛ばす、真紅にたたずむ極上辛口カレーライス 御茶ノ水「JAZZ OLYMPUS」
店名は名スピーカーから 昭和初期創業の老舗ホテル「昇龍館」。その1階にある喫茶店「JAZZ OLYMPUS(ジャズ オリンパス)」(千代田区神田小川町)はオープンから8年ほど経ちます。 「JAZZ OLYMPUS」が提供する「赤いチキンカレー」(画像:小野員裕) 店内に一歩足を踏み入れると、重厚なJBLのスピーカーからダイナミックな音が響き渡っています。ジャズのアナログ盤にこだわったジャズファン、オーディオ通が集う憩いの空間は、昼はランチ、夜はバーに姿を変えます。 私が同店を初めて訪れたとき、まさかこんな洒落た空間に胃袋を躍動させるカレーがあるなんて想像もしていませんでした。 「店をオープンするとき、お客さんにランチの時間を有効に過ごしてもらえるメニューはないかって考えたんです。そうだ、僕の好きなカレーを出せばいいじゃないか、って思いましてね……」 と語るのは、飄々としてフレンドリーな店主の小松誠さん。ちなみに「JAZZ OLYMPUS」という店名は、JBLの名器「OLYMPUS」の商品名から拝借したものだそうです。 小松さんが大好きだったカレー屋は、なんと私も魅了されていた日本橋室町にあった「インド風カリーライス」。いまは閉店してしまいましたが、毎日のように通ったそうです。そう言われてみればここのカレー、色合いといい、スープ状のサラリとした感じといい、どこか「インド風カリーライス」を彷彿とさせるものがありますね。 カレー作りもオーディオ通ならでは オープン当初、カレー作りに思考錯誤する中、国会図書館に訪れてヒンディー語のインド料理本を訳すほどの凝りようだったという小松さん。 「JAZZ OLYMPUS」の店内の様子(画像:小野員裕) 試作6品の中で唯一、「これはいける!」とひらめいたカレーが、現在提供されている「赤いチキンカレー」です。その理由は見た目のインパクトと、やはり大好きだった「インド風カリーライス」の味わいに限りなく近かった、というのが決め手のようです。 「オーディオ機器って、アンプやスピーカーのパーツを変えるだけで音ががらりと変わるんですよ。カレーも一緒で、食材や各メーカーのスパイスを吟味しながらカスタムして、ブラッシュアップさせたのが、このカレーなんです」 と、オーディオ通ならではのカレー作りへのこだわりが面白い。 「赤いチキンカレー」と命名されたカレーは、まさに真紅に輝く色合い。そのカレーを見た途端、誰もが食欲がかきたてられるのではないでしょうか。 活性する胃袋、加速する食欲活性する胃袋、加速する食欲 具は岩手の阿部鶏のもも肉がふたつばかり、これが実に柔らかく、クミン、コリアンダー、パプリカなど10種類のスパイスからこしらえたサラサラなカレーソースは、ほのかにスパイシー。微かな酸味、充実した旨味と絶妙な塩加減です。 10種類のスパイスを使った「赤いチキンカレー」のルー(画像:小野員裕) その真っ赤な色合いのカレーを一口いただくと。スープ状のサラサラカレーは、額からうっすらと汗が滲むほどの辛口で、残暑の湿気と暑さで萎えた体がじんわりと癒される美味しさです。気が付けば、あっという間に完食。 「あ~、おいしいな」 としみじみ。優しくも底力に満ちた味わいは病みつくにさせられ、その奥深い旨味、刺激的なスパイス感に魅了されるでしょう。 バータイムは、お酒の品揃えも充実 オープンからしばらくして、「ジャズバーのカレーがメチャメチャおいしいらしい」という噂を聞きつけ、ジャズファンやオーディオ好きだけでなく、この「赤いチキンカレー」を求めて昼夜問わず、お客さんが遠方からも訪れるようになったそうです。 基本、このカレーはランチメニューなので、夜は品切れる可能性がありますので留意してください。 「JAZZ OLYMPUS」の外観の様子(画像:小野員裕) バータイムは各種ビール。洋酒はスコッチやバーボンウイスキーのほか、日本酒、焼酎もありお酒の品揃えも充実。「赤いチキンカレー」以外におすすめは、ソーセージ5種、スモーク生ハム、ピザ、オリーブ&ピクルス、ポテトサラダ。さまざまなパスタとおいしい料理も盛りだくさんです。 シックな空間でジャジーな音楽に耳を傾けながら、是非「赤いチキンカレー」を楽しんでください。また、バータイムはチャ―ジがかかることをお忘れなく。 ●JAZZ OLYMPUS ・住所: 東京都千代田区神田小川町3-3-4 昇龍館 1階 ・営業時間:11:45~16:00、19:00~23:00、13:00~17:00(土曜) ・休日:日曜、祝、第1土曜、第3土曜 ・アクセス:JR総武線・中央線「御茶ノ水駅」聖橋口・御茶ノ水口から徒歩5分 東京メトロ千代田線「新御茶ノ水駅」B3b出口から徒歩4分
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